日系企業、中国リスク回避でカンボジア投資急増 日中関係悪化も影響 | 人生の水先案内人

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2012.11.2 11:38

 

日本企業によるカンボジアへの投資案件が急増している。


投資にはカンボジア政府の認可が必要だが、誘致の旗を振るカンボジア開発評議会(CDC)によると、投資決定は年内に昨年の2倍となる40件まで膨らむ可能性があり、空前の投資ブームの様相だ。


労働力の安さと税制優遇される工業団地など恵まれた投資環境が魅力となっており、中国リスクを回避する「チャイナ・プラスワン」の候補地としても、注目が集まっている。

(上原すみ子、写真も)

 

カンボジアの首都プノンペン市街から車で西へ約45分。



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住友電装(三重県四日市市)グループは「プノンペン経済特別区」で4月半ばからワイヤハーネスの生産を始めた。

 

カンボジア現地法人の亀本進一社長は「中国の人件費高騰が最大の進出動機だった」と打ち明ける。

 

複数の電線を束にしたワイヤハーネスは機械化に適さず、人手がかかるだけに人件費を抑えないと競争力を損なう。


カンボジアの平均月額賃金は約80ドル(約6400円)強。


福利厚生費も含めると100ドル近いが、それでも中国やタイの3分の1前後だ。


日系進出企業の約8割がチャイナ・プラスワンだという。

 

日中関係悪化も影響

 家電向け電線組み立てのアスレ電器(横浜市)は他のメコン新興国も検討したが、賃金がさらに安いミャンマーは工業団地など投資環境整備に時間がかかり、ラオスは人口が1400万のカンボジアの半分以下で人材確保に懸念があった。


現地子会社の大島淳一会長は「消去法ですぐに進出できるのが決め手になった」と話す。

 

JICA(国際協力機構)からCDCに派遣されている投資アドバイザーの今村裕二氏は、最近1カ月だけで家電部品や金型プレスなど100件以上の投資相談で大忙しで、「日中関係悪化を機に投資にドライブがかかった」と実感している。

 

日本電産のように一部の生産をタイからカンボジアに移す「タイ・プラスワン」の動きも「水面下で活発化している」(日本貿易振興機構の道法清隆プノンペン事務所長)。

 

先行するのは、小型モーターなどの生産を開始したベアリング大手のミネベアだ。


平成25年春に工場を2倍近くに拡張するが、現地法人の香月健吾副社長は「工場の立ち上げや従業員研修はタイ人や中国人の駐在員が担当した」と笑顔を見せる。

 

インフラ不足が課題

 課題は、インフラ不足や原材料の調達だ。


労働改善を求めるストライキも発生し、進出企業からは「要求をのむしか解決策はない」とのぼやきも聞こえる。


少しでも不満を抑えようと、各社は村までのトラック送迎や社員食堂の充実、クメール語の読み書き教室など従業員の確保に躍起だ。

 

カンボジアへの投資は金額では中国の存在感が大きいが不動産など雇用につながらない投資も少なくない。


「従業員を大切にする日本企業の良さや技術・サービス産業の質の高さ」(黒木雅文・駐カンボジア大使)をいかに浸透させるかが成功の鍵を握る。