柳家の一族、橘蓮二 | 噺新聞(874shimbun)

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横溝正史、金田一耕助シリーズ第四弾「犬神家の一族」

これをもじり、橘蓮二がかかわったポスター「柳家の一族」が抜群にいいですね。

これを見て、中身もよく考えず、即行でこのチケットを頼んでしまった。

 

開口一番柳亭市助の「元犬」。

そして鈴々舎美馬、柳家小太郎が喬太郎の新作「午後の保健室」と「銭湯の節」を高座にかける。柳家喬太郎は「お楽しみ」として新作を演じるようだ。

 

漫談の寒空はだかは、確か埼玉大学落研出身だったはず、喬太郎と同じ頃、落研だったと思う。落語協会の色物の一員に加わったようだが、その存在はまだ公にはなっていないと舞台で話していた。

漫談の冒頭では喬太郎トリビュートとして喬太郎の唄「東京ホテトル音頭」を披露していた。

 

鈴々舎美馬は平成30(2018)年、鈴々舎馬風に入門、令和5(2023)年二ツ目に昇進。

柳家小太郎は平成30(2018)年、柳亭左龍に入門、令和5(2023)年二つ目、昇進、柳家小太郎と改名した。

 

前座市助の「元犬」は橘蓮二からの要望で、「神家」と「元」をかけた咄ということで、今日の高座のために仕込んだ咄という。

 

喬太郎の新作は、当然ながら喬太郎自身のキャラクター、色合いが濃く反映された作品である。

なので、小太郎、美馬ともそれを踏まえてどこまで喬太郎の演じた作品に近づけるかであろうか、だ。

 

小太郎の「銭湯の節」、この作品は聴くのが初めてである。

落研出身の女の子が登場してくる。喬太郎の新作には落研所属のという作品は多い。

そして「芝浜」のさわり、棒手振りの魚屋の女房が寝ている亭主を起こす様子。

喬太郎のここいらへんの演じ方は、いかにも落研の女の子の様子が笑いを誘うようこちらに伝わってくるのだが、

小太郎さん、この辺、浪曲の節回し、笑いをドカン、ドカンと来させるには至らなかったようだ。

 

「午後の保健室」は喬太郎が二ツ目の時の新作。1998年NHK新人演芸大賞(落語部門)大賞作品で、評判の良い作品。

オヤジ臭い話し方をする中学生と現代の若者のようなチャラチャラする話方をする校長など、喬太郎がかなでるオヤジ言葉と若者言葉の対比が絶妙な面白さを出す咄だったが、登場人物の見事な振り分けが、美馬の人物対比にはなかなか荷が重たかったのかもしれない。

 

「お楽しみ」の喬太郎。

高座に上がったのは20時半、咄を終えたのは21時半、予定より30分もオーバーしていた。

高座へ向かう姿は着物姿だが、通常の高座着と違った仕立ての着物に袴。喬太郎の白髪もいつもの髪型より伸びていてボサボサの長髪気味。そう、このスタイルは金田一耕助そのもの。

 

高座に上がって、マクラもなしですぐ本題に入っていった。

ハっつあんが隠居のところで話しだす、

「伊勢屋の旦那が、三度死んだんです」

と、これは古典落語の「短命」、別名「長命」の冒頭。

隠居が死んだその理由を

「新婚は夜することを昼間する」「何よりもそば(傍)が毒だと医者が言い」

こんな「短命」から次第に咄は進んでいき、金田一耕助が登場して旦那が三度死んだという謎解きに展開していく。

オチは高座の釈台の下にあったマントを羽織りながら高座を降りて行くという演出になっていた。

長講、一番、喬太郎、今日の「柳家の一族」ポスター同様凝った一夜でした。

喬太郎の演題は「伊勢屋の一族」だとさ。