2014.2.18 05:00
漫画の吹き出しを読んでいただきたい。
さながら情報戦のようなビジネス最前線でいかに精度の高い情報を入手するか否かが勝敗を分ける…、そんな熾烈(しれつ)な状況を描写した一コマ。
ここで考えてほしい。
文字、数字、音声など物理的に認識できるものと、背景、前後関係、文脈など瞬時に見えないものが存在するという事実を。
われわれは誰もが、どこでも、いつでも瞬時に情報を入手できるネット検索というインフラに恵まれた。
しかし、情報の表層をなぞっている限りでは差別化不全に陥り、競争優位性は永遠に獲得できない。
なぜなら客観的情報を入手する速度は均一化し、普遍的情報を同じ論理や分析処理する限り、そこから導き出される発想に差異が生じる訳がなく、誰もが同じ結論になるからだ。
「生きている時代の脈絡を読み取る知性」をコンテクスチュアル・インテリジェンス(contextual intelligence)というが、コンテクストを読む能力は今後ますます
重要になるだろう。
セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長は、POSなどの分析偏重を指摘している。
「重要なのは人間による“仮説・検証”です。
明日の売れ筋は何なのか、次の新たな売れ筋商品はどれなのか、店舗ごとに現場で仮説を立て、それをもとに仕入れをする。
POSシステムは仮説が正しかったかどうかを検証するためのものであって、POSが出した売り上げランキングの結果をもとに発注するものではないのです」(「鈴木敏文の統計心理学」勝見明著、プレジデント社発刊)
売れ筋商品の背景や購買者の心理までをも読み取ろう!とする努力が競合他社との差別化、競争優位性を生む。
われわれは目に見える関係ばかりに注視し、目に見えない関係性を見抜く努力を怠りがちだ。「氷山の一角」という表現がある。
表層面を追うだけでなく、海面下にある背景、歴史、関係性、文脈など各種コンテクストを能動的に洞察する思考法を鍛え上げたいものだ。
本来日本人は「あ・うん」の呼吸で推し量る能力、すなわち関係性を見抜く能力に秀でていたように思う。
しかし、バブル崩壊後、日本は自信喪失し、各企業の経営者はこぞって欧米流経営スタイルに傾倒してきた。
MBAに象徴されるグローバル標準の論理的思考や分析能力を備え、効果効率路線をひたすら爆走するがごとく。
片や米国ではMBA的な論理的思考や分析偏重の経営スタイルを改めて問いただす機運が高まっていると聞く。
目に見える「関係」に右往左往することなく、目に見えない「関係性」にも思いをはせたい。
耳を澄まし地球の鼓動を感じ取る! 洞察力とはそのようなものだ。
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【プロフィル】柴田明彦
しばた・あきひこ 1959年、東京生まれ。
慶大法卒。
83年に電通入社、新聞局出版・コンテンツ開発部長などを歴任。
2006年に退社し、
(株)A&Y TRUST 0915 社団法人NS人財創造機構を設立。
企業・団体の広報・宣伝、販売に関するコンサルティングなどを行う。