ファイザーのワクチン候補、疑問が依然残る-
安全性や有効期間は不明
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両社の発表「何が達成されたのか、何も伝えていない」-専門家
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高齢者への有効性、80%以上と推定することが可能-ビオンテック
米ファイザーとドイツのビオンテックが発表した新型コロナウイルスワクチン候補の暫定結果は、パンデミック(世界的大流行)からの出口が近いとの期待を世界に抱かせた。だが、このワクチン候補が乗り越えなければならないハードルはまだ多いと、
専門家は警告する。
暫定結果の数字は極めて有望に見えるが、ワクチン候補の有効性や能力を巡る疑問は依然残り、
生産や供給の問題もあるとワクチンの専門家らは指摘する。
ファイザーの臨床試験は4カ月足らず前に始まったばかりで、このワクチン候補の有効期間がどれくらい長く、
どれほど多くの人に有効なのかなどは今のところほぼ全く分からない。
米セントルイスのワシントン大学に所属するワクチン専門家マイケル・キンチ氏は「大きな疑問は引き続き、
時間についてだ」と述べ、「さらに多くの人々が接種した場合にも有効なのか、経過を見なければならない」と続けた。
今回の結果は報道向け資料で発表されたもので、査読を経て掲載された論文ではない。
それでも投資家は一斉に飛び付き、世界中で株価が急騰。
米S&P500種株価指数は2カ月ぶりの高値で引け、パンデミックの間に売り込まれた旅行や娯楽関連の銘柄が反発した。
ミネソタ大学感染症研究政策センター(CIDRP)のマイケル・オスターホルム所長は、両社の発表は
「実際に何が達成されたのか、何も伝えていない」と厳しい見方だ。
同氏は9日のラジオインタビューで、「今回の暫定結果をどう定義するかを判断するには全く時期尚早だ」と語った。
両社は90%を超える確率で感染を防いだと発表したが、どのような類いの感染が防止されたのかはほとんど
明らかにしていない。高齢者ら重症化しやすい人々に対する効果の詳細発表もこれからだ。
ビオンテックのウグル・サヒン最高経営責任者(CEO)は臨床試験参加者のほぼ半数を高齢者が占めていることを挙げ、
暫定結果から高齢者の80%以上に有効だったと推定することが可能だと説明。
ただ、さらに分析し確認することが必要だと続けた。
ファイザーでワクチン臨床研究開発を率いるシニアバイスプレジデントのウィリアム・グルーバー氏は、
暫定結果で重症化に至った例はないが、試験が進むに従いその可能性も見込んでいると語った。