第二の青春を大学で 50歳からの学び直し講座、仲間づくりも | 人生の水先案内人

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2014.7.26 17:10

 
「四十にして惑わず」「五十にして天命を知る」。
論語にはこうあるが、平均寿命が伸びた今、子育てを終え、定年を間近に感じ始める50代は惑いの季節。残りの人生をいかに生きるべきか。
定年を過ぎても体力、気力が十分なアクティブシニアの生き方のヒントになればと、学び直しの講座が注目されている。(村島有紀)

 いかに生きるか

 
「人生の目的は何でしょうか。
十牛図(じゅうぎゅうず)(禅において悟りを牛にたとえ、修行の道のりを表現するために用いた説明図)によると、1つ目は自分を知る自己の究明、2つ目が生死の問題を乗り越える生死解決、3つ目が他者救済です」

 
大乗仏教の思想の一つ、唯識(ゆいしき)思想について話す横山紘一・立教大名誉教授の言葉を
50~70代の学生たちが真剣にメモを取る。

 
立教大(東京都豊島区)が平成20年に開設した生涯学習機関「立教セカンドステージ大学」。
50歳以上のシニアを対象に、教養教育(リベラルアーツ)に重点を置いた講義を行い、
現在は約150人が学ぶ。

 前後期の講義は月~金曜日の午後3時から。

思想や哲学などの教養科目群▽起業やコミュニティー活動に役立つビジネス科目群
▽介護保険の知識や高齢期の住まいづくりなどの実用知識を得る人生設計科目群-の3群計40科目から関心のある科目を選択する。

 
教養科目として仏教思想を教える横山教授の授業を選択した静岡県から高速バスで通う近藤和子さん(61)は「仏教や哲学など、なかなか自分1人では学べない。

今までとは全く違うことをやってみたいと、迷いに迷って入学を決めました。

自分のことを見つめる良い機会になる」。

東京都江東区の水飼芳貴さん(62)は「『仕事人間』だった過去40年の自分を振り返り、
これから何をするか、1、2年じっくり考える期間にしたい」。

 
横山教授は「若い人は『いかに生きるか』よりもリクルート活動に熱心。人生経験が豊かな
50、60代の方が講義に真剣に向きあう」と話す。

 人脈、仲間づくり

 加齢によって短期記憶は衰えることが老年学などの研究で明らかになっている。
一方、言語能力や日常の問題解決能力には加齢の影響はなく、むしろ向上するとされる。

 一昨年、文部科学省の検討会が公表した報告書「長寿社会における生涯学習の在り方について」では、高齢者による社会貢献の重要性を強調。

生涯学習が大きな役割を果たす可能性を示唆している。

 
立教セカンドステージ大は本科(1年間)と専攻科(同)の最長2年間だが、修了後も大学で得た人脈や仲間を役立てる仕組みがある。

「サポートセンター」と呼ばれる自主学習グループを支える仕組みで、現在、在日外国人の支援や高齢者施設の慰問など9グループが活動している。

 
埼玉県越谷市の井上敬滋さん(65)は修了後、地域コミュニティーのために働きたいと考えている。
「定年後にゴルフ三昧や旅行三昧では生きがいは得られない。
同世代の人と切磋琢磨(せっさたくま)しながら、もうひと頑張りしたい」と話していた。

 
■海外プログラムや資産運用も

 高齢者に学びの機会を提供している教育機関は多い。

早稲田大の生涯学習機関「早稲田大エクステンションセンター」では公開講座のほか、

シニア向けの海外留学プログラムも実施している。

また、大阪電気通信大金融経済学部資産運用学科では、シニアにも投資の基礎知識を身に付けてもらおうと、社会人入試制度を設けている。

 
そのほか、自治体や各種団体などにも生涯学習講座があり、期間や費用、内容もさまざまだ。

 
奈良県ではシニア世代を対象に今年度から、高校の国語、英語、日本史、世界史の教科書をベースにした講義や大学教員らによる多様な講義を1年間通じて学ぶ「奈良県立大学シニアカレッジ」を開設した。

1講座年間35コマ(1コマ90分)で受講料は1万円。長野県長寿社会開発センターのシニア大学は社会参加や健康づくりなどのための講座を開設している。