(ブルームバーグ):
12月4週(22-26日)の日経平均株価 は続伸しそうだ。
国際原油市況の下落を受けたロシアなど資源、新興国経済に対する過度の不安が後退しつつあるうえ、第3次安倍政権の始動や国内株式需給の好転による2015年日本株の上昇期待が広がる。
仏運用会社コムジェストの日本株ポートフォリオ・マネジャー、リチャード・ケイ氏は「前例のない政治力を持つ安倍晋三首相が今後4年間で日本をどう変えたいかが市場の行方を左右する。
戦後の歴史でここまで投資家の立場を理解した、あるいは自分の政策をアピールした首相はいない」と指摘。
改革が遅過ぎるとの批判が一般的になりつつあるが、「個人的にはなお期待している」とし、ポートフォリオの30%弱という日本株の配分比率を維持する。
第3週の日経平均は、週間で1.4%高の1万7621円40銭と反発。
原油安が資源国経済に打撃を与え、世界的な金融市場の混乱につながるとの警戒で週前半に600円超下落、後半は800円超上昇と乱高下した。
通貨ルーブルの急落でロシア中央銀行は緊急利上げを強いられ、アジア株でもタイSET指数が大幅安、南米ではベネズエラ国債が売られ、「まるでアジア危機、ロシア危機が起きた1990年代終盤を思い出させる様相」と大和証券のチーフテクニカルアナリスト、木野内栄治氏は言う。
為替が16日に一時1ドル=115円台半ばと約1カ月ぶりの円高水準に振れたことも日本株波乱の一因。
SMBC日興証券の調べでは
12月1-16日に円は対ドルで1.9%上昇、
11月は5.3%下げていた。
同期間の対ドル相場はルーブルが27%下落、
メキシコペソが5.6%、
ノルウェークローネが5.3%それぞれ下げ、
英ポンドは0.7%高、
ユーロは0.5%上昇と、
マネーは資源国から安全資産へと流れた。
クリスマス休暇、米国の金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)を前にリスク回避、持ち高整理の動きが出やすかった事情もあるが、連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長はFOMC後の17日の会見で、拙速な利上げは行わない考えを示唆。
急激な世界のマネーフロー縮小に対する警戒は薄れ、市場は落ち着いてきた。
第3次安倍政権が始動、2桁増益予想
14日に行われた衆院選では自民、公明両党で議席数の3分の2以上を獲得する与党の圧勝に終わり、24日に特別国会が召集、衆参両院での首相指名選挙を経て第3次安倍政権が発足する見通しだ。
ゴールドマン・サックス証券のエコノミスト、馬場直彦氏は「今回の選挙は政局をいったんリセットし、向こう4年間の政治基盤を安定的に整備しようという意図が色濃く、安倍首相はその試みに成功した」と総括する。
安倍首相は選挙翌日の会見で、個人消費のてこ入れや地方経済底上げへ年内に経済対策をまとめ、来年度予算編成にも間髪入れずに着手する方針を表明。
消費税率再引き上げの延期など政策対応、円安や米経済の堅調を背景に企業業績の改善も続きそうで、三菱UFJモルガン・スタンレー証券によると、14年度の東証1部3月決算企業(金融除く)は純利益で13%増、15年度は14%増が見込まれる。
加えて、政府主導によるコーポレートガバナンス(企業統治)改革や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の日本株運用比率の引き上げは企業の成長力向上を側面支援、株式需給の好転につながり、来年の日本株を押し上げそうだ。
ブルームバーグ・ニュースのストラテジスト、ファンドマネジャー調査では10人中、6人が来年6月の日経平均目標値を1万9000円以上に置く。
「GPIFのみならず、かんぽ生命やゆうちょ銀行も運用比率を変更すると想定しており、日本株の需給バランスがかなり改善する」とコムジェストのケイ氏もみている。
安保や原発、ポピュリズム
えとと日本株の関係を示す相場格言では、14年は「午(うま)尻下がり」。
戦後のうま年の日経平均騰落率 はバブル経済崩壊の1990年、ITバブル崩壊後の02年の大幅安が響き、平均でマイナス7.5%と十二支中最悪。
ことしも前年急騰の反動や消費税増税後の国内景気の失速が上値を抑え、10月中旬まで1万4000-1万6000円で低迷した。
その後は10月末の日本銀行の追加金融緩和、GPIFの運用比率変更を好感し、今月8日には7年4カ月ぶりに一時1万8000円を回復した。
格言に従えば、15年は「未(ひつじ)辛抱」。
ひつじ年の平均騰落率はプラス7.7%と十二支中9位で、03年には日本郵政公社の発足やりそなホールディングスへの公的資金注入、91年は湾岸戦争、79年は木曽御嶽山の噴火、55年は神武景気を経験している。
ゴールドマン証の馬場氏は、今後の安倍政権には憲法解釈変更を含む安全保障関連法の整備、原子力発電所の再稼働問題、環太平洋経済連携協定(TPP)など「難しい政治的問題が待ち受ける」との認識だ。
衆院選で落選した次世代の党最高顧問の石原慎太郎氏は16日の政界引退会見で、「日本経済を評価するメジャースティックに株の値段が取り上げられるのはあまりいいことではない」と発言。
株価は「経済界の上層部、上場企業の内容で、日本経済全体、国民生活が向上しつつあると判定を
下す指標にはならない」とし、格差への不平や不満、社会心理学的リアクションが共産党の躍進につながったと石原節を披露した。
アレルギーの強い安保や原発政策など経済以外でのつまずき、ポピュリズムの高揚は政権、株式市場にとってのリスクだ。
SMBC日興証の金融財政アナリスト、末沢豪謙氏は異次元金融緩和が抱えるリスクや財政出動の限界から「今後は人口政策を含む『成長戦略』によって日本の潜在成長率引き上げが必要」で、そうした対応が引き続き進捗(しんちょく)しないと、利上げタイミングを探る米国金融政策の影響もあり、「『未辛抱』の年となる可能性も否定できない」としている。
第4週の投資材料は、
国内では26日に11月の消費者物価や家計調査、鉱工業生産の発表があり、ニトリやJ.フロントリテイリング、高島屋など消費セクターを中心とした2月決算企業の四半期業績の開示も始まる。
米国では
22日に11月の中古住宅販売件数、
23日は耐久財受注、新築住宅販売件数が公表予定だ。
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浅井真樹子, 院去信太郎
更新日時: 2014/12/19 16:37 JST