ふなばし市民寄席 | 噺新聞(874shimbun)

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ふなばし市民寄席に足を運んだ。

開口一番は一之輔の弟子で前座の春風亭いっ休の「たらちね」

一之輔、百栄、喬太郎と3人の噺家の会、まずトップバッターは2012年に21人抜きの抜擢で真打になった春風亭一之輔。

今日の演目は今年の干支にちなんでか、左甚五郎が登場する「ねずみ」だった。この噺に登場する宿引きの子供の演じ方がいい。噺家自身とは違う登場人物、おかみさんやお姐さんなど女性や子供を上手く演じる噺家は技量が高い噺家のような気がする。なるほど一之輔、得意ネタには「初天神」が入っていた。

 

二番手は春風亭百栄。この噺家を聴くのは初めてであった。名前も「ひゃくえい」と呼ぶのだろうか、春風亭というが、誰の弟子だろう、と分からない噺家だった。

名前は山口百恵の「ももえ」と呼ぶそうで、師匠は春風亭柳枝に入門し、柳枝没後八代目林家正蔵(彦六)移門し、彦六が死去し、のち七代目春風亭栄枝を襲名した、栄枝。おかっぱがトレードマークで、こうみえてもずっと歳をとっているんです、と自己紹介していた。

噺家は「…するってぇと、なにかい…」などと口調が落語独特になりがちだが、この百栄、現代の日常会話風の口調で噺を進めていく、なかなか不思議な芸風の持ち主だ。きょうの演題は「桃太郎後日譚」。

 

トリは真打20年目になる柳家喬太郎の「転宅」。

お妾さんと妾宅に入り込んだ泥棒のやりとり、喬太郎の女性の演じ方が秀逸だ。

喬太郎が大学4年の時に作った「純情日記横浜編」、今も時々高座に掛けられるが、この噺を初めて聞いた時、登場する女の子が、あー、いるいる、こんな女の子、と楽しくなってきた覚えがある。

演じ方はデフォルメされているが、なんの抵抗もなくその姿が聴き手の脳裏にストーンと納まってくるのである。見事だ。

 

開演前にロビーで買った東京かわら版新書「柳家喬太郎バラエティブック」(定価1,637円+税)

目次には 柳家喬太郎のできるまで 第一章 幼少期〜高校生まで 第二章 大学〜アマチュア時代〜入門まで 第三章 前座〜二ツ目〜真打昇進まで 第四章 真打〜現在 

本の帯には「これを読むと、今すぐ喬太郎を聴きたくなる!」とある。じっくり読んでみましょう。