自閉症で知的障害があります。
明るくて笑顔がかわいい女の子です。
私はしいちゃんのおかあさんで56才のシングルマザーです。
私はしいちゃんと2人の生活を守るために、フルタイムで働いています。
体調が良ければ、意外と仕事は嫌いではありません。
でも苦手な仕事があります。
パソコンを使う仕事です。
簡単な入力はもちろんできるんだけど、
1から何もかもやるのが苦手なのです。
先日私の職場のパソコンが総入れかえになりました。
私の職場の人はみんな、座って仕事をするときのパソコンと、持ち歩きができる小さいパソコンを持っています。
その座って仕事をするときのパソコンが入れ替えになったのです。
「新しいパソコンが入りました。説明会をしますので、3時10分に集まってください」
と業務連絡がありました。
私は仕事の途中だったけど、急いで説明会に行きました。
みんなが席につき、ログインの仕方を説明してもらいました。
ユーザーIDとパスワードが示され、
それをそのまま打ち込むだけ。
難なくクリアしました。
次の手順を示されるのを待っていました。
でも後ろの席の方ではガヤガヤしていて、
説明をしてくれる人や、職場の若い男の人が、
「わかりません!」と騒いでいる人に入力の仕方を教えていました。
私の職場は50代後半の人が一番多くて、
若い人は少し。高齢化の波がもう押し寄せています。
全員がIDとパスワードを入力するのに10分もかかりました。
(これじゃあ、次の会議できるのかな?)
3時30分から会議があったのです。
「では次に個人番号を入力してください」と説明してくれる人が言うと、
「え?個人番号ってなんだっけ?」という声がちらほら。
(これは自分で覚えておかないとダメなんだよなあ)
全然進みません。
私はモニターに映されている通りに、いろいろ打ち込んで、何とかみんなについていけました。
みんなが終わったら、3時50分になっていました。
「何かわからないことある人いますか?」
と説明者が言うと、私より1つ下の女性が、
「すみません、このパソコンにも一太郎は入りますか?」
と質問しました。
(え~!?一太郎って懐かし過ぎる!まだ一太郎ってあるの?)
と久々に聞いた「一太郎」という言葉に驚きました。
私も昔は一太郎を使っていて、Wordの使い勝手の悪さにイライラしながらも、
時代の波に乗らざるをえなくなり、
数年前にWordにして、一応罫線が引けるようになりました。一応、簡単な文書は作れます。
「一太郎も入れられますよ」と言われ、
「ありがとうございます!」と喜ぶ同世代の女性。
(良かったね~)と心の中で思いました。
会議は延期になりました。
私はパソコンが得意ではなく、特に持ち歩きができるパソコンの使い方がなかなか覚えられず、
一時期は本当に悩みました。
(もう時代についていけない、仕事が続けられない)
と落ち込んだこともありました。
でも困っているのは自分だけではないと気付き、
少しずつ勉強していて、スライドが何とか作れるようになりました。
今年もできることを増やしていきたいと思います。
パソコンの使い方を聞くのは、若い人たちなんだけど、
パソコンが得意な若い人も、
文書や報告書の内容は、やっぱりベテランにはかなわない。
今は年度末だから、若手の書いたものを見る機会があるんだけど、
内容が薄っぺらで、驚きます。
(これでいいの?たったこれだけ?半年間、普段なにをしていたの?)
とびっくりします。内容を充実させるには日頃の記録が大切で、私が若い頃は当たり前に記録をしていたものだけど、
今の若い人は、違うのかなと思ってしまいます。
パソコン以前の問題だなと思います。
昔はこんな報告書を出したら、間違いなく注意されてたけど、
今は注意すると「パワハラ」になっちゃうからか、
上司も誤字脱字くらいしかチェックしない。
できないことを自覚している50代と、
できないことを自覚できない20代。
50代頑張ってるよなと思います。
同じ昭和に育ち、平成を生きてきた50代。
できないことはできないと勇気を出して言って、
若手には持っていないスキルには誇りをもって、職場で生きていきたいです。