金相場は上昇か、再び出そろった「3つの条件」 | 人生の水先案内人

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[ローンセストン(オーストラリア) 14日] - 

 

2008年の金融危機直後から2011年に史上最高値をつけるまでの金の長期上昇相場を支えた3つの条件が、今年再現されるかもしれない。

 

このため、この5年間の比較的狭い範囲内での値動きを越えて、金相場が一段と上昇するのではないかとの期待が一部で高まっている。

 

ただ、このような相場上昇トレンドの長期化を支える構造が安定的なものかどうかは分からない。

 

2008─11年にかけて、金スポット価格XAU= は3倍近くに高騰し、1オンス=1920.30ドルの最高値をつけた。この上昇を支えたのが、中国やインドのバイヤーからの旺盛な物理的需要、各国中央銀行による強力な買い入れ、そして世界的な不況を受けて「安全な投資先」を求める投資家のニーズの3本柱だった。

 

これら3つの条件の相乗作用で、金相場は着実に上昇し、その後トレンドを追う短期資金であるホットマネーがお決まりの非現実的な永久上昇予測にあおられて流入し、バブル相場に突入した様子だった。

 

だが2011年9月に史上最高値を更新すると、中銀からの買い入れは安定して続いたものの、主に西側の投資家による買い付けと、インドや中国による買い付けは落ち着いていった。

 

世界経済の回復に伴い、「恐怖」に後押しされた金の需要は限定的になった。

 

また相場高騰により、インドや中国からの物理的需要も減退した。

 

これにより、金相場は2014年初め以降、1オンス=1050─1380ドルの間をさまようことになった。

 

昨年8月16日の1159.96ドルの安値から、今月11日の1287.50ドルまで11%上昇しても、まだ金相場は上記の範囲内にとどまっている。

 

だが今、今後数カ月の間に、金が再びこのレンジの上値を試す可能性を示す兆候がいくつか表れている。

 

一般的にドル安は金相場を押し上げる。

 

ドル下落の原因が追加利上げ期待の後退や、経済減速懸念の高まりにある場合は、特にそうだ。

 

そして、これは現在の状況にあてはまる。

 

米連邦準備理事会(FRB)は、金融引き締めについてより忍耐強く対応する可能性を示している。

 

世界経済への懸念も、米国との貿易摩擦が続く中で中国の経済成長が鈍化する兆候や、欧州や米国での製造業関連指数の悪化などから、やはり拡大している。

 

こうした懸念が続いたり、さらに拡大したりすれば、ヘッジとしての金買いが西側で膨らむかもしれない。

 

すでに実際にそれが起きていることを示す証拠もある。

 

金に裏付けされた上場投資信託(ETF)の中でも最大の「SPDRゴールド・トラスト」は先週、6カ月ぶりの高値を更新した。

 

<上昇要因が相互作用>

米政府機関の一部閉鎖や不安定な株式市場の値動きなどの短期的な要因が、世界経済の減速や、トランプ米政権が長年の米外交政策を覆す動きを取っていることを受けての地政学的な緊張の高まりという長期的な要因と組み合わさっている。

 

また、世界最大の買い手である中国の物理的需要が上向く兆しも出ている。

 

中心的な輸入窓口である香港の純輸入量は昨年11月、前月比28%もはね上がり、昨年7月以降で最大となった。

 

香港特別行政区の政府統計処が昨年12月27日に公表したデータによると、11月の純輸入量は37.871トンで、10月の29.633トンから大きく増加した。

 

香港のデータは、中国の金需要の全体像ではないものの、全体の傾向を示す信頼できる指標になっている。

 

インドの需要も回復の入り口まで来ている可能性がある。

 

世界2位の消費国は、需要の大きい結婚式シーズンに入るほか、ヒンズー暦で縁起が悪い期間とされ、結婚式や、金や不動産の購入を慎む人が多い12月16日─1月14日の期間が終わる。

 

産金業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)はまだ2018年第4・四半期の数字を出していないが、第3・四半期の数字を見ると、中国需要は前年同期比10%増、インドの需要も同10%増となっている。

 

中銀による買い入れも増加している。

 

WGCによると、昨年第3・四半期の純買い入れは、前年同期比22%増の148.4トンだった。

 

実際のところ、2018年の1─3・四半期における中銀の買い入れは、2017年通年の374.8トンを、わずか23.2トン下回るだけだった。

 

金需要

を支える3本柱が相互に効果を発揮し続け、供給が安定している限り、金相場の上昇が続く可能性が高い。

リスクといえば、トランプ政権を取り巻くさまざまな対立が解消に向かい始め、世界の景況感が改善することだろう。

 

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。