政府は、働く女性らが妊娠や出産を理由に不利益を被るマタニティーハラスメント(マタハラ)の防止策を企業に義務付ける。
就業規則で禁じたり、相談窓口の設置や社員研修の実施などを求めたりする。
派遣社員も防止策の対象とし、違反した企業名の公表も盛り込む。
今国会で関連法を改正し、2017年4月からの実施を目指す。
男女雇用機会均等法と育児・介護休業法の改正案を今国会に提出する。
マタハラ対策の強化は、安倍政権が掲げる一億総活躍社会の実現に向けた政策の一環。
働く女性が妊娠や出産をしやすい労働環境をつくり、出生率1.8の実現につなげたい考えだ。
産休や育休をとる人に対する職場の上司や同僚の言動による嫌がらせを防ぐ措置を企業に義務付ける。
どのような言動がマタハラにあたるかは厚生労働省令で詳細を定めるが、上司や同僚による「迷惑だ」などの嫌がらせ発言が対象となる。
現行法でも妊娠や出産を理由に解雇や降格などの不利益を与えることは禁じている。
だが上司や同僚の言動で休みを取りづらい雰囲気が作り出されている実態には対応できていないと判断した。
男女雇用機会均等法は上司や同僚の言動によるセクハラ(性的嫌がらせ)防止措置を企業に義務付けているが、マタハラは対象外。
15年に厚生労働省が実施した実態調査では上司などからの「迷惑だ」「辞めたら」など嫌がらせ発言による被害が最も多く、妊娠・出産を経験した派遣社員の48%が被害にあっていた。
マタハラを経験した派遣社員の27%が派遣先から「妊娠を理由とした契約打ち切りや労働者の交代」を受けたと答えた。
マタハラを巡っては、14年10月に妊娠による降格が男女雇用機会均等法に違反するという最高裁判決が出た。
東北電力がマタハラ防止の社員研修を実施するなど企業の取り組みも始まっている。
政府は昨年11月に発表した一億総活躍社会実現への緊急対策で「妊娠、出産などを理由とする不利益取り扱いを防止するため法制度を含め対応を検討する」と盛り込んだ。