「地震(の被害)は大丈夫でしたか?」「あんたこそ、大丈夫だったかえ?」―。
鳥取県中部を震源に最大震度6弱を観測した地震で被災した同県倉吉市の成徳地区で、荷台付き自転車に野菜などを積み街中を巡る移動販売「くらよしカーゴマルシェ」が、活動を再開した。
高齢化が進む同地区では移動販売を心待ちにする市民も多く、スタッフの顔を見かけほっとした様子。
互いの安否を気遣うなど、確かな絆が生まれている。

買い物をする市民と近況について会話を弾ませる木村さん(左)=1日、鳥取県倉吉市西町
同地区をカーゴで回る木村千春さん(29)は1日、なじみの街中を一巡すると、「皆さん、元気そうでほっとしました」と話した。
「地震発生後、心配で一度は訪ねてはみたけど、会えない方もいたので…」
鳥取県智頭町出身で東京からUターンした木村さん。
倉吉市で移住者支援などに取り組むまちづくり団体リアルマック代表の福井恒美さん(59)が、9月から始めた「まちの課題を解決する移動式チャレンジショップ」のスタッフに登録。
週2回、午前中に野菜を中心に同地区で移動販売を行っている。
この日は大根やサニーレタス、ミニトマトなど 15種類の野菜やせんべいなどを積み込んで出発。カーゴについた鐘が響き渡ると、人々が顔をのぞかせた。
「大根をもらおうかしら」「サニーレタスが安いわね」。
次々と売れていく野菜。木村さんは合間に体の調子や家の状況を尋ね、会話を弾ませた。
同市西町の自営業、平和子さん(61)は「ちょっとしたものが欲しいときに助かるし、お年寄りが多いので、気に掛けてもらえるのがうれしい」と話した。
リアルマックは、同様に高齢化率の高い明倫地区でも、移動販売を週2回行う。
福井代表は、移住者をスタッフとして採用することで地域住民と地縁をつくり、起業や定住に結びつけたいと事業化した。
福井代表は「スタッフはまちの人からもかわいがられ、支え合いが生まれている」と目を細めている。