工場によっては複数の材種、形、サイズが混ざって送られることも
金属を切削加工する過程で、必ずといっていいほど発生する切りくず。
処理が不適切なら、工具を痛め、機械をストップさせるやっかいものだ。
逆に、スムーズに処理し、再生資源としていかすことができれば、資源に乏しいわが国にとって有益な存在となる。
切りくず搬送・処理装置は各工場の職場環境改善に役立つとともに、
上手に利用すれば埋蔵資源の豊かな鉱山へと変えることもを可能とする。
不具合防止に活躍
小説『華麗なる一族』の舞台としてもおなじみ電炉。鉄スクラップを主原料に建設用の鋼材などを作り出す。
数年前に制作されたテレビドラマでも、登場人物らがスクラップ材の入手に奔走する姿が描かれていた。
普通鋼電炉工業会のHPによると、わが国で2010年度に供給された鉄スクラップは約4500万トン。
そのうち生産工場などから発生する加工スクラップは600万トン程度を占め大半が電炉などで再利用される。
工場から出るスクラップにも、プレス加工で発生する断ちくず、鋳造作業で発生する湯口などがある。
とりわけ、加工時の取り扱いに注意を要するのが、切削や穴あけ、研削作業の際に発生する切りくずである。
切りくずの形状やサイズは材料と加工法によってさまざまで、粉状や放電加工のように球状のケースもあるが、多くは鋭利な形状で加工時の熱により元の材料により硬さが倍増している。
工作機械が高速運転すると、これら硬い切りくずが大量に発生することになる。
近年は工作機械の性能が著しく向上し、それにしたがって時間あたりに発生する切りくずの量も増加する一方である。
また多軸加工機などの普及によって切りくずもいろいろな形状が混ざって出てくることになる。
特に穴あけの場合、この切りくずがドリルにからんで工具折損といったトラブルを起こすこともある。
ドリルなど工具の設計においては、切りくずの排出は非常に重要なポイントだが、加工機械からスムーズに切りくずを排出することもまた大切だ。
加工テーブルの上にたまった切りくずはクーラントやエアによって機械から送り出されるが、当然この処理を誤れば加工効率を下げ、加工品質すら損ないかねない。
加工効率アップも
その一方で、切りくずの搬送とその後の回収、クーラントとの分離、さらに減容化などの処理をスムーズに行うことができれば、加工効率向上に大いに役立つとともに、スクラップ材料として再利用をしやすくすることにもつながる。
切りくず処理装置は、マシニングセンター(MC)をはじめとする各種工作機械に組み込まれ、その性能発揮を助ける。
新井実著『絵とき切りくず処理基礎のきそ』(日刊工業新聞社刊)では、
搬送機選定にあたって考慮すべき点に、切りくずの材質、形、単位時間あたりの発生量と、切削油剤、そしてレイアウトの変更が容易かどうかメンテナンス性などを挙げている。
パーツフィーダーなどと同じく既製品をそのまま使うより、ワークやレイアウトに合わせた調整が必要な場合も多く、十分検討して信頼できる業者から導入することが大切だ。
これから切りくずの搬送で注意が必要となるのが、利用の増える耐熱合金やチタニウム、そして航空機で注目の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)など難削材への対応である。
とりわけ、CFRPについては、一体加工のイメージが強いものの、航空機のように異素材と組み合わせて使うには溶接や接着ではなくリベットでかしめたりボルトを使う。
そのためにたくさんの穴あけを行うが、CFRPはプリプレグと呼ばれる薄いシートを積層した構造で、穴をあければ金属のような切りくずではなく、細かな粉じんが発生する。
工具に設けた穴から粉じんを吸い取るシステムを開発した工作機械メーカーの例もあるが、普及が進めば処理の問題も本格化しそうだ。
広幅のくずとは処理方法が異なる細く軽い切りくず

