昨日のつづき。
(詳しくは、昨日の『主人が獣医師になったキッカケ 前編』をご覧ください)
************
「何それ？」
私の呆れかえる顔を見ても、主人は全く悪びれる様子がない。
私が、「覚えてないの？」と聞くと、「全く覚えてない」と平然としている。
私はショックで呆然となったが、これだけはハッキリさせておかねばと思い、質問した。
「シートン動物記は、読んだことあんねんやんなあ？」
主人は、鼻高々に答えた。
「それは、あるよ！狼王ロボやろ？」
主人よ、それは第一巻や。
動物か読書が好きなら、だいたいは通る道や。
第二巻に行くかどうかが分かれ道なんや。
でもまあ、ええわ。
「ほんなら、結婚してから『俺は野生動物の保護がしたくて、獣医師になったんや』って言ったのは覚えてるん？」
すると主人は、自信満々に答えた。
「覚えてる、覚えてる！」
ほんまかよ。
私は続けた。
「まだ、野生動物の保護をしたいと思ってるん？」
主人はこれまた即答した。
「思ってる、思ってる！」
だいたい、言葉を2回重ねる返事は、怪しい。
「大丈夫、大丈夫」とか「わかってる、わかってる」とか。
私はここぞとばかりに突っ込んだ。
「なんで、野生動物の保護をしたいと思ったん？」
主人は、そんなことは簡単だとでも言うように、すぐさま答えた。
「それは、『野生の王国』とか『ジャングル大帝』を見てやん」
なんや、ちゃんとした理由があるやんか。
それでも私は、シートン動物記の二の舞を踏むまいと、もう一歩突っ込んだ。
「なんで『野生の王国』や『ジャングル大帝』を見て、野生動物の保護をしたいと思ったん？」
すると、主人は少し考え込んだあとに、話し始めた。
「『野生の王国』を見てたらな、アフリカのサイやキリンが住んでいる場所で、飢饉で食べ物がなくなったり、干ばつで水がなくなったり、内戦で動物にまで被害が及んだりしててな、その動物たちを安全な場所に移動させる人達が出てくるねん。象牙を捕ろうと密猟する人間らもおってな、そんな人間を捕まえたいと思ったし、人間の勝手で苦しむ野生動物たちを助けたいと思ってん。『ジャングル大帝』は、そういったことを全部動物同士が助け合って、新天地を探して旅するねん。ライオンが指揮を取って、知恵者のマンドリルが策を練ってな、キリンや象も付いていくねんけど、それはやっぱり漫画の世界やから、現実では人間が守らなあかんと思って・・・」
主人はそこで言葉に詰まった。
私が何事かと思っていると、主人は急に大きな声で言った。
「そうや！僕は、そもそも、野生動物を守るレンジャーになりたかったんやった！」
主人の表情を見ているだけで、主人の頭の中では、次から次へと記憶が蘇っている様子がわかった。
「ほんでな、小学生の頃におふくろに言ってん。『僕、アフリカで困ってる野生動物を助けるレンジャーになりたい』って。ほんならな、おふくろに『動物を助けたいと思ってるんやったら、もっと動物のことを勉強しなさい。そうせな、動物を助けることなんてでけへんよ』って言われて、それで俺は獣医師になったんや！」
なんやねん！
めっちゃええ話、するやんか！！
シートン動物記のくだりは、なんやってん！
今日も笑顔で”一生一緒の家族”を待つクララに、
応援↓クリック↓をよろしくお願い申し上げます。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
クララは”一生一緒の家族”を探しています。
【2019年6月追記： 私はドッグライフセイビングと、根本的な動物保護活動の信念と、動物と人間に対する姿勢の相違により、2017年10月に全ての関係を断っています】
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