八甲田山 (1977年) | Asian Film Foundation 聖なる館で逢いましょう

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アジア映画に詳しくなかった私がアジア映画を観てます♪
ネタバレはできるだけ避けております…(ㆆᴗㆆ)*✲゚*。⋆

 

 

 

いつも、ありがとうございます(^-^)ノ

 

 

 

1月19日から公開中の中国映画『緑の夜』ですが、私は自分の完全な思い込みで京都での上映日程を勘違いしていまして、観に行けないことになってしまいました(>_<)

 

緑の夜

 

映画 『緑の夜』 公式サイト

 

でもまだこれから上映のエリアもありますので、是非、皆様、観に行っていただきたいです、よろしくビックリマーク

 

 

 

 

 

韓国映画の日本公開にも触れさせてください!!

 

 

 

 

 

2月2日から公開が始まってますNEW

 

ローリング・ガール

 

映画『ローリング・ガール』オフィシャルサイト

 

コロナ禍の韓国を舞台に、母親の経営する店で働くことになったニートの女性が、店を訪れる人々との交流を通じて人生を好転させていく様を描いたドラマ。

主人公ジュリを演じるのは、「ペルソナ 仮面の下の素顔」「賢い医師生活」「ムービング」などの話題作に多数出演するシム・ダルギ。

 

 

 

 

 

2月9日からこの3本が上映スタートですNEW

 

 

 

同感 時が交差する初恋

 

『同感〜時が交差する初恋〜』公式サイト

 

 

 

ジェントルマン

 

映画『ジェントルマン』公式サイト

 

 

 

梟 フクロウ

 

映画『梟ーフクロウー』公式サイト

 

 

 

 

ということで、私は次、『ジェントルマン』と『フクロウ』に集中です。

こっちはスケジュール的に確定だと思いますよ~(≧∇≦)

 

 

 

 

 

それで、意識的に映画を観て、ブログを書いていかなあかんな!!ってことなんですが ―― 1月22日、この映画を観ました…カチンコ

 

 

 

 

 

 

 

 

 


八甲田山

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1977年公開の『八甲田山』です。

 

1902年(明治35年)に起こった実際の遭難事故に基づいた作品です。

映画ファン、文学ファンの方々はご存知の作品だと思いますが、でも若い方々は知らないようにも思えます。

どうなんでしょうね~。

 

それで、ホンマ嘘じゃないんですけどあせる

まず私は、この映画の原作である新田次郎先生の小説『八甲田山死の彷徨』(1971年)を先に読んでいますあせる

 

これから真面目な話になりますが、小学生の時だと思うんですが、父だったでしょうか…私は叔母のような気もするんですが、「誰か」から「昔、山で兵隊さんたちが遭難して大勢亡くなったこと」の事実を聞き、すごく怖かったんですね。

その「誰か」の話がどこまで正確だったのかは今となってはわからないんだけど、話しぶりが怖かったりしたんでしょうね、きっと。

ビックリマーク

もしかするとキャンプへ行った時、引率の女子大生の人に聞いたのかもしれない…。

 

で、うっすらと記憶してるんですが、その最初に聞いた時、「八甲田山」とは外国にある場所だと思ったような記憶があります。

「兵隊さんが遭難した」のなら、それはきっと「外国」なのだろうと考えたのかもしれません。

 

こういったことは全部、非常にあやふやな記憶なんですけど、その後ずっと「八甲田山」の怖さを私は覚えていて、新田次郎先生の文学作品があると知り、十代半ばくらいに思いますけど、読んだんですね。

 

自分の思考を思い出しますと、「八甲田山」になぜこだわったかというと、それはやっぱり「死の恐怖」への好奇心に因るものだと思うんですね。

いったい雪の山で大勢の人が死んでいくとは、どういった状況なのだろうと。

どういった残酷が描かれているのだろうと。

 

ある種、ホラー映画への興味に類する思考なので、人の死を詳しく知りたがるなど弁えがないとも言えるかもしれませんが、しかし10代の私はとにかく、事件や事故など特殊な死について知りたがっていましたので、それが文学を読む努力につながっていたのです。

 

