FULL MOON 15 | ふんわりシフォン

FULL MOON 15

ざわりと木々がざわめく。ドンと足の裏へと衝撃が走り、そろり足を浮かせて確認すると、地面に亀裂が走っていた。一直線に伸びてオレにたどり着いていた。

「…なんだ、これ」

見上げる空には鳥がざわめき乱れ飛んでいる。

するりと物陰から黒猫が現れる。

「コノハナ、急いでっ」

「な…どうしたんだよ」

「飛行機っ…中国に行かなくちゃ」

じたばたと足をばたつかせていたが、はたと気付いてジョーカーを睨みつける。
「風の大将、分かるんでしょ、用意してよ」

「緊急なんだな」

「緊急も緊急。間に合わなかったら恨むわよ」

「自家用機を用意する。付き添いは必要か」

振り返りながら、黒猫は目を細める。

「呼ばなくても付いてくるんでしょう?格好つけないでよ」

「猫、口は慎むがいい」

チリチリと痛いくらいの視線。よくそんなに煽れるものだ。
空を仰ぎ見るだけで、カラスがやってくる。ジョーカーの頭上ですいっと弧を描いて屋敷へと飛び去っていく。



そうと決まれば行動は早かった。手荷物をまとめて行くと、超特急でフライト許可がおりていて、煩わしい書類も揃えられていた。

送迎の車に乗り込むまで、一時間とかからない。
押し黙った車内では黒猫のみこれから何があるのか知っていた。