【上司のホンネ 部下のホンネ】藤冨雅則 トップ営業マン「巻き込み力」の極意 | 人生の水先案内人

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このまま売れない日が続けば倒産するかもしれない…

 

時はITバブルが崩壊しベンチャーがバタバタと倒れ、あの「そごう」までもが事実上倒産した大不況の真っただ中だった。


商談でいいところまで行ってもクロージングの一歩手間で切り捨てられてしまう。


その理由は「ベンチャーは危険」という空気が漂っていたためでした。

 

私はITベンチャーの営業マンに転身してから2年目でトップセールスになりました。

 

逆境が訪れたのは4年目。


営業には自信があったもののこの時ばかりはまったく売れず、

かなりシンドイ思いをしました。


 「上司に掛けあってみたけど『御社と契約して、万が一、御社が倒産してしまったらとしたら、ウチのシステムがストップすることになる。


そんな危ない契約は結べないよ』といわれてしまったんです。


本当に残念だけど、今回は見送りという結論になります」


 商談で興味をひき付け盛り上がり、さあ結論間近…というタイミングでほとんどの企業からかけられる断り文句。


こればかりは営業努力ではどうにもならないのではないか、と行き詰まり感が日増しに強まっていました。

 

長女が生まれたばかりで幸せ絶頂期のはずなのに「いつか減給になるのでは。


ボーナスなんて出ないかもしれない。


まさか倒産なんてことになったら…」と気が気でなく、不安は募るばかり。


商談に敗れ続けると娘の顔を見るのもつらく、娘が寝付く時間まで近所の公園でカップ酒を飲みながら時間を潰していることもありました。

 

「転職しようか」とふと弱い自分がささやく。


 でも「もう二度と転職はしない」と決めていたし、営業が逃げ出して会社が本当に危なくなったら、今まで契約してくれたお客さんに迷惑がかかる。


それは断じて許されない。


そう思いたった瞬間、パチッと心のスイッチが切り替わりました。


それまでは営業が単独でシステムを提案し、契約を頂いた後、開発に結果を報告していました。


このため、お客さんが望んでいることと出来上がったシステムがチグハグで“言った、言わない”のトラブルが社内外で火を噴いていました。

 

これでは開発も営業も、さらにはトラブルやクレームを最初に受ける現場サポートスタッフからコールセンターまで、社内の士気が上がるハズもありません。

 

営業が成果を上げるために必要なモノとはなにか。


スキルやテクニックも大事ですが、何よりも「この商品やサービスを世に広めたい!」という情熱がなければ始まりません。

 

社内のメンバーを巻き込み、何のために私たちはこの商品を売っていくのか。


このコンセンサスができると自然に情熱は湧き出てきます。


営業で大事なことは、まずは同じ会社のメンバーが一丸となって戦っている、という空気を作ること。


特に不況で売り上げが伸びない時こそ、巻き込み力を発揮して社内の士気を高めていくことが大切だと、この経験を通じて痛感しました。

                   ◇

【プロフィル】藤冨雅則

 ふじとみ・まさのり 1969年、東京生まれ。


高校卒業後、板前修業、コンサルタント会社勤務、

ITベンチャー勤務を経て2003年、日本アイ・オー・シーを設立

、代表取締役に就任。

80万部超えのフリーペーパーを創刊したのち、事業を譲渡。

現在は中小・零細企業の売り上げアップの支援を精力的に行っている。