それで、新田次郎先生の『八甲田山死の彷徨』を読んだのですが、とにかく漢字をほとんど飛ばして読んでいた私ですので、どのくらい理解できたものなのかどうか…汗

 

今となってはほとんど記憶になく忘れてしまってるんだけど、何箇所か、覚えてます。

一つには兵隊さんが厳寒の雪の中で、おしっこをしようとしても前のチャックが下ろせないので、そのまませざるをえず、おしっこが凍ってしまう場面。

 

もう一つは八甲田山を目指す隊の中で一番偉い人物を行き倒れにしてはならないという鉄則から、その人物を兵隊さんたちが両側から抱えて無理にでも歩いてもらおうとする流れ。

 

この2つだけはかろうじて思い出せます。

 

前者はやはり恐怖ですが、後者は軍隊という隊の中で階級こそが何よりも重く、その中で最上位に位置する人物をいかに隊全体が大事にして持ち上げていたかということです。

このことは『八甲田山死の彷徨』を読んだ時にも、私は批判的に捉えたし、嫌悪を感じたものですが、命令には絶対服従の縦社会を維持するためには仕方がなかった前提なのではないかな。

しかし21世紀のこんにちにおいては、見直されるべきものですね。

 

さて当時、事件や事故に関する本をよく読んだものですが、戦争や軍隊にまつわるものは多くはなく、しかし原子爆弾の実態を教えてくれる被害の写真など、今もハッキリと ―― 特に少年の亡骸です ―― 思い出されるものもあります。

しかし私の興味の度合いは殺人事件や死刑がより高かったですね。

小学校の高学年では集団自決たる「白虎隊」にも惹かれたものです。

 

その後もただ一冊の書籍ですが、『八甲田山死の彷徨』を読んだことは私の思い出であり、前々からその映画作品とはどんなものなのだろうと思ってました。

 

この冬、まさに寒い季節において、映画『八甲田山』を観るべきではないかと思いまして、先月22日の朝、暖房をつけずに寒さを実感しつつ、映画を観させてもらいました。

 

まず脚本が橋本忍さんなのですが ―― 『生きる』(1952年)、『七人の侍』(1954年)、『蜘蛛巣城』(1957年)、『隠し砦の三悪人』(1958年)など黒澤明監督の作品、そして『霧の旗』(1965年 山田洋次監督)、『砂の器』(1974年 野村芳太郎監督)といった松本清張先生の作品の映画化など、この数年、私が観て非常に感銘を受けた日本映画の脚本を書かれた偉大な人物 ―― です。

観る直前に橋本先生が脚本だと知ったのですが、やぱりその脚本の作品を観ていくことへの感動が、すでに観る前にあったものです。

 

そして実際に観て、どこが凄いとかそういったことは言えないけど、橋本先生の脚本なのだと思っていた。

 

物語は原作を読んだ時と同様、昔の言葉や軍隊の用語など難しくセリフを理解できたとは言えないんですが、それでも一生懸命観ました。

ようやくわかったんですが、そうでしたか汗 ―― 徳島大尉(高倉健さん)と神田大尉(北大路欣也さん)の隊がそれぞれ逆方向から出発して途中ですれ違う計画だったのですね。

 

え~、原作もそうなんですよねはてなマーク

ぜんぜん覚えてへんなああせる

 

映画の内容については私が詳しく解説しようとするなど、ちょっと図々しいと思うし、それ以前に「できない」ので、もうやめさせてもらいますが、やっぱり大勢の映画ファンの方々のレビュー、ご解説がウェブに存在すると思いますので、また私自身、時間がある時に読ませてもらうとして ―― 私の結論としては、言葉通り「面白い」映画かと言ったら、もっと謙虚に正座して観させてもらうような映画鑑賞だったのではないかと思います。

 

しかし169分の作品ですが、もちろん退屈はしませんでしたし、きっちり最後まで集中して観ました。

そういった意味では映画作品として「面白い」映画ですよね。

 

ただ、大勢の兵隊さんたちが凄惨に命を落としていく映画なので「面白い」という言葉は不適切かな、と思います。

笑いなどは一切なしですな。

 

キャストの方々ですが、高倉健さん主演であったことも観た大きな理由だけど、高倉健さんは主役だけど、もっと複数の登場人物も主人公である作品ですよね。

高倉健さんの出演時間はけっして多くないと思いました。

しかし健さんらしい役でしたね。

 

徳島大尉の隊が、地元の村の人たちが泊まってもらうつもりで考えてたのを断って、(なんとビックリマーク)一晩立ったまま夜を明かすのが、(もともとが軍隊の訓練とはいえ)健さんらしい律儀さに思えました。

 

映画の中で最も「かっこいい人」は徳島大尉の隊を道案内する赤ちゃんを産んだばかりの農家の人妻!!

