2012.3.29 05:00
■グローバル企業に不可欠な「ビジネスジェット」
ワールドワイドで活躍するグローバル企業にとって今やなくてはならないビジネスジェット。
スピードを重視する欧米の企業トップはフェース・ツー・フェースのトップセールスや、世界中に展開している自社の拠点訪問に必要不可欠なビジネスツールとして積極的かつ有効に活用している。
それに伴い、ビジネスジェットを受け入れる国、空港側の体制強化も進んでいる。
中国など新興国も普及・発展に力を注ぐ。
その一方で、日本におけるビジネスジェットの活用、運航は非常に遅れており、
日本だけが取り残されているのが現状だ。
このままでは日本に降りることなく飛び越えてしまうジャパン・パッシングが起こりかねない。
「戦後しばらくは定期バス中心だった地上輸送はやがてハイヤー、タクシー、
自家用車へと多様化していった。
ビジネスジェットはまさに空におけるハイヤー、タクシー、自家用車。
欧米では普及しているが、日本は定期バスのみ。
これではビジネスジェットで移動するグローバル企業から日本は見捨てられてしまう」
こう危惧するのは日本ビジネス航空協会(JBAA)の佐藤和信副会長・事務局長。
グローバル企業のアジア拠点が日本から離れる要因のひとつになっている。
このままでは日本企業、日本の都市、さらには日本経済の国際競争力の低下さえ招きかねない。
グローバル企業がビジネスジェットを必要とするのは時間を有効活用でき、プライバシーも守れるからだ。
ハイヤーや自家用車の利便性と同じで、利用者のスケジュールに応じた出発到着時間の設定と変更が可能なほか、定期便がない場所や時間帯でも移動ができる。
移動中も機内で会議や商談が行えるため時間の有効活用も図れる。
不特定多数の第三者と交わらないためプライバシーも確保できる。
だからこそ、ビジネスジェットはグローバル企業に必要不可欠なツールとして活躍の場を広げている。
ビジネスジェットの保有機数は、最も多い米国では1万8000機が登録されているのに対し、日本は民間機で55機にとどまる。
受け入れ体制も、ニューヨーク、ロンドン、パリといった欧米の主要都市は定期便用の主要空港とは別にビジネスジェット用の空港も完備しているのが普通。
アジアでも北京、上海、香港、シンガポールなどでは定期便用空港内にビジネスジェット専用ターミナルを設けるといった受け入れ体制の強化を図っている。
日本だけが取り残されたのは、航空行政が一貫して大型機による定期便輸送を優先してきたためで、ビジネスジェットのような小型機の利用には多くの規制が残されている。
そもそも首都圏空港におけるビジネスジェット用発着枠が大幅に不足しており、航空規制もビジネスジェットには厳しすぎる。
JBAAの佐藤副会長は「バスのルールを自家用車に適用しているのと同じ」と嘆く。
首都圏のみならず地方空港も含めて受け入れ支援体制、施設整備ともに遅れている。ビジネスジェットを受け入れる体制になっているとは言い難い。
「ビジネスジェットの利用者は自らのタイムテーブルで移動するのに、夜は飛んではだめ、時間外は税関もCIQも使えない。
『つまらない規制が残る、つまらない国』と外国人から不満が多い。
日本に降りないルートを作るといっている」と話すのは、ビジネスジェット関連ビジネスを手がける独立系企業のトップ。
日本にお金を落とさない仕組みをわざわざ作っているようなもので、ビジネスジェットが来ることによる経済効果の芽を自ら摘んでいるといえる。
外国人の悪評を拭い去るにはビジネスジェットを24時間、いつでも受け入れる体制づくりが不可欠だ。
その第一歩が成田空港におけるビジネスジェット専用ターミナルのオープン。
短時間での出入国検査が可能になり、東京エリアへのスピーディーなアクセスも可能になる。
◇
■主要国別ビジネスジェット機及びビジネスターボプロップ機保有数(2010年末)
国 ジェット機 ターボプロップ機 合 計
アメリカ 12074 6958 19032
カナダ 443 542 985
ブラジル 557 580 1137
アルゼンチン 117 115 232
ドイツ 385 167 552
フランス 203 239 442
イギリス 322 92 414
イタリア 143 66 209
スイス 153 58 211
ロシア 115 22 137
UAE 93 12 105
サウジアラビア 88 23 111
南アフリカ 171 229 400
オーストラリア 150 247 397
中国 109 12 121
香港 23 0 23
インド 144 84 228
日本 88 89 177
出典:Flight global社jp Biz-Jet 2011