ふんわりシフォン -231ページ目

旋回

足元に十文字の影がよぎる

さあっと掃いたように
いくつもの影が行きすぎる

見上げれば鳥の群れが頭上をよぎる

すらりとした肢体に嘴の白

北から吹く風に乗って
くるりと旋回する



渡り鳥なのかも

薄い灰色の若鳥は
集団のいちばん外側を
大きく大きく旋回していく

気流を受けた翼は
羽ばたかなくても
ほんのわずかな角度をつけただけで弧を描く

旋回しながら
それでも 少しづつ南へ

集団になっているけれど
物凄く疲れそうな
飛びかたで 移動していく



体力を消耗しない
そんな飛びかたもあるだろうに

秩序なんてない集団から
感じるのは喜び

飛べる喜び
どこかへと向かう喜び

湧きあがる衝動が
群れを乱して
それでも確実に
どこかへと向かっている

吹き寄せ

ずっとそばにいたいよ

君の隣に

言葉だけでなく
熱をもったわたしで



出会って嬉しいよ
会いたいよ
話したいよ



言葉はいつも不器用で
抱きしめたなら 伝わるのに
見つめたら わかるのに



どこにいても 見つけられるから
どんなに変わっても わかるから

あなたは あなたのままで

わたしは わたしのまま

出会おうね
笑おうよ




出会うことになっていたのだから

見つけたから
そばにいさせてほしい

FULL MOON 15

ざわりと木々がざわめく。ドンと足の裏へと衝撃が走り、そろり足を浮かせて確認すると、地面に亀裂が走っていた。一直線に伸びてオレにたどり着いていた。

「…なんだ、これ」

見上げる空には鳥がざわめき乱れ飛んでいる。

するりと物陰から黒猫が現れる。

「コノハナ、急いでっ」

「な…どうしたんだよ」

「飛行機っ…中国に行かなくちゃ」

じたばたと足をばたつかせていたが、はたと気付いてジョーカーを睨みつける。
「風の大将、分かるんでしょ、用意してよ」

「緊急なんだな」

「緊急も緊急。間に合わなかったら恨むわよ」

「自家用機を用意する。付き添いは必要か」

振り返りながら、黒猫は目を細める。

「呼ばなくても付いてくるんでしょう?格好つけないでよ」

「猫、口は慎むがいい」

チリチリと痛いくらいの視線。よくそんなに煽れるものだ。
空を仰ぎ見るだけで、カラスがやってくる。ジョーカーの頭上ですいっと弧を描いて屋敷へと飛び去っていく。



そうと決まれば行動は早かった。手荷物をまとめて行くと、超特急でフライト許可がおりていて、煩わしい書類も揃えられていた。

送迎の車に乗り込むまで、一時間とかからない。
押し黙った車内では黒猫のみこれから何があるのか知っていた。