降れ、
降れ、
花散らし。

積もる花弁のその下に

私の骨が隠れるように。





ある日突然、世界は海に沈んだ。



不思議と呼吸が出来たので、陸や空中に生きる者たちも溺れてしまうことはなかった。


海流に揺れる草木の中、ライオンのジニーがこの世を去ろうとしていた。




走っても走っても進んでいる気がしない。
サバンナでの栄華が全くの作り話のよう。
いっこうに満たされない空腹。
まとわりつく重い空気。

およそ似つかわしくないほど痩せ衰えようと、彼は魚を口にすることはなかった。
最期までシカやシマウマを追い、そして、
時を迎えた。


「…」

ジニーは揺れる青い世界で、心の整理をする。

(人生は勝ち負けの連続だ。

いい時もあれば、悪い時もある。

結局のところ変わらない。

乾季が長引いて干からびそうになった時もあった。

ニンゲンのハンターに狙われた時だってあった。

変化があった時に、うまく立ち回れる奴が生き延びて、そうでない奴が死ぬ。

勝手が違う。すぐに分かった。

だが、サバンナのルールはいつしか俺のルールにもなっていた。

今さら自分の中心は変えられない。

それで困る奴も俺にはいない。

ただ1つ、こんな俺のワガママを言わしてもられるなら


せめて太陽の下で、死にたかった。)



ジニーのヒゲが力なく、そよぐ。


たましいは、どこに運ばれて行くのだろう。





誰かに愛をささやいて、
しっぺ返しで胸がえぐれて、
息絶える間のその刹那、

笑って愛をささやいて。