野望膨らむアリババ…次の狙いは映画 早々スキャンダル発覚で前途多難か | 人生の水先案内人

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中国の電子商取引大手アリババグループが米中で異業種への展開を加速している。

ソーシャルメディアや旅行業への投資に続き、音楽・映像配信企業を相次ぎ買収。

今年上場を果たした米国では映画・娯楽産業への進出も模索する。

太平洋をまたいでエンタメ路線の拡大に向け、中国IT業界のリーダーであるアリババの総帥、馬雲(ジャック・マー)会長の野望は膨らむが、早々に映画子会社でスキャンダルが発覚。

前途の多難も予感させる。

 パートナー求め

 
「映画を学ぶため、そして組むべきパートナーを探しにやってきたんだ」

 
今年10月下旬、南カリフォルニアの陽光を浴び、米メディアに熱く語る馬会長の姿があった。

馬会長が向かった先は、米映画の“聖地”のハリウッド。

 
馬会長は精力的に米映画会社の幹部らと会合を重ね、映画産業の仕組みについてレクチャーを受けるとともに、直接投資することを含めて、ハリウッドとアリババがビジネスで手を組むチャンスがないか関係者に打診して回った。

 
その詳細はつまびらかにされていないが、スマートフォンやタブレット端末などに向けたコンテンツの獲得が狙いだったようだ。

 
そしてブルームバーグは関係者の話として、アリババは映画会社ではなく、特定の映画作品について投資したい意向だと伝えた。

さらに、中国国内でヒットしそうな映画を予想して、そうしたコンテンツをより大規模に配信していくことを目指しているという。

そのカギとなるのが、顧客の買い物や閲覧の履歴の徹底的な洗い出し。電子商取引が本業であるアリババらしい目線といえよう。

 
馬会長は現地での米メディアのイベントで、「アリババはシリコンバレーにずっとインスパイア(感化)されてきた。

今がまさに(米国で)投資すべき時だ」と熱弁を振るった。

さらに、中国が将来世界最大の映画マーケットに成長するとの見通しを示したうえで、「映画は中国の若者の行動を変えるという確信がわれわれにはある」と強調した。

 投資攻勢

 アリババは最近、ソーシャルメディアや娯楽分野での投資や新規事業を活発化させている。

2013年4月には、“中国版ツイッター”の微博を運営する新浪微博の株式18%を取得。

それに先立つ同年3月には、モバイル向け通話アプリを開発している米国の新興IT企業タンゴに2億1500万ドルを出資した。

本業の電子商取引のモバイルアプリのユーザー向けにゲーム配信も今年から開始した。



 
話題を集めたのが、今年10月に発表した旅行業への本格進出だ。

同社のオンライン旅行代理店の淘宝旅行(タオバオトラベエル)を再編し、「アリトリップ」という新旅行ブランドを創設した。

アリババの決済サービス部門の支付宝(アリペイ)と連動し、インターネット上で予約や支払いなどの一貫したサービスを提供するのが売り物だ。

 
音楽・映像分野にも力を入れている。13年1月には、音楽ストリーミング配信を手がける米シャーミーを2013年1月に買収。今年4月には、日本でも知名度が上がってきた中国の動画サイト「土豆網」の運営会社の株式を一部取得すると発表した。

 
そして、今年3月にはテレビ・映画製作会社の文化中国伝播をアリババの持ち株会社の傘下に収め、社名を「アリババ・ピクチャーズ・グループ」と変更。

このアリババ・ピクチャーズを軸に、「中国はもちろん海外も含めたテレビ番組の製作や、映画配給権の獲得に本格的に乗り出す」(アナリスト)との観測が市場で高まっている。

 今年7月には、人気映画「ハンガーゲーム」などのコンテンツを手がける米映画製作会社ライオンズゲートとも業務提携している。

 
不正会計

 
だが、まさにアリババがエンタメ路線で攻勢をかけようとしている矢先に、激震が走った。

 
米メディアによると、アリババ・ピクチャーズは今年12月、会計事務所の監査で同社の財務諸表の記載に誤りがあったことを明らかにした。

同社は8月に不正会計の可能性があることを公表していたが、疑惑がほぼ裏付けられた格好だ。

 
ウォールストリート・ジャーナル紙(電子版)によると、12、13年の税務申告と転換社債に関する記載に不備があり、香港証券取引所に届け出た。

ただ、かつての経営陣の監督不行き届きが不正申告の一因で、詐欺行為があったとの見方は否定しているという。



 
また、同紙は事情を知る関係者の話として、アリババグループが引当金をすでに計上し、アリババ・ピクチャーズの問題が連結決算に目立った影響を与える公算は小さいとしている。

 
しかし、アリババ・ピクチャーズの不正会計疑惑は、市場でも波紋を広げてきており、米法律事務所の関係者は「米国進出を近年強めている中国企業の不明朗な経営実態や不祥事に、米国の企業や市場関係者は神経をとがらせている」と指摘する。

 
企業間電子商取引からスタートし、ITを軸にレジャーやエンタメまで手を広げるアリババと馬会長だが、その道のりは平坦ではなさそうだ。