僕のワンダフル・ライフ (2017年) ラッセ・ハルストレム | Asian Film Foundation 聖なる館で逢いましょう

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僕のワンダフル・ライフ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

11月に『HACHI 約束の犬』(2009年)についての記事を書かせていただきましたので、思い立って同じラッセ・ハルストレイム監督の2017年の作品、『僕のワンダフル・ライフ』を ―― 11月22日に観ましたカチンコ

 

2017年…意外と前の公開だったんですね。

 

原作は、W・ブルース・キャメロンさんという方の2010年に出版された『A Dog's Purpose』…『野良犬トビーの愛すべき転生』だそうで、さらにキャメロンさん、『僕のワンダフル・ジャーニー』、『名犬ベラの650kmの帰宅』と続きで書かれたようです。

 

 

 

 

 

この三冊の題名、直訳するとそれぞれ『犬の目的』、『犬の旅』、『犬の約束』となるようで、とてもいいですね。

 

映画『僕のワンダフル・ライフ』はなかなか元気良く面白げなタイトルですが、ちょっと内容に合ってないように思うのは私だけでしょうかあせる

でも『犬の目的』じゃ地味すぎてアカンか。

 

映画は ―― 世代を超えて胸に響く、犬と人間の絆を描いた心温まる物語

助けてくれた最愛の少年イーサンに会うために何度も生まれ変わる犬のベイリー。その犬の転生とともに描かれる、人間の愛情、成長、挫折。全世界が涙した号泣必須の壮大な愛の物語。 ―― です。


夏の暑い日、子犬が車に閉じ込められて苦しんでいるところを、8歳のイーサンが助ける。感激した子犬はイーサンから一生は離れないと心に誓う。ベイリーと名付けられた子犬は、遊ぶときも寝るときもいつも一緒の彼らだったが、犬の寿命は人間より短い。そしてイーサンに会うための何度の生き返る事を選んだベイリーの、長い人生の旅は始まる。

 

 

主人公はわんこベイリーで、彼が自分の「生」について考え、その目的を探すように「転生」していく作品です。

魂の「転生」については、ホラー映画やファンタジー映画の題材にもなりますが、本来は宗教的な概念なのでしょうし、確かに私もありうると考えます。

 

この映画では人間のことはわからないけど、犬は犬として生まれ変わり、新たな犬の生涯を送っていくわけですが、アメリカ合衆国のある程度は限られた地域で転生していくことになったのかな。

そのあたり神の御意志か何らかの力が働いているのかもしれない。

けなげなベイリーのためにね。

 

映画としてはまず、「少年と犬」もので、ズバリ『HACHI 約束の犬』よりも直撃的な「泣き」に満ちた作品になっていると思います。

もう、殴られるかのごとくに心打たれ、ウルウル…これ、わんこちゃん好きの涙腺のゆるい方だったら大変なことになってしまうんじゃないだろうかあせる

 

いえ、私も確かに映画には「泣き」を求めますし、涙腺ゆるめな方ですが、ある程度はそこそこ消極的に冷めた視点もありつつ映画を観るところもあるんだけど、『僕のワンダフル・ライフ』はホンマ、こと「泣き」では出し惜しみがないあせる

ガンガンきますよね~。

 

その点では、「泣ける映画だからあざとい」という方々と、そうではない方々に分かれるかもしれませんが、映画としては押し付けがましくないので、きっと誰からも愛される映画な気がする。

 

音楽がレイチェル・ポートマンさんで、私、この方が音楽の映画、確実に泣くように思うんですね~。

 

 

「泣き」だけではなく、コメディの側面もありますね。

 

ベイリーの思考はなんとおじさん声で表現されてるんですよ。

演じられてるのはジョシュ・ギャッドさんという割とガハハめな俳優さん。

ベイリーがわんことしてボケてきますので、セリフとわんこちゃんの演技のギャップに笑ってしまったりしますよね。

 

けっこう意外に感じたのはベイリーが愛してやまないイーサン少年のお父さんが、心が荒んで酒に逃げ、妻や息子に辛く当たる場面です。

営業のお仕事を自分には合っていないと感じて別の部署を希望したお父さんですが、上司はそっけなくその希望を突き返し、以後、お父さんはそれが苦痛だったのか、人柄が悪い方に変わっていったように思います。

 

