<核のごみ・現と幻>「国策民営」責任どこに/(中)再処理への憂い | 人生の水先案内人

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<「世界が懸念」>
 
原発の使用済み核燃料の再処理で取り出されるプルトニウム。

「その扱いを民間企業に任せているのは日本だけだ。

世界が大変懸念している」
 
電力会社や原発関連企業などでつくる日本原子力産業協会の服部拓也理事長はそう述べ、再処理などの核燃料サイクル事業に「国の関与を強めるべきだ」と強調する。
 
服部氏が言う「民間企業」は、サイクル事業を担う電力各社の出資会社、日本原燃(青森県六ケ所村)を指す。

同氏が専門委員を務める政府の総合資源エネルギー調査会原子力小委員会では夏以降、原燃の経営形態をめぐる議論が熱を帯びた。
 
「今まで原燃が進めてきたが、トラブルで時間がかかっている」
 
9月中旬の小委員会では、経済界出身の委員が再処理を念頭にサイクルの停滞を指摘。「政府は放置せず、管理監督すべきだったのではないか」と続けた。


<平行線たどる>
 
国策とされるサイクルだが、原燃は株式会社で法的位置付けもなく、事業から撤退しようと思えば可能だ。

一方、再処理で出る高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の最終処分は経済産業省の認可法人・原子力発電環境整備機構(NUMO)が担う。

電力各社が拠出金を払うが、事業内容は法律で定められている。
 
高レベル廃棄物だけを見ても、起点とも言える再処理と、終点となる最終処分の事業主体の性質と経営形態が異なる。

「国策民営」には、責任の所在の曖昧さがつきまとってきた。
 
小委員会では原燃の経営形態をめぐり、「NUMOに近づけるべきだ」という改編論と「民間活力が必要」との現行維持論が平行線をたどった。




<関与強化訴え>
 
この間、電力業界は、2016年に始まる電力小売りの全面自由化で厳しい競争にさらされる点を強調。電気事業連合会の八木誠会長は記者会見で「民間主体でやりたい。

ただ事業環境は変わった」と国の支援や関与強化を再三訴えた。
 
小委員会は24日の会合で、再処理事業資金について電力会社が積み立てる方式から、NUMOと同じ拠出金方式に変更する提言書をまとめる。

組織形態については「安定的な事業の実施と民間活力の発揮を両立させるよう検討する」と曖昧な結論にとどめる見通しだ。
 
原燃の組織形態をめぐる議論は、小委員会事務局の経済産業省が論点を提示したのが発端。

そのため同省が民間主体を見直し、国が前面に出る姿勢に転換したとの受け止めもあったが、結果は違った。
 
「事業者が責任を負って事業を行うことが前提」。

関係者によると、経産省はこうした文言を当初の提言書案に盛り込んでいたが、委員から異論を受けて削除するという。
 
本音では民間主体の維持を望む経産省と、何より負担軽減を求める電力会社。

両者の思惑が絡み合った末の結論は、従来と大差ない国策民営の姿だった。