キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン (2023年) 公開中 | Asian Film Foundation 聖なる館で逢いましょう

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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン





20世紀初頭。アメリカ先住民のオーセージ族は、石油の発掘によって一夜にして世界でも有数の富を手に。その財産にすぐに目をつけたのが、すでに入り込んでいた白人たち。彼らはオーセージ族を巧みに操り、脅し、奪える限りの財産を強奪し、やがて殺人に手を染めていく。実話をもとに、アーネスト・バークハート(レオナルド・ディカプリオ)とモーリー・カイル(リリー・グラッドストーン)の間に思いもよらないロマンスを通して描かれる真実の愛。そして、残酷な裏切りが交錯するサスペンス超大作。

 

 

 

 

 

 


 

いつも、おおきに、ありがとうさんです(^-^)ノ

 

日付的には昨日4日、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』を観に行ってきました…カチンコ

 

もう少し早く観に行く予定だったんですが、結果として日に一回の上映になった時、客席の数が多めのスクリーンになり、ちょっと得した気分でしたかね。

せっかく映画館で観るので、できるだけ前の席で観ましたよ。


マーティン・スコセッシ監督がレオナルド・ディカプリオ、ロバート・デ・ニーロ、ジェシー・プレモンス、リリー・グラッドストーンら豪華キャストを迎え、実話を基に描いた西部劇サスペンス ―― です。

 

マーティン、レオ、ロバート…という監督、主演でもう観るのを決めてましたが、だからまず揺るぎない ―― 私が気に入るかどうかは。

正直に言えば、3時間26分の映画作品を自分が最後まで同じ集中力で観れるかどうか確認の意味合いもあったのですが、その点でも最後まで映画に対しての気持ちも損なわず観ました。

が、最後の最後でちょっとウトウトしかけたのは不覚でした。

そこ、映画の中でも大事なとこでしたので。

 

また、映画を観ることを「楽しむ」という意味合いでは、私がここ最近、映画館で観てきた一連の韓国映画と比較して、エンタメ率は低めに感じたのも本音です。

興奮はさせられましたが「楽しい映画」ではないかもしれないですね。

イヤな気分になったのも偽らざる感想ですが、しかしその「イヤな気分になったこと」も映画を観て有意義なことでした。

 

映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』はジャーナリストであるデイヴィッド・グランがアメリカ先住民連続殺人事件について描いたベストセラーノンフィクション「花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」を原作とした映画です。

 

 

 

そういったアメリカの負の歴史を今こうして映画にすることも意味深いことではないですか。

日本で今年、大きな成功を収めた映画作品の一つに森達也監督の『福田村事件』(2023年)がありますが、悲劇的な歴史の事実を忘れないため、あるいはより多くの人たちが知るため、映画にするのはホントに大事なこと、正しいことだと思います。

『福田村事件』…私はまだ観れてないんですがホントは観ないとダメですね。

 

 

マーティン・スコセッシ監督…10代の頃からなんとなく優れた映画作家だと認識し始めていたように思いますが、実は私が作品を理解していたとは言いにくくあせる

『タクシー・ドライバー』(1976年)を初めて観た時も「何だこりゃ、主人公が変な人だ~あせる」と思ったんですよね。

『救命士』(1999年)なんかもわからない映画でした。

 

調べるとマーティンの映画をあまり劇場で観ていなかったんですが、レオが主演ってことで『アビエイター』(2004年)や『ディパーテッド』(2006年)の頃の作品は映画館で観てましたし、満足した記憶があります。

 

気負って観たら、よくわからない映画もありましたが、例えば『アフター・アワーズ』(1985年)なんかはとても楽しんだ覚えがありますし、『レイジング・ブル』(1980年)も何だか凄かったんですよね。

 

ともかく『アイリッシュマン』(2019年)が日本で公開された時、シネマート心斎橋さんに行って…結局は観なかったことが今でも大きな後悔になってますが ―― 私の場合はまずやっぱり『グッドフェローズ』(1990年)や『カジノ』(1995年)で、その暴力表現にショックを受けました。

それがイヤという方もおられるでしょうけど、しかしまたマーティンの本質はバイオレンス描写にはないかもしれません。

暴力や殺人が「恐怖」であることが映画の中で大切なだけなんですよね。

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』でも犯罪の場面は確かに怖いですよ。

 

『グッドフェローズ』や『カジノ』はわかりやすくって、「調子に乗ってイキってたら、やっぱり隙ができてバチが当たりました」って映画じゃないですか。

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』もそこは重なるように思います。

 

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』を観ていて、これまでに観たマーティンの映画が重なったんですよね。

