寒い季節に、ふぅふぅ言いながら飲む甘酒の味は格別だ。
ところが、近頃は暑さ対策として夏に飲用する人が急増している。
「飲む点滴」と呼ばれる甘酒に秘められたパワーとは-。(榊聡美)
暑さに負けない
歴史を遡(さかのぼ)れば、江戸時代には甘酒売りが町に現れ、庶民の夏の飲み物として親しまれていた。
一杯の甘酒が、厳しい暑さで消耗した体を癒やした。そのため、俳句で「甘酒」は、日傘や風鈴と同じ夏の季語になっている。
一般的に甘酒は、ご飯やおかゆに米麹を合わせ、酵素作用が活発な55~60度で保温し、米のでんぷん質を糖化させて造る。
酒かすを使い、砂糖で甘みを加える製法もある。
「飲む点滴」と言われる理由は、ブドウ糖、必須アミノ酸、ビタミン類などを含むため。
女子栄養大学栄養クリニックの管理栄養士、榊玲里(れいり)さんは、消化吸収の良さを強調する。
「麹が出す酵素によって、お米のでんぷんがブドウ糖に、タンパク質がアミノ酸に、それぞれ分解されている。
つまり、体内に取り入れたときは、既に消化されている状態。だから、負担なく栄養が吸収されるのです」
特に、夏バテで胃腸の機能が低下したときに、もってこいだという。
お中元でヒット
ここ数年で再び、夏バテや熱中症対策の飲み物として注目されるようになり、今年も「節電の夏」への警戒から順調な売れ行きを示している。
約40年前から缶入りタイプの甘酒を販売している森永製菓(東京都港区)は、4、5月の出荷量が2カ月連続で前年同月比200%超と絶好調だ。
「お米から造られた、体に優しい飲み物という安心感、そして、発酵食品ブームも追い風になっています」と、同社食品営業グループマネジャーの猪瀬剛宏さんは説明する。
一方、今年はお中元ギフトとしても需要を伸ばす。
節電の夏を元気に乗り切るための食品を特集した高島屋では、
老舗焼酎メーカー、錦灘酒造(鹿児島県霧島市)の
「麹屋の食べる甘酒」(12個入り、2730円)が予想を上回るヒットになっている。
水や砂糖を加えず、米と麹だけを使った昔ながらの製法で造られ、濃厚なコクと、すっきりとした自然な甘みが特長だ。
1杯分のカップ入りで、シャーベット状に凍らせたり、シロップ代わりにかき氷にかけたりして、さまざまな夏向けの味わい方ができる。
朝食やおやつに
日々の食生活では、「夏場の食欲がない朝や、おやつ代わりに飲むといい」と、管理栄養士の榊さんはすすめる。
独特の風味が苦手な人は、ショウガを加えたり、豆乳(無調整)で割ると、クセ
が和らぐ。
さらに、料理やお菓子作りに甘味料として使えば、ひと味違ったおいしさが楽しめる。
何よりあのホッとする味わいは、夏のストレスも癒やしてくれそうだ。
【甘酒豆乳プリン】
〈材料・6~7個分〉
卵………………………2個
甘酒 ………………190ミリリットル
豆乳……………………1カップ
砂糖…………大さじ2~3
〔1〕ボウルに卵、砂糖を入れてよく混ぜる。
豆乳を加え、しっかりと混ぜて、こす。
〔2〕(1)に甘酒を加え混ぜ、ココット型(プリン型でも)に8分目まで流し入れる。
〔3〕天板に深さ約1センチまでお湯を入れて(2)を並べ、
160度のオーブンで20~25分、湯せん焼きする。
〔4〕焼き上がったらすぐに型ごと取り出し、
粗熱が取れたら冷蔵庫に入れて冷やす。
【鶏肉の甘酒照り焼き】
〈材料・2人分〉
鶏もも肉………………1枚
甘酒…………………1/2カップ弱
ニンニク、ショウガ(いずれもすりおろし)…各少量
しょうゆ…………大さじ1
〔1〕鶏肉は厚い部分に包丁を入れ、全体の厚みを均一にする。
皮側にフォークで穴を開ける。
〔2〕甘酒、しょうゆ、ニンニク、ショウガを合わせ、(1)を10分ほど漬け込む。
漬け汁はとっておく。
〔3〕(2)の汁気をきり、熱したフライパンで皮を押しつけるようにして香ばしく
焼く。取り出して、食べやすい大きさに切る。
〔4〕(2)の漬け汁をフライパンに入れ、とろみがつくまで煮詰める。
〔5〕器に(3)を盛り、(4)をかける。
(森永製菓提供)