そのあたりもですが『僕のワンダフル・ライフ』は甘いだけの映画ではないですよね。

考えてたんですが、もしもお父さんがあの、上司の人を家に招待した時に上司の人がお父さんの希望を叶えてくれて、お父さんに合った働き方ができていたら ―― お父さんは明るいお父さんで、ベイリーを可愛がってくれたかもしれないし、イーサンや奥さんともずっと仲良く過ごせたかもしれない、そんなふうに考えて、お父さんのことを気の毒に感じました。

 

でも、お父さんがDVに走りつつあった時、成長しつつあったイーサンが毅然とお父さんに「もう出て行った方がいい」と告げ、家族の関係が終わったことをハッキリさせるのが、アメリカなのかな~と思いました。

日本だったらDVオヤジが居座って他の家族が追い出されそう。

そんだけオヤジの権力が強いんですけどね、日本だったら。

 

後にイーサンが結婚できないでいたのは、この父親の記憶があるからではないでしょうか。

 

 

そのイーサン自身も大きな挫折に落ち込み、過ちを犯してしまうんですが、あ~あ~あ~あ~あせるって感じです。

そこんとこ、ちょっと私は違う考えで、夢が潰えた時こそ、大事な人と変わらない関係でいたくないはてなマーク

もしもあの場面で女性から別れを切り出されたら「なんや僕自身ではなくフットボールで成功する彼氏が好きやったんかいビックリマーク」って怒ると思うんですけどね、ハンナはそういう女の子ではなかったからね。

落ち込んだ時のアメリカ少年は恋人との関係に依存せず、ほっといてくれ~ビックリマークと断ち切るもんなんかなああせる

それだけ、彼は自分を惨めに感じていたからかもしれないけど。

 

ベイリーの場面でも決して楽しいだけではなく、残酷な場面、見てるのがきつい場面も少なくなかったですね。

悲しいシーンも多かった。

 

特に、大きなセントバーナードとして生まれたベイリーが、豊かではなさそうな夫婦の若い奥さんが「きゃ~、かわい~」って飼うことにして、多分自分に余裕がないのでベイリーがつながれっぱなしになるところ。

あれは虐待だし、わんこ好きの方はきっと怒りを感じられると思うんだけど、でも、あの夫婦だってもしも生活に余裕があれば、わんこをお散歩に連れてったかもしれないし、もっと可愛がったのかもしれない。

映画だけ観ると「貧乏=わんこをないがしろにするダメ人間」に見えるんだけど、背景には格差があったと思う。

犬の扱いに社会的な立場、収入が照射されるんですよ。

だからペットにも格差が生じるんですよね。

生活が苦しいからペットを飼って癒されたいけど、余裕がないからペットが苦しむ負の悪循環…とても悲しい場面に思えました。

言いたくないけどある程度の収入のある人しかペットを飼う資格がないんかいはてなマーク

貧乏人は飼ったらアカンのかな。

 

さて、映画の結論なんですが、そう来たか~って感じでやっぱり号泣なわけですね。

そしてこれは素晴らしい映画だと思いました。

 

しかし、思いますにただ泣けるだけの映画ではやっぱりありませんでした。

これは、けなげなわんこくんの転生ものなのですが、それではわんこだけの話なのかというとそうでもないと思いますね。

実はベイリーの恋愛事情もあって、そこはどの程度充実したものだったかわかりませんが(「何度でも転生できるのだからダメでも次に期待すればいい」なんて考え方はダメです)、彼は知ったのですね、イーサンにとって大切なことをね。

それがベイリーにできることだったんですよ。

翻って考えると、我々人間、自分の幸せ、自己実現には人を蹴落としても必死にもなりましょう。

しかし、もちろんそれでいいわけがない。

もちろん自分自身に余裕がなければ周囲を見渡せる配慮も生まれないだろうけど、自分が充実しているのなら ―― そうではない方々のことも思いやるのがスジってもんではないかな。

もちろん、転生するわんこじゃないんだからできることは限られてるでしょうけどね、私は映画を観てて自分がちょっと恥ずかしくなりましたわ。

もらってばっかりでね。

 

ともかくベイリーはなぜ自分が存在し、何のために生きるのかを哲学していた。

彼が至るその結論に、優しさで胸がいっぱいになりました。

 

【追記(12月9日夜)】 読み返してて自分でも思ったんですが、ボーッと書いてたからか、なんかズレたような感想になってますあせる やっぱりこの映画は ―― わんこちゃんのけなげさ、いちずさに感動する映画ですよね~。 でも、ホントいろいろ考えさせられました。 ベイリーを見習いたいですビックリマーク

 

 

マイライフ・アズ・ア・ドッグ(1985年)
やかまし村の子どもたち(1986年)
やかまし村の春・夏・秋・冬(1986年)
ギルバート・グレイプ(1993年)
サイダーハウス・ルール(1999年)
シッピング・ニュース(2001年)
HACHI 約束の犬(2009年)

