ふんわりシフォン -36ページ目

Photo Twin

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ツインタワー?

うそうそ。煙突になるであろう建築物。

Focus

レンズを向ける。僅かな電子音とライトの点滅。息を詰めるような一瞬が、そこにある。



シャッター音に、君が目をみはる。摘まむように花へと伸ばされた手が、離されて花は揺れる。

「ダメだよ、言ってよ」

慌てるように帽子を目深に被り、視線をそらした頬が赤く染まる。

「気にしないで。普通にしてて」

撮られることに慣れないと言うので、それならと何時もカメラを携えていることにした。

「ムリ、ダメ、変な顔してる」


「意識しないでいられるようになるまで、諦めないから」

手元の液晶には、やわらかな笑顔が残る。咲きはじめたバラの香りを楽しんでいる彼女は自然にリラックスしている。



「見られるの苦手です」

「見てるんじゃない。愛でているんだよ」



帽子からのぞく顔に、赤みが増す。



「そんなこと言われたの初めて」



熱で溶けてしまいそうな程、赤くなる。



「そんなに意識してるの…そんなに好き?」



頷くのを見て、胸が満たされる。
写真家としたら失格、恋人だとしたら、これ以上嬉しいことはない。腕をのばして胸に抱き取った。小さく身じろぎして腕のなかにおさまると、ほっと息をついて体をあずけてくれた。

懐くまで時間をかけてきた。こうして腕に抱けることが、何より嬉しい喜びになっていく。



「慣れるまで待ってるから」


意識して欲しくて、わざと耳元で言う。頷くように胸に顔を埋める、その仕草のひとつひとつが愛しさを掻き立てる。

一度焦点を合わせたら、ささいな変化も見逃さないから。レンズ越しの視線に慣れるまで、ずっと放さない。

雨が降る。

そう、それは決まっていたことのように天気予報で言われ、予言のように実行されている。
当たらないなら、皆信じないだろう。降水確率を確認して傘を持って家を出た。昼まで待たずに雨は降り出し、帰る時刻を過ぎても止むことなく降りしきっていた。


いそいそと傘を開き、曇った空の下へと足を踏み出しても、予言じみた予報に不思議になる。



雲も風も自然にあるもの全て数値化され記録されていく。時折、爆弾じみた低気圧を落としたり、竜巻を発生させる。予想を裏切るような自然の爪跡。
窺い知れない大きな力が動くそれが地球の鼓動、地球の息吹だとしてもあっけないくらい簡単に人の生活を脅かす。



あっけないくらい未来を見通す科学が、今日も街に溢れている。