軍人さんたちがハーハーゼーゼー言いながら(確かにいろいろ背負ってるけど)山を登ってるのに、伝統的な登山スタイルでスタスタと案内してしまうビックリマーク

しかも軍人さんたちがついてこれるように気をつけてる。

かっこええなあ~、と思いましたが、秋吉久美子さんだったのですね~ひらめき電球

 

この女性の登場人物には案内料をなんぼ払ってもええと思いますけど、お仕事を終えて隊と別れる時に徳島大尉率いる隊が襟を正してミリタリーな敬意を表するのが泣けました。

その前、目的の村に到着した時に、案内の秋吉さんを隊の後ろに下がらせましょうかという隊員の言い分(軍の安っぽい見栄)を採用せずに秋吉さんには先頭のまま歩いてもらうのも健さんらしくって嬉しい。

 

対して、神田大尉の隊では案内をしようという親切な村長さん(加藤嘉さん)たちの申し出を、「お金目当て」だと邪険に追い払うのがムカムカきました。

 

で、私の興味は、前述の「隊の中で一番偉い人物を行き倒れにしてはならないという鉄則から両側から抱えて無理にでも歩いていただく」のその「一番偉い人物」が誰なのかってことだったんですが ――

アンタか、山田正太郎少佐(三國連太郎)💥

 

いや、途中からこの人ちゃうかな~はてなマークと思ってたんですが、案の定。

 

この山田少佐など、神田大尉の隊の中で神田大尉よりも階級の高い人たちが野放図に口出しして危険な決定に至っていくのがホンマに歯がゆいしムカムカくるんですけど…それとの対比で徳島大尉の隊がかろうじて訓練を成し遂げたことが際立つのですが…。

それにしても多くの兵隊さんたちが亡くなる結果になってますので、やはり軍隊のありように問題があったという結論になります。

 

しかし、この映画は実際の事故の映画化であり、ご遺族の方々もおられるでしょう。

私はこの映画を観てて山田少佐たち、杜撰な判断で隊に悲劇を招いた上官たち、さらにこういった危うい訓練を推し進めてしまった軽率な軍にも腹を立てましたが、映画を観たあとでそれをあれこれ断罪する気持ちにはならなかったなあ。

この映画は組織についての映画だけど、だから様々な組織に教訓が生かされる作品でしょう。

愚かな失敗と断罪するだけでは足りないかもしれない。

でも、日本における戦争とは ―― この八甲田山の悲劇を起こした情態をいつも含んでいたのではないか…と思ってしまう。

安直な理想だけで始め、やめるべき時にやめられないというような。

 

しかし責任追及をするのには私は八甲田雪中行軍遭難事件について知らなさ過ぎますし、また新田次郎先生の小説と、その映画化作品『八甲田山』は、事実から創作されたところもあるそうなので、あくまでも映画の感想です。

 

キャストについては撮影上、登山スタイルの人たちの顔がよくわからず…また時代的に私とは馴染みのない俳優さんだ多かったので、どなたがどなたかわからない感じでした。

 

徳島大尉の妻役が加賀まりこさん、神田大尉の妻役が栗原小巻さんでしたか…わかりませんでした。

 

三國連太郎さん、大滝秀治さん、丹波哲郎さん、神山繁さんはわかりましたが、雪山での場面になると俳優さんがわからなくなってしまうなあ…。

 

とても訛りの強い緒形拳さんはもう最後の方で「わしはわしの歩きたいように歩く」と言い、隊を離れてしまったので…それで命は助かってラストシーンに登場するのですよね…。

