《里親募集準備中!》ポンちゃんの保護経緯について | 87便り "一生一緒の家族を探しています”

 

私、今週ようやく2回目のコロナワクチンをうけて、しっかり副反応で寝込んでいました。今週はバンバンブログを更新するぞー!って意気込んでいたのに、間が空いてしまってごめんなさい。



 

そんな最中に、久々に真剣に驚くほど大きな地震がありました。消防士をしている友達も、夜勤中に揺れを感じて「とうとう来たか」と覚悟したレベル。


しかし、ポンちゃんは全く動じず。揺れに驚いた私が「ポンちゃん、大丈夫やからね!!!」と駆け寄るも、「ええ気持ちで寝てるのに、なんで起こすねん」みたいな顔で見られました。あかときいは私にべったりで、その後気晴らしにガムをあげるも口にせず。ポンちゃんだけは、ガムを誰にも取られないようにわざわざお部屋の角まで持って行って、恵方巻のように無言で無心に食べていました。



 

ちなみにポンちゃんは、先週のゲリラ豪雨と大雷の間も、大いびきで寝ていました。見た目通りの大物です。



 

さて、今日の本題はポンちゃんの保護経緯。

飼主さんからは、「どなたかのお役に立ててほしい」と掲載の了承を得ています。



 

前々回の記事で申し上げたとおり、ポンちゃんは70代のご夫婦が老老介護で犬のお世話まで手が回らないとの理由で手放されました。


これは保護活動では”あるある”な話で、私の活動規模でも月に2-3件、ご高齢者から飼育相談や保護に関する質問を受けます。その都度、ご自宅に伺って飼育のアドバイスをしたり、ご家族やご近所とのお話し合いの仲介をしたりしています。ただ、よくある話とはいえ一件一件の事情は様々です。



 

ポンちゃんの飼主さんは、79歳のお父さんと77歳のお母さん。

60代半ばで”最後の犬”として、周囲から飼いやすいと聞いていたシーズーをご近所のドッグサロンで迎えられました。娘さんがポン太と名付け、とても可愛がっておられたそうです。車に乗せて旅行に行ったり、親戚のおうちに遊びに行ったり、楽しい思い出をたくさん聞かせてくださいました。

しかしながら、お母さんは3年前に庭仕事をしようとお庭に降り立った時に転んでしまい、それをきっかけに原因不明の下半身不随で寝たきり状態になられました。寝たきりということを除けばとても若々しくてしっかりされているお母さんは、お手伝いさんやヘルパーさん、デイケアなどにお世話になることを頑なに拒否されました。お父さんはお母さんの希望を叶えるために、一人で介護と全ての家事、そしてポンちゃんのお世話をされていました。お父さんは、犬を飼える(現在飼っている)環境にある娘さん家族と息子さん家族にポンちゃんのことで助けを求めていたようですが、それぞれ事情があって受け入れられないとのことでした。



 

お父さんにポンちゃんのお世話ができないことは、娘さんからメールと電話でお話を伺った時点で明らかでした。

私にとってはお会いしたこともないお父さんでしたが、お父さんの体力的、経済的、精神的な負担を思うと、いてもたってもいられませんでした。そして、私はすぐにお父さんとお母さんのご自宅に伺いました。



 

そこでさらに私は胸を痛めました。


ご自宅は、駅から離れた坂の上に建ち、数年前に運転免許証を返納されたお父さんたちにとっては住みやすいとはいいづらい立地でした。お買物や通院、ポンちゃんのお散歩など、この坂では毎日お辛いだろうなと思いました。


そしてご自宅に上がって、さらに胸が締め付けられました。家の中は、隅から隅まで掃除が行き届き、リビングには介護ベッドやさまざまな介護用品が並んでいるというのに全くニオイが気にならないのです。介護は、”ニオイとの闘い”と言われるほどあらゆるニオイが家の中に沁みつきます。よほどこまめに丁寧に掃除をしないとあのキレイさは保てません。さらに、リビングの窓の外に広がるお庭には草が一つも生えていませんでした。今からおよそひと月前、まだ雑草が伸び放題の時期だというのに。お母さんと娘さんによると、お父さんはお掃除も草むしりもきっちりやらないと気が済まないとのことでした。ポンちゃんの病院やトリミングサロンでの書類もきちんと時系列にファイルされていて、フードはフードポットに移し替えられ、おやつとおもちゃはそれぞれラベリングした引き出しやトレイに仕舞われていました。



