12月10日(ブルームバーグ):
今週の債券市場で長期金利は0.7%台前半で上昇余地を模索する推移が見込まれている。
米国債市場で雇用統計を受けて10年債利回りが上昇したことに加えて、衆院選挙を週末に控えて売りが優勢になるとの見方が出ている。
長期金利の指標となる新発10年債利回りについて、ブルームバーグ・ニュースが7日に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジは全体で0.65%-0.73%となった。
前週末終値は0.705%。
前週の長期金利 は、5日に0.72%まで上昇したが、国債入札通過をきっかけにその後は大きく低下。
6日には一時0.685%と2003年6月27日以来の低水準を付けた。
もっとも、9年半ぶり低水準に対する警戒感から再び0.7%台に乗せた。さらに前週末の米国債相場は反落。
11月の米雇用統計が強めの内容となったことから米10年債利回りは1.62%と約1週間ぶり水準に上昇し、週初の円債市場の売り材料となる見込み。
11、12日に連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。短期国債を長めの国債に乗り換えるツイストオペが今月終了するのを受けて、資産購入を拡大する是非が検討される。
10月開催の同議事録によると「多くの参加者」が景気刺激で資産購入拡大が必要になると指摘した。
野村証券の松沢中チーフストラテジストは「金融緩和を原動力にした相場上昇であるから、FOMCでの緩和決定後は利益確定売りが出やすくなる。
クリスマス前の合意に向けた米財政論議の進展もリスクオン(選好)に働こう。
日本は日銀金融政策決定会合を控えて債券を売りづらいが、グローバルな流れにある程度追随しよう」とみる。
衆院選
週末16日に衆院選が行われる。
共同通信は4、5日実施の電話世論調査で、自民党は単独過半数を確保する一方、民主党は公示前の230議席から激減する可能性があると報じた。
自民党は日銀に対して大胆な金融緩和を要求している。
松沢氏は「選挙戦で自民党優勢との報道が日銀による緩和強化と解釈されたが、実際にまず具現化しやすいのは大型補正予算」だとし、選挙後の相場調整に一役買うのではないかとみる。
トヨタアセットマネジメントの深代潤チーフファンドマネジャーは「足元では政権交代後の財政支出拡大など売り材料を織り込めていないことが懸念」と指摘した。
需給イベントでは、13日に5年利付国債(12月発行)の入札が実施される。
前週末の入札前市場で5年物は0.165%程度で推移した。
このため、表面利率(クーポン)は8カ月連続で0.2%となる見込み。
発行額は前回債と同額の2兆5000億円程度。
新発5年債利回りは前週に0.15%まで低下し、03年6月10日以来の低水準を付けた。
今回の入札では、金利水準に妙味はないが、根強い緩和観測を背景に一定の需要が見込まれている。
みずほコーポレート銀行資金証券部の新井厚志次長は 「利回り水準が物足りなくても、久々の新回号となり、資金の置き場所として需要は根強い。
新政権の緩和圧力や新しい日銀総裁の政策を考えると、緩和期待が残り続ける」と分析した。
国内では10日に7-9月期の国内総生産(GDP)改定値が発表される。
ブルームバーグ・ニュースの調査では、実質GDPは前期比年率で3.3%減となる見通し。
14日には日銀が企業短期経済観測調査(短観、12月調査)を発表する。
前週末に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。
先物は期先限月の13年3月物、10年国債利回りは326回債。
◎トヨタアセットマネジメントの深代潤チーフファンドマネジャー
先物3月物144円50銭-145円00銭
10年国債利回り=0.68%-0.72%
「金利低下の勢いは弱まる見通し。
ここ2週間は今年度下期のポートフォリオ構築の動きが強まり、6日には超長期セクターにまで買いが及んだこともあって、選挙前の残高積み増しは進んだもよう。
週末に選挙を控えるタイミングにあたってさすがに買い圧力は弱まりそう。
引き続き一段の金融和の期待が支えとなるが、実際に緩和の効果にまで議論が踏み込めば、債券市場では金利低下余地が限られる公算が大きい」
◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
先物3月物144円50銭-145円00銭
10年国債利回り=0.67%-0.71%
「衆院総選挙を控えて大きな動きはないと想定している。
FOMCではツイストオペが年末に終了するので代わりの金融緩和策を表明するとみている。
金利低下要因となるものの、すでに織り込み済み。
日銀短観もある程度の悪化方向を織り込んでいる。
今月19、20日の日銀金融政策決定会合で何か追加緩和策を行うとの見方の材料になると思う」
◎みずほコーポレート銀行資金証券部の新井厚志次長
先物3月物144円50銭-145円20銭
10年債利回り=0.65%-0.72%
「国内需給からみれば堅調な相場が続く。
10年債利回りの0.7%台は買いの方が多いのではないか。
20年債はやや上値が重いが、
30年債のショートカバーがまだ残っている様子だ。
流動性供給入札も悪くないだろう。
米国の『財政の崖』に絡む交渉は続き、FOMCは国債購入の継続が決まるとみられ、米債相場の大崩れもないだろう」
◎JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジスト
先物3月物144円50銭-144円95銭
10年国債利回り=0.67%-0.73%
「長期金利は0.7%中心か。
国債買い入れの年限長期化や付利引き下げの可能性が意識されており、
金利は上がりづらい環境。
銀行勢を中心に10年まではデュレーション(期間)を延ばす買いが入りやすい。自民党総裁の発言で11月後半にかけて金利が上昇するとの見方が広がった経緯もあり、いったん買いを見送っていた向きの潜在需要は強い」
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更新日時: 2012/12/10 07:22 JST