 

私はラッセ・ハルストレム監督の作品をこれだけ観ていましたが…どんな監督さんと言葉では書けませんけど、ホントいい映画を作る監督さんだと思います。

『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』も素晴らしいんですが、最初からバーッときて、人生を通じて考えさせられているのは『ギルバート・グレイプ』ですかね~、一番は…。

 

そして『HACHI 約束の犬』も大好きな映画でしたけど、『僕のワンダフル・ライフ』もホントに素晴らしかったです。

 

この作品は特に子どもさんに観ていただきたように思います。

小学生の頃とかに観ると、きっといろいろ考えて、優しい大人になれるんじゃないかと思いました。

 

この映画の続編として、監督さんはゲイル・マンキューソさんに交代してますが、2019年に『僕のワンダフル・ジャーニー』が公開されてますね。

私の性格からしてきっと続編も楽しめると思うので、またいつか観たいものです。

 

予想はしてましたが『僕のワンダフル・ライフ』、とても良かったです。

また心の苦しみがちょっと軽くなりましたねビックリマーク

 

今日もありがとうさんでした、おおきに☆⌒(*^-゜)v




僕のワンダフル・ライフ

原題:A Dog's Purpose
韓国語題:베일리 어게인
中国語題:一条狗的使命


2017年製作/100分/G/アメリカ
日本公開:2017年9月29日
配給:東宝東和

監督 ラッセ・ハルストレム
製作 ギャビン・ポローン
製作総指揮 アラン・C・ブロンクィスト マーク・スーリアン ローラ・ファイファー
原作 W・ブルース・キャメロン
脚本 W・ブルース・キャメロン キャサリン・ミション オードリー・ウェルズ マヤ・フォーブス ウォーリー・ウォロダースキー
撮影 テリー・ステイシー
美術 マイケル・カーリン
衣装 シェイ・カンリフ
編集 ロバート・レイトン
音楽 レイチェル・ポートマン
音楽監修 ライザ・リチャードソン

ベイリー/バディ/ティノ/エリー(声) - ジョシュ・ギャッド (高木渉)
大人のイーサン - デニス・クエイド (大塚明夫)
10代のイーサン - K・J・アパ (梅原裕一郎)
8歳のイーサン - ブライス・ガイザー (寺崎裕香)
ハンナ - ペギー・リプトン (松岡洋子)
10代のハンナ - ブリット・ロバートソン (花澤香菜)
カルロス・ルイス - ジョン・オーティス (落合弘治)
マヤ・ウィリアムズ - カービー・ハウエル=バプティスト (小島幸子)
アル - プーチ・ホール (勝杏里)
エリザベス・モンゴメリー - ジュリエット・ライランス (林真里花)
ジム・モンゴメリー - ルーク・カービー (星野貴紀)。
祖父ビル - マイケル・ボフシェヴァー (仲野裕)
祖母フラン - ガブリエル・ローズ (寺内よりえ)
トッド - ローガン・ミラー (バトリ勝悟)
ウェンディ - ニコール・ラプラカ (小若和郁那)

Cast
Josh Gad as the voice of Bailey, Ellie, Tino and Buddy, the reincarnations of "Boss Dog", the main protagonist.
Dennis Quaid as Ethan Montgomery, an old man who runs a farm.
KJ Apa as teenaged Ethan Montgomery, a popular football player who later gets injured and must become a farmer.
Bryce Gheisar as eight-year-old Ethan Montgomery, a young boy interested in comics and football.
Peggy Lipton as Hannah, an old woman who is widowed and has two children.
Britt Robertson as teenaged Hannah, the supportive and intelligent girlfriend of Ethan.
John Ortiz as Carlos Ruiz, Ellie’s partner who trains her as a police dog.
Logan Miller as Todd, a former friend of Ethan's who is vindictive and jealous of him.
Juliet Rylance as Elizabeth Montgomery, Ethan's mother in an unhappy and abusive marriage to Jim, whom she later divorces.
Luke Kirby as Jim Montgomery, Ethan's father in an unhappy and abusive marriage with Elizabeth and an alcoholic.
Gabrielle Rose as Fran, Ethan's grandmother.
Michael Bofshever as Bill, Ethan's grandfather and a farmer.
Kirby Howell-Baptiste as Maya Williams, a shy young woman who adopts Tino.
Pooch Hall as Al, a young man who dates and later marries Maya, and has three children with her.