FULL MOON 夜を駆ける 20
グルグルと虎は喉の奥で苛立ちをあらわしていた。
枝の先をくわえて抜こうとしているけれど、頑として抜けることはなく、いらいらが募るばかりだった。
「残念だけど、抜けないように、枝に割れ目を入れて返しを作ってあるから」
『イヤナヤツ イヤナヤツ』
「ひとつづつ奪っていくしかないでしょ、あたし力ないし」
『ニンゲン ソウダ オレタチミエナイ』
ふっと虎の声が沈む。怒りだけでないものが、そこにある。
「いるじゃない、ここに」
『ニンゲン ジブンシカ ミエナイ』
「そんなはずない」
『ニンゲン コドモ コロシタ タベナクテモ コロス』
虎はじっとこっちを見ている。怒りだけではないもの…
「……どうして、あたしにそんなこと言うのよ」
『オマエ ツヨイカ オレヲコロスカ』
「あたしがどんな思いでここに来たのか知らないで…
勝手にスンホンを使ったくせに、自分だって被害者だなんて
……あたしもスンホンもあんたに関わりたくなんかなかったよ
知りたくなんか
なかったよ」
事の始まりは人間からだなんて。
『コロス クラウ イキテルカラ スル
ニンゲン コロス ステル
シヌイミナイ』
「みんながそうじゃない。人間だって…」
何をする?子供の虎を動物園に売りさばくのか、剥製でも作るのか。
たまたま、殺してしまったのだろうか。皮を剥ぐなら親を狙うだろうし、売るなら生け捕りだろう。
親の怒りは根深い。関係ない他の人間まで手をかけるつもりなら
もう
この虎は
人喰い虎なんだ。
枝の先をくわえて抜こうとしているけれど、頑として抜けることはなく、いらいらが募るばかりだった。
「残念だけど、抜けないように、枝に割れ目を入れて返しを作ってあるから」
『イヤナヤツ イヤナヤツ』
「ひとつづつ奪っていくしかないでしょ、あたし力ないし」
『ニンゲン ソウダ オレタチミエナイ』
ふっと虎の声が沈む。怒りだけでないものが、そこにある。
「いるじゃない、ここに」
『ニンゲン ジブンシカ ミエナイ』
「そんなはずない」
『ニンゲン コドモ コロシタ タベナクテモ コロス』
虎はじっとこっちを見ている。怒りだけではないもの…
「……どうして、あたしにそんなこと言うのよ」
『オマエ ツヨイカ オレヲコロスカ』
「あたしがどんな思いでここに来たのか知らないで…
勝手にスンホンを使ったくせに、自分だって被害者だなんて
……あたしもスンホンもあんたに関わりたくなんかなかったよ
知りたくなんか
なかったよ」
事の始まりは人間からだなんて。
『コロス クラウ イキテルカラ スル
ニンゲン コロス ステル
シヌイミナイ』
「みんながそうじゃない。人間だって…」
何をする?子供の虎を動物園に売りさばくのか、剥製でも作るのか。
たまたま、殺してしまったのだろうか。皮を剥ぐなら親を狙うだろうし、売るなら生け捕りだろう。
親の怒りは根深い。関係ない他の人間まで手をかけるつもりなら
もう
この虎は
人喰い虎なんだ。
猫とわたし
我が家には雄ねこがいる。
のらを拾ってきて飼っているけれど、人懐っこいバカニャンだ。
近所には何匹も猫を飼っている家が多く、猫の特徴を言えば、『あの猫なの~』と言われるくらい外をほっつき歩いている。
そして。
雄猫というのは縄張り争いのいざこざでケンカをすることが多く、いつもケガだらけ。
ケガのせいで死にかけたことがあるのに、外の魅力にはかなわないらしい。
ケンカはいつものことながら、夏は傷口が化膿しやすくなる。
また顔にできた傷口がふさがらずに、化膿してきた。
仕方ないので、化膿止めの薬を飲ませることにした。
一粒を半分に割ったものが一回。それを口をこじ開けて、なるべく奥に突っ込み、飲み込むまで口を押さえて様子を見る。
飲み込んでいないと、すぐに吐き出すので、吐き出されたら、また薬を押し込む。
ひどい時には5回も6回も繰り返す忍耐のいる作業だ。
しかし今回は、吐き出さずにいい子で飲んでくれた。
少し大人になったかしら。
すでに3年は一緒に暮らしてて、今さら大人もないのだけど。バカニャンなりに、薬が大事だと分かったのかも。
それから毎日、よい子になったニャンに薬を与えていたのに、一向に傷口が乾かない。
おかしい…
お休みに階段掃除をしようと、ほうきで掃き出したら、隅からころころと白いかけらが出てきた。
拾いあげて、よくよく見ると……
化膿止めの錠剤!!!
しかも表面は溶けた形跡があり、どう見ても吐き出したもの。
ニャンたら飲んだふりして、わたしがいなくなってから吐き出してたんだ!
悪知恵ばっかついたのね。
それからは、飲んだか口をこじ開けて確認。
猫知恵と対決中。
のらを拾ってきて飼っているけれど、人懐っこいバカニャンだ。
近所には何匹も猫を飼っている家が多く、猫の特徴を言えば、『あの猫なの~』と言われるくらい外をほっつき歩いている。
そして。
雄猫というのは縄張り争いのいざこざでケンカをすることが多く、いつもケガだらけ。
ケガのせいで死にかけたことがあるのに、外の魅力にはかなわないらしい。
ケンカはいつものことながら、夏は傷口が化膿しやすくなる。
また顔にできた傷口がふさがらずに、化膿してきた。
仕方ないので、化膿止めの薬を飲ませることにした。
一粒を半分に割ったものが一回。それを口をこじ開けて、なるべく奥に突っ込み、飲み込むまで口を押さえて様子を見る。
飲み込んでいないと、すぐに吐き出すので、吐き出されたら、また薬を押し込む。
ひどい時には5回も6回も繰り返す忍耐のいる作業だ。
しかし今回は、吐き出さずにいい子で飲んでくれた。
少し大人になったかしら。
すでに3年は一緒に暮らしてて、今さら大人もないのだけど。バカニャンなりに、薬が大事だと分かったのかも。
それから毎日、よい子になったニャンに薬を与えていたのに、一向に傷口が乾かない。
おかしい…
お休みに階段掃除をしようと、ほうきで掃き出したら、隅からころころと白いかけらが出てきた。
拾いあげて、よくよく見ると……
化膿止めの錠剤!!!
しかも表面は溶けた形跡があり、どう見ても吐き出したもの。
ニャンたら飲んだふりして、わたしがいなくなってから吐き出してたんだ!
悪知恵ばっかついたのね。
それからは、飲んだか口をこじ開けて確認。
猫知恵と対決中。