 

お父さんは、毎日不安で仕方がないとおっしゃいました。

いつまでこの生活が続くのか先が見えないし、お母さんの状態が悪化したり、他の病気が見つかるかもしれないし、自分が怪我をしたり病気になるかもしれない。そうなったら、誰がお母さんのお世話をするのか、ご自身のお世話は誰がしてくれるのか。お金は足りるのか。日に日に衰えていく体力を感じながら、ゴールの見えない人生を嘆いていらっしゃいました。

 

ポンちゃんについては、ここ数年は家の前でおトイレをさせるだけで本来の意味でのお散歩には連れていかず、ポンちゃんの体調が悪い時もどうせ病気が見つかってもお世話できないのだからと診察に連れて行かなかったそうです。ポンちゃんを老犬ホームに委託されることも検討されたようですが、金銭的に毎月の委託費を払えなくはないけれど、できることならいつまで続くかわからない支払いを不安に思うことなく、語弊はありますがポンちゃんの全責任を手放したいようでした。ポンちゃんとの旅行などの楽しい思い出のお話を伺ったあとにこのような事情を話すお父さんは、ご自身の中の矛盾に気付きながらも諦めるしかないご様子でした。




お父さんの気持ちを思うと、三度私の胸は張り裂けそうに痛みました。

正直に言うと、ご自宅に伺うまでは、娘さんか息子さんがポンちゃんを預かって里親募集をすればいいのになと思っていました。そのノウハウやお手伝いを私が協力できればいいなと考えていました。おせっかいではあるけれど、できることなら、これまで頑張ってこられたお父さんとお母さん、そしてご家族の人生に、”犬を棄てた”という出来事を加えたくなかったのです。しかしながら、娘さんと息子さんにはそれぞれのご家庭のご事情があるようで、ポンちゃんを受け入れられない気持ちは変わらないようでした。それでもポンちゃんはすでに高齢犬なのだから、なんとかご家族で…と娘さんに願う私の気持ちが変わったのは、お父さんが一枚の書類を私に見せてくれた時でした。



 

それは、保健所にポンちゃんを渡す『引取り依頼書』でした。

区役所でもらったというその2枚に渡る用紙には、鉛筆で住所、名前、年齢、性別、理由などが記入されていました。

その頼りなげな筆跡を見て、私は言葉を失いました。「下書きだけしました」とおっしゃったお父さんの姿は、先ほどまでよりすごく小さくなったような気がしました。私の心の中はさらに複雑な気持ちが入り混じり、ここまで追い詰められたお父さんの苦しみや悲しみ、葛藤を思うと、とてつもないやりきれなさに襲われました。



 

そして、私はポンちゃんを保護しました。




 

大前提として、せっかく犬を飼える(現在飼っている)環境にある娘さん家族と息子さん家族がいらっしゃるのだから、こうなる前に要所要所でご家族で話し合って有事に備えてほしかったという思いはあります。ただ、命を前にあってはならないことだけれど、家族だから迷惑や心配を掛けたくないと思う気持ちや、親子といえどそれぞれの家庭の事情で相容れないこともあるのかもしれません。だからといって、言葉が話せず、人間の判断に身を委ねるしかない動物たちに皺寄せが来ることに対して、どうにも解せない気持ちもあります。私にできることは、ポンちゃんに”一生一緒の家族”と巡り会ってもらうことと、このご家族の経験を私自身の人生と保護活動に役立てていくことだと思っています。



 

その後お母さんは、「ポンちゃんも頑張っているのだから」と、まずは週に1回、デイケアに行かれることを決めたそうです。これまでは、ポンちゃんのことで言い合いが絶えなかった娘さんとお父さんも、少しは良い関係が築けるようになったらいいなと願っています。

 

ポンちゃんは、今日も我が家でご機嫌に暮らしています。次回の記事では、ポンちゃんのプロフィールと初期医療の結果を投稿いたします。


もし叶うのであれば、お正月は”一生一緒の家族”と過ごさせてあげたいなと思っています。もしポンちゃんにご興味がありそうな方をご存知でしたら、ご紹介や情報拡散など、ポンちゃんにお力をお貸しいただきますよう心よりよろしくお願い申し上げます。


 

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