後半、「味方の裏切り」に『グッドフェローズ』を思い出していたし、獄の中で慟哭するのも『レイジング・ブル』を思い出してたし…何か、「もしも別の道を選んでいたら…」って感覚は『最後の誘惑』(1988年)も思い出しました。

 

マーティン・スコセッシの一連の映画を言葉でまとめることは ―― 監督の作品にとって信仰が大きなテーマだろうこともあり ―― 私には難しいんですが、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』を観ていてもマーティンの作家性のような何かを感じていました。

 

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』について言えばアメリカの罪、先住民の方々への歴史的な償いのテーマが深いと思いますし、まず、そういった視点での感想が私も思い至りました。

 

音楽を担当されたのが元「ザ・バンド」のメンバーだったロビー・ロバートソン…今年8月9日、亡くなられました(私は「ザ・バンド」の音楽をあまり知りません)。

ロビーとマーティンは長い付き合いだったようですし、ロビーは先住民の子孫でもあるそうです。

あくまでも憶測ですが、人生の最後にロビー・ロバートソンにとってこの映画に携わることは非常に大きな意味のあることだったのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

当時の先住民オーセージ族のあらましが語られたあと、主人公アーネスト・バークハートが登場しますが ―― その最初の一瞬でレオナルド・ディカプリオの演技にゾクゾクゾク~っときましたわ。

いや、演技といいますか、アーネスト・バークハートが登場する時、「レオナルド・ディカプリオによく似た知らない人」に見えるので ―― こういうのをホンマの名演技というのだろうと考えていた。

レオは2015年の『レヴェナント 蘇えりし者』でオスカー主演男優賞を受賞してるけど、アーネスト・バークハートで再び受賞してもいいんじゃないかと最初の1時間で思ってました。

アーネスト・バークハート役はレオの実年齢よりも若いキャラクターに思えたし、キャラ的に美中年ではないんだけど ―― ジャック・ニコルソンが演じた役柄のどれかや、マーロン・ブランド的な何かを私は感じました。

しかもどうかすると辻本茂雄もチラついてしまうのでホント困る。

 

映画の舞台が1920年代のオクラホマ州ってことなんだけど、その再現もきっと完成度が高いのでしょ、私は久しぶりに「アメリカ」を感じていたように思います。

ロバート・フランクの有名な写真集『Les Americains』(1958年)を見ている感覚に近いような。

 

アーネスト・バークハートという人物については、好きになれなかったけど、でも見ていたいような人なんですよね。

この人はいったいどうなるんだという。

 

かっこいい善人でもない、ハッキリと自分でも欲深いという人だし、下心も見え見えなんですよね。

つまり俗っぽく平凡な人なんだけど、そういう人が主人公な映画 ―― でも、あとで知ったんですが、レオは本来、「正義の味方」的なトーマス・ブルース・ホワイト・Sr.役を演じる予定だったそうで…この変更にまつわるエピソードを知ると、レオの考えも垣間見えますし、だからこそ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』が元の構想よりも優れた映画になったのかもしれないことが伺えます。

どうしてもレオを贔屓してしまいますが、やっぱりそれだけの人ではないのだ、レオナルド・ディカプリオ。

 

 

実際の「Ernest Burkhart」の写真を見ると…確かにビックリマーク

なんか似てるぞ~!!

 

 

ロバート・デ・ニーロの出演作を観たのはいつぶりだろう ―― 私は巡り合いに恵まれず下手したら『ジョーカー』(2019年)以来かもしれないですね。

前にも書きましたけど、私は10代の頃、ロバートがホントにいい俳優さんなんだろうと友達と話したりして、出演作をかなり観ていたんですよ、当時のビデオで…。

その年頃には難しい映画も多かったと思いますけどね。

今も理解できてないだろう作品もあると思いますし。

何にせよ、ロバートの出演作に好きな作品は多いですよ。

 

 

映画の中のウィリアム・ヘイル、「キング」は…後半でワルがめくれて映画に出てくる悪役らしい悪役に思えましたが実際、現実でもそういった強欲ジジイが一族を率いていたり、先住民の方々を虐げてその富を奪ったり、そういったことが町ぐるみでなんとなく許される時代や世相もあったのではないだろうか。

当初、この連続殺人事件の犯罪がなんとなくあやふやなままで見過ごされていきつつあったのも「キング」がそれだけの立場の人物であったのだろうし、きっと21世紀の日本でも実力者とはそういったものなのかもしれない。

どこまで行ってもどうお金を引っ張ってくるかで評価を与えてしまう社会だし、その人から恩恵にあずかれば感謝もするだろうし頭も上がらなくなるだろう。

 

 