 

映画の残酷ですが、意外とそれはそこまででもなく、その点ではむしろ「活字」の方が怖いのかもしれません。

実際にはこの遭難事故で生き残られた方々も凍傷で手や足を失われたそうです。

その後の人生を考えると映画よりも残酷なのかもしれません。

 

当時の軍人さんは戦争で死ぬことが美徳だったと思いますが、訓練で死ぬことは屈辱ではなかっただろうか。

考えると、これは戦争を前提とした訓練でしたが、惨事になりました。

困難にあってもギリギリで危険をかわして、成功に至ると感動的だし、かっこいいんだけど、少しでも危険な可能性があるのなら、立ち止まり中止することが正しいのだと映画を観て思い知りました。

 

当時の日本映画の暗く優れたドラマを実感致しました。

 

今回の私の映画感想は、『八甲田山』を観ておられた方々に楽しんでもらうために書きましたが、古い映画なので観ておられない方々も多いと思うんですよね。

ですので特に若い人たちにですけど、いっぺん挑戦されてはいかがですか。

絶対に観た方がいい映画だと思いました。

 

今日も、おおきに、ありがとうさんでした…(^.^/)))




八甲田山


Hakkodasan
Mt.Hakkoda
Mount Hakkoda
핫코다 산


1977年製作/169分/日本
劇場公開日:1977年6月18日
配給:東宝

スタッフ・キャスト

監督 森谷司郎
脚本 橋本忍
原作 新田次郎
企画 吉成孝昌 佐藤正之 馬場和夫 川鍋兼男
製作 橋本忍 野村芳太郎 田中友幸
撮影 木村大作
美術 阿久根巖
音楽 芥川也寸志
録音 吉田庄太郎
照明(ロケーション) 大澤暉男
照明(セット) 高島利雄
編集 池田美千子 竹村重吾
製作担当 小山孝和
助監督 神山征二郎
スチル 藤巻健二

島田正吾 - 友田少将
大滝秀治 - 中林大佐
高倉健 - 徳島大尉
丹波哲郎 - 児島大佐
藤岡琢也 - 門間少佐
浜田晃 - 田辺中尉
加藤健一 - 高畑少尉
江幡連 - 船山見習士官
高山浩平 - 長尾見習士官
安永憲司 - 倉持見習士官
久保田欣也 - 加賀二等卒
樋浦勉 - 佐藤一等卒
広瀬昌助 - 小山二等卒
早田文次 - 松尾伍長
吉村道夫 - 川瀬伍長
渡会洋幸 - 徳島の従卒
前田吟 - 斉藤伍長
北大路欣也 - 神田大尉
三國連太郎 - 山田少佐
加山雄三 - 倉田大尉
小林桂樹 - 津村中佐
神山繁 - 本宮少佐
森田健作 - 三上少尉
東野英心 - 伊東中尉
金尾鉄夫 - 中橋中尉
古川義範 - 小野中尉
荒木貞一 - 鈴森少尉
芦沢洋三 - 中村中尉
山西道宏 - 野口見習士官
蔵一彦 - 藤村曹長
新克利 - 江藤伍長
海原俊介 - 高橋伍長
堀礼文 - 波辺伍長
下絛アトム - 平山一等卒
森川利一 - 谷川曹長
浜田宏昭 - 小野中尉の従卒
玉川伊佐男 - 沖津大尉
竜崎勝 - 永野軍医
江角英明 - 進藤特務曹長
井上博一 - 今西特務曹長
佐久間宏則 - 長谷部一等卒
伊藤敏孝 - 花田伍長
緒形拳 - 村山伍長
栗原小巻 - 神田はつ子
加賀まりこ - 徳島妙子
石井明人 - 徳島の少年時代
秋吉久美子 - 滝口さわ
船橋三郎 - 西海勇次郎
加藤嘉 - 作右衛門
花沢徳衛 - 滝口伝蔵
山谷初男 - 沢中吉平
丹古母鬼馬二 - 福沢鉄太郎
青木卓司 - 沢田留吉
永妻旭 - 大原寅助
菅井きん - 斉藤の伯母
田崎潤 - 鈴木貞雄

 

(映画.com)