【NQNニューヨーク=川内資子】
21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比48ドル安で終えた。
四半期決算と同時に業績見通しの引き上げを発表した航空機のボーイングなどへの買いがけん引し、相場は堅調に推移する場面もあったが買いは続かなかった。
月初からの相場上昇は勢いを失い、一段と買い進むには手掛かりが不足していとの見方が日に日に強まっている。
明るい材料は多かった。
ウエスタン・デジタルがサンディスクを190億ドルで、ラム・リサーチがKLAテンコールを106億ドルでそれぞれ買収すると発表。
業界の再編が進むとの期待から半導体株全般に買いが広がった。
ニューヨーク証券取引所に新規上場したイタリアの高級スポーツカーメーカーのフェラーリ株は人気を集めた。
取引所前に並んだ同社の車の華やかさもあり、お祭りムードも漂った。
発表が佳境を迎えた米主要企業の決算は市場の期待にこたえるものも多い。
ボーイングが買われたほか、決算が市場予想ほど悪化しなかった自動車のゼネラル・モーターズ(GM)は急伸した。
前日に決算と同時に多額の自社株買いを発表した機械・航空機関連のユナイテッド・テクノロジーズへの見直し買いも続いた。
世界経済を巡る不透明感を背景に出遅れていた機械関連など、業績が景気動向に敏感に左右されやすい銘柄への買いが相場を支えている。
もっとも、一時100ドル近く上げたダウ平均は午後にあっさり下げに転じた。
空売り業者シトロン・リサーチが公表した「バリアントは製薬業界のエンロンか」とするリポートを受けて、カナダの製薬大手バリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナル株が急落したのがきっかけだ。
シトロンは2001年に不正会計で市場を騒がせたエネルギー大手のエンロンになぞらえ、バリアントは特別医療会社を使って売り上げの不正をしていた可能性があると指摘。
バリアントはリポート内容を強く否定したが株価は28%安と急落し、ヘルスケア株全般に売りが広がった。
スウォーズモア・グループのカート・ブランナー氏は「ヘルスケア株に悪材料が出ると投資家心理が急速に冷える傾向が足元で再び強まっている」と話す。
今年の相場上昇をけん引したヘルスケア株は薬価の高騰を問題視する動きの広がりなどを受けて、最近は利益確定売りに押され気味だ。
今回の「売り上げ不正疑惑」も場合によっては今後、業界全体の問題に発展するリスクが意識されやすい。
今年は過去最高水準になるという企業のM&A(合併・買収)活動はすでに終盤を迎えつつあるとの見方が広がり、相場への影響が強い世界経済や原油先物相場の見通しを巡る不透明感はなお強い。
主要国・地域の緩和的な金融政策や米経済の相対的な健全さが米株市場への資金流入を今後も促すとの見方は多いが、買い材料の乏しさが上値を押さえている。