なくしたモノ
失ったモノ
手に入らなかったモノ

とてもキラキラしていて目がくらむ。
心をつかまれる。


けれど、
残ったモノも、ちゃんとある。
残った、大切がある。
キラキラしてなくても、それは宝物。


そんなどっちもがあって、

どっちもあわせて、はじめて自分。






絶望の色は、白だと知った。


私たちの一族は、故郷をおわれて逃げ出した。

新天地に行くたびによそモノだの、色が違うだとのとそしりを受けた。
あきらめたモノもいた。
あるモノたちは殺されもした。
そうして方々を転々とし、たどり着いたのが

この雪の世界だった。

生き残った仲間は数百程度だろうか。
見渡す限りの白い世界に私たちのほか、動くモノはいない。
一瞥して生命を許さぬトコロだと、本能が理解した。
だけど、もう、
他に行ける場所はなかった。
どうにかしてココで生きてゆくのだと、ココロを決めた。


その次の日に仲間が減った。

7日後には半分近くになった。


私たちは弱い。
身を寄せ合うことしか出来ない。
1つでは、生きてゆくことが、出来ない。

死にそうな仲間に必死で声をかけ続けた。
負けるな。
負けるな。
生きろ。
生きろ。
お願いだ。
死なないでくれ。



極限の環境で、わたしたちは命を繋ぎ止める。

子を残し、名前をつける。
願いを込めて。
生きて。
生きて
強く

生き







































長い
長い時が流れたのか

あるいは

今際の夢なのか

なぜかは分からないのに

わたしには分かる

わたしには見える

白い大地を埋め尽くす無数の生き物が

わたしたちの子孫だということが

二本の足で立つ姿は未だにどこか頼りなく
翼は絶え
もう空を飛ぶことは出来ない

それでも強く

なお強く

氷の地表でたくましく生きる

わたしの子どもたち


これは

航海の果てで
諦観を乗り越えた
ペンで書き記されることのない
銀世界の物語


人差し指をピンと伸ばして
流星の足跡をなぞった
つぶやく願いが
星になる

人差し指をピンと伸ばして
星の間と間をつなぐ
新しく出来た星座が2つ
名前をつけた
名前をつけた

生まれた2つ届かない
手を伸ばせない触れられない
それでも光る
それでも光る
近くて遠い火が見える


あなたが生きる

世界を生きる