ふんわりシフォン -81ページ目

巡る

君に流れる血は

君を作っている



君の体は

心臓を動かし

肺に血を送り

酸素を取り込んでいる



何も指示しないでも

定められた動きをこなし

君を生かす



だから

間違った信号で動いてはいけないよ


望まない働きをしてはいけないよ



人の意思が体を動かすのに

望まない病がある

生まれる前の約束で

持ってきたなら



それから君は何を得るのだろう



辛さ

苦しさ

悲しさ

弱さ



ひとかけらの希望を

胸に抱いて生きるだろう

FULL MOON 夜を駆ける 26

声が闇に紛れ、また虫の声が戻ってくる。

熊たちも、重い体の向きを変えて山へと戻っていく。


「あ…ありがとう。本当にありがとう。運んでもらって…穴を掘ってくれて…手伝ってくれて…ありがとね』



背中に声をかけると、喉の奥から声がした。ぐるぐると猫が喉を鳴らすような声で、かわいらしくて顔がゆるむ。



『お前の家まで送ろう』

「うん。ここがどこだか、わかんないや」



黒い獣と並んで歩く。何か聞かなくてはいけない気はした。

でも教えてくれないことも、わかった。知らなくてはいけないなら、ちょうどいいタイミングで知ることが出来るのだろう。



『行くぞ』



もう一度、虎の眠る塚を見た。体から離れて、心は自由になっただろうか。

どこまでも走っていける魂は、どこを駆けているんだろう。

夜を駆けて懐かしい魂と会うことができただろうか。







夜を駆けて あたしも帰ろう。あたしの生きる場所に。

暮れていく空

『今日も お疲れさま』

君のメールを見るのは

いつも夕暮れで

ほんの少し

暮れていく空を見たくなる


『お疲れ 空見てた』



『あたしも』



何もなかった

僕の心に君が住んだから

何もなかった

僕の心に君は明かりをともしてくれた



暮れていく空は

君に続く



暮れていく空に

瞬くように

また明かりがともる



この明かりのなかに

君も僕もいる