レオやロバートの出演には観る前から期待を感じていましたが、実際に映画を観ていて目を奪われるのはアーネスト・バークハートと結婚することになるモリーを演じたリリー・グラッドストーンでした。

当初、何らかの含意を感じる表情に暗示を感じ、この人は何を考えてるんだろうと思うんですが、そんな裏表のある人じゃないじゃないですか。

だから心配で…悲しくって助けたい衝動に困りました。

ホント美しくて魅力的な女優さんでしたね、リリー・グラッドストーン。

 

 

モリーの母親リジー・Qと他の3人の姉妹も好きでした。

妹のミニーなんかホントに出演時間が短かったけど、悲しげな顔が印象に残ったんですよね。

この映画の中で最も感動的に感じたのはある人に「お迎え」が来る場面です。

あのシーンが美しかった。

ああいった最後を得られるのなら、有意義ないい人生だったと思えるかもしれませんね。

あの場面が映画の中でどう「効いてるのか」を分析することはできないけど…人は欲どしさで安らぎは得られないのかと思います。


 

この映画はもともとパンフレットも発売されてませんでしたので、ただ、観た感じです。

 

3時間26分の上映時間が長すぎるというご意見もあるようですが、じゃあ3時間を超える映画を作ってはいけないのかと考えると賛成はできないなあ。

それは映画の可能性を狭めてしまうもの。

観たあとで今、どこかをカットすればいいのか考えても、私には思いつけないな~。

長い映画だからこそ素晴らしかったって思ってます。

自分が3時間の映画をじっくりと観れることも嬉しかったですし。

 

連続殺人事件を描いた犯罪映画ですが、捜査よりも犯罪の状況を描いた作品ですよね。

この映画がどういう作品か、アーネストとモリーの場面で終わっていくことで、私は二人の物語ではなかったかと思ってます。

 

最終的なラストですが、三谷幸喜監督の『ラヂオの時間』(1997年)を私は思い出してて…その場面にジャック・ホワイトが出てたらしいんですよ。

けど私は気づきませんでした。

これから観る方は注意して見つけてください。

 

長い映画がイヤという方には不向きな映画だと思いますが、私はマーティンの映画の中でもまぎれもない傑作ではないかと思います。

そこまでハッキリとどんな映画か、書けませんけど、私は観てとても良かったです。

是非、劇場で観てください。

 

今日もありがとうさんです、おおきに…☆⌒(*^-゜)v




キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
原題:Killers of the Flower Moon
韓国語題:플라워 킬링 문
中国語題:花月杀手


2023年製作/206分/PG12/アメリカ
日本公開:2023年10月20日
配給:東和ピクチャーズ

監督:マーティン・スコセッシ
製作:マーティン・スコセッシ、ダン・フリードキン、ブラッドリー・トーマス、ダニエル・ルピ
製作総指揮:レオナルド・ディカプリオ、リック・ヨーン、アダム・ソムナー、マリアン・バウアー、リサ・フレチェット、ジョン・アトウッド、シェイ・カマー ニールス・ジュール
原作:デイヴィッド・グラン 『花殺し月の殺人――インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』
脚本:エリック・ロス、マーティン・スコセッシ
撮影:ロドリゴ・プリエト
美術:ジャック・フィスク
衣装:ジャクリーン・ウェスト
編集:セルマ・スクーンメイカー
音楽:ロビー・ロバートソン

アーネスト・バークハート - レオナルド・ディカプリオ (加瀬康之)
モーリー・カイル - リリー・グラッドストーン
ウィリアム・“キング”・ヘイル - ロバート・デ・ニーロ (樋浦勉)
トム・ホワイト - ジェシー・プレモンス (前田一世)
W・S・ハミルトン - ブレンダン・フレイザー
リジー・Q - タントゥー・カーディナル
ケルシー・モリソン - ルイス・キャンセルミ
ビル・スミス - ジェイソン・イズベル
アンナ・ブラウン - カーラ・ジェイド・マイヤーズ
リタ - ジャネー・コリンズ
ミニー - ジリアン・ディオン
ヘンリー・ローン - ウィリアム・ベロー
ケルシー・モリソン - ルイス・キャンセルミ
ヘンリー・グラマー - スタージル・シンプソン
ジョン・レン - タタンカ・ミーンズ
フランク・スミス - マイケル・アボット・Jr
ジョン・バーガー - パット・ヒーリー
ブライアン・バークハート - スコット・シェパード
ウィリアム・J・バーンズ - ゲイリー・バサラバ
ポラック判事 - スティーヴ・イースティン
リーワード検察官 - ジョン・リスゴー
タートン(葬儀屋) - バリー・コービン
マーティン・スコセッシ