イオンは介護事業に参入する。
リハビリのための運動などが日帰りでできるデイサービス(通所介護)施設を総合スーパー内に、首都圏を中心として2020年度までに50カ所設ける。
近隣の高齢の顧客や家族の需要に応える。25年に首都圏で約13万人分の介護施設が不足するとの試算もある。
流通大手が既存の店舗を生かしその受け皿を目指す。
デイサービス施設はイオンの中核子会社で約350店の総合スーパーを運営するイオンリテールが直営で手掛ける。
9月にも千葉県野田市にある店に広さ約200平方メートルの施設を開くのを機に本格展開し、18年度までに20~25、20年度に50施設に拡大する。
主に開業から30年前後たった店を対象とする。
開業時には周辺の住宅開発などが始まったばかりで顧客層も若かった店も、時を経て高齢者が多くなる。
こうした店に施設を導入し、高齢化する顧客のニーズをすくい上げていく狙いだ。
在宅の要介護者向けに、リハビリなどを通じた身体機能の維持・強化にほぼ特化したサービスを売り物にする。
効果や安全性が検証されたトレーニングマシンを導入し、理学療法士らが専用のプログラムを用意して利用者に取り組んでもらう。
具体的には階段の上り下りがしやすいよう太ももや腰の筋肉の強化や、猫背防止のための広背筋を鍛えるメニューなどをトレーナーの指示に沿って進める。
認知機能を高めるためのゲームなども手掛ける。
イオンは葛西店(東京・江戸川)で東京都から認可を受け、13年秋から広さ100平方メートル、定員29人のデイサービス施設を実験的に運営してきた。
午前と午後に分け、食事や入浴などは手掛けずリハビリ関係にサービスを絞って提供。
14年度に黒字化したため、運営ノウハウが確立できたとみて多店舗展開を進める。
厚生労働省によるとデイサービスの利用者は200万人に迫り、市場規模は1.5兆円を超える。
施設数は4月時点で4万2千カ所あり、10年で2.5倍に増えた。
だが、首都圏ではこれを上回るペースで高齢者が増え、介護施設の不足が課題になっている。
事業者もニチイ学館などの大手でも400カ所弱どまりで中小の事業者が大半を占めており、商機があると判断した。
総合スーパー事業で苦戦するイオンは成長戦略として「大都市」と「シニア」シフトを掲げる。
これまでも70歳代以上を対象にしたプライベートブランド(PB=自主企画)衣料品を提供するなど、シニア需要の取り込みを進めている。
介護保険を使うため、デイサービスの送迎中に本人が店で買い物することは基本的にできない。
ただ新たなサービスの提供で、家族を含めた顧客の囲い込みを目指す。