ふんわりシフォン -79ページ目

花が咲いたら

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花が咲いたら

嬉しいね



変わり朝顔は種をまくのが少し遅くて、咲き始めが遅れたけれど、咲いている。


一つの袋に、三つの色の朝顔。


全部まこうと、プランターふたつにぎゅうぎゅうまいたので、賑やかです。

FULL MOON 夜を駆ける 27

秋の夜は澄み、空は高く月を運んでいた。



月の作る影が、あたしの前を歩いていく。黒い獣もあたしも とぼとぼ足を運ぶだけで、何も話はしなかった。

いっぺんに起こった出来事に頭が追いつかず、まだ整理できずにいた。



村外れの家には、夜更けだというのに明かりが見え、父が起きていることが伺えた。

帰らない娘を心配して起きていてくれたのだろうか。
怒られるのを覚悟して帰るしかない。



素直に起こったことを話すのか、言い訳をするのか考えていなかった。

無理矢理話を作ってばれるよりは、適当にごまかすほうがいい。



家の手前で、黒い獣にお礼を言って別れるつもりで、立ち止まった。

「もうここで大丈夫だから」

『俺はまだ用がある』

獣は離れる気がないのか、すたすたと家の入り口まて歩いていき、あたしが扉を開けるのを待っている。

「あたしが遅くなった言い訳をしてくれるつもり」

あたしの父が変わり者だとしても、喋る獣と仲良く会話するとは思えない。

「悪いけどかえって迷惑だから」


『俺の用があるのは、中にいるヤツ。悪いけど入れてもらうよ』

「父に合わせる訳にはいきません。無事に帰れなくなるから」

いきなり獣が家に侵入してきたら、父がどうするかなんて火を見るより明らか。棒で叩いて追い出すに決まってる。

『早く開けろ、俺も客なんだ』


「そこまで言うなら、知らないから」

がたりと戸を開けると、隙間をするりと抜けて中に入っていった。続いてあたしも戸を潜る。

「ただいま戻りました」

父は声がしたので、あたしを見て、お帰りと言った。卓を挟んで女性と向きあっているけれど、小さな子供のようでありながら大きな木のような人だった。

年老いているけれど、年齢のわからない人だった。

見たことのない服に、長い髪を編んで、青い石の飾りのついた首飾りをしていた。



黒い獣はまるで犬みたいにおとなしく、彼女の足元に座り込みぬいぐるみのように動かなくなった。

『お帰りなさい』

彼女を一目見て、あたしは目が離せなくなった。

そこに花があって

僕がいたから

僕は花を見た

香りをかいだ



長い時間を生きる者

短い時間を生きる物



どれだけの違いがあるだろう


胸が痛むのは

そこに心があるからだね

それなら

花の心はどこにあるんだろう


微笑むように咲く花かもしれない


咲くことを喜んで

微笑んで世界を見つめ

次の代の種を育む

花の意思で次の代の種は

より良い選択をするための知識を持っている



ギュッと握りしめた種を

旅立たせる方法も

芽吹くための条件も

必要なもの全部



そのなかに詰まっている

ちいさな希望