3月第4週(23-27日)の日本株相場は、上値を試す展開が予想される。
米国の早期利上げに対する警戒感が和らぐ中、日本の景気や企業業績の改善傾向、株主還元策への期待を織り込む流れが続く。
3月決算期末の配当取りの動きも下支えしそうだ。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの三沢淳一執行役員は、「日本株はじわじわと上がっていることから、足元で過熱感は感じられない状況」と指摘。
来期企業業績の「増益率が2桁を超える確実性が高く、業績面から考えると、日経平均株価2万円超もあってしかるべき水準」とみている。
第3週の日経平均株価 は、週間で1.6%高の1万9560円22銭と2013年2月以来、およそ2年ぶりに6週続伸。
為替の円安水準での安定や企業の株主還元、賃金上昇期待も後押しし、電機など輸出関連、証券・商品先物取引、小売株などを中心に買われた。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は17-18日に開いた定例会合後の声明で、利上げに際し「辛抱強くなれる」との文言を削除、ほぼ10年ぶりの利上げに向け道を開いた。
一方で、メンバーが示した15年末時点のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の予想中央値は0.625%と、12月の予想1.125%から低下。
利上げを開始しても、引き上げペースは緩やかなものになる可能性が示唆された。
6月利上げ説が後退
バークレイズのエコノミスト、マイケル・ゲーペン氏は「インフレ鈍化、労働市場のたるみ拡大、ドル高という組み合わせは引き締めの軌道が従来よりもはるかに低いことを意味する」という。
FOMCで6月に利上げを開始する可能性が大きく後退したとし、利上げ開始時期を9月と予想した。
半面、労働市場の勢いを考慮すれば、12月を過ぎるまで利上げを遅らせるのは難しいとしている。
世界的な金融緩和で過剰流動性相場が続く中、マネーフローに変調を来すリスク要因として警戒されているのが米利上げの動向だ。
早期利上げ観測の後退は、為替市場で短期的にドル安・円高圧力につながる側面を持つが、米連邦準備制度理事会(FRB)は市場への配慮を見せており、米国株の強含みを受けトータルでは日本株にとってプラスに働く可能性がある。
第4週は米国で2月の経済統計の発表が多く、
23日に中古住宅販売件数、24日に新築住宅販売件数、
25日に耐久財受注などがある。
ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想では、中古住宅は前月比2.5%増(4.9%減)、新築住宅は1.3%減(前月は0.2%減)、耐久財受注は0.5%増(同2.8%増)の見込み。
賃上げ順調、特別配当の動きも
国内では、景気や企業業績に対する期待が根強く、株価の押し上げ要因となっている。
みずほ投信投資顧問の青木隆シニアファンドマネジャーは、「在庫循環から足元の内需が強いことが根底にある」と分析。
消費税増税前の作り込みから1年が経過し、「在庫一巡から1-3月をボトムに循環的指標は改善してくる。
賃金が上がるのも、生産が増加する際にはマージンが維持できると経営者が判断するためだ」と言う。
ことしの春闘では賃金のベースアップ(ベア)が相次ぎ、トヨタ自動車はベア6000円の労組要求に対し4000円と回答、賃金制度維持分の7300円や年間一時金で基準内賃金の6.8カ月の要求には満額回答した。
日本労働組合総連合会(連合)の須田孝労働総合局長は18日の会見で、賃上げ率は平均で3%と昨年の2.07%を超える見込みと述べている。
メリルリンチ日本証券の吉川雅幸エコノミストは、春闘での2%台前半というネガティブシナリオのリスクは後退したと指摘。
賃上げ率3%なら、定期昇給分の1.8%程度を引いた1.2%程度のベースサラリーの上昇になると試算し、「仮に1%ないしそれを超えるベースサラリーの増加が実現した場合、先行きインフレ率と消費の回復につながることが期待される」とした。
増配や自社株買い、資本効率重視などコーポレート・ガバナンス(企業統治)改善の動きも投資家の強気心理を支える。
米投資ファンドに経営変革を求められていたファナック は、株主還元を強化する検討を開始。丸三証券 は、内部留保を株主に還元し資本効率を高めるため、15年3月期から17年3月期まで特別配当を実施する。
投資ファンドの保有が増加していたヤマダ電機 も、株主優待制度の拡充に踏み込んだ。
三井住友トラストの三沢氏は、「株式固有の投資魅力を底上げしようという企業の行動は、日本株の中期的な上昇ドライバーになる」と評価。企業の意識が株式市場と共通になってきた点が投資家の買い安心感につながり、「何となく株価水準が切り上がっていく今までにないような日本株の上げになっている」と話した。
26日が権利付き最終日
需給面では、海外投資家 の買いが目立っている。
第2週は、年金資金の動向を反映する信託銀行 が2週連続で売り越し、個人投資家も8週連続で売り越した半面、海外勢は3062億円買い越した。
買越額は昨年12月1週以来の高水準。
みずほ投信の青木氏は、今の日本株をけん引しているのはファンダメンタルズとガバナンス両面の改善を評価している海外勢だと指摘する。
さらに、「懐疑の中で日本株が上がりだしたことで、十分ポジションを保有し切れていない投資家もいる」と言う。
また、
26日は3月期末の配当、株主優待などの権利付き最終売買日で、好配当利回り銘柄を中心に買いが活発化しそうだ。
ブルームバーグ・データによると、翌27日の日経平均の配当権利落ち分 は111円。
もっとも、テクニカル分析上は目先買われ過ぎのシグナルが依然として点灯している。
東証1部の上昇・下落銘柄数の百分比を示す騰落レシオは126%と、過熱圏の120%以上。
相場の勢いを示す相対力指数(RSIも73%と、過熱の70%を超す。
日経平均が2万円に接近する場面では、戻り売り圧力も高まる公算が大きい。
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東京 長谷川敏郎 thasegawa6@bloomberg.net
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院去信太郎
更新日時: 2015/03/20 15:57 JST