韓国映画 The NET 網に囚われた男 (2016年) | Asian Film Foundation 聖なる館で逢いましょう

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アジア映画に詳しくなかった私がアジア映画を観てます♪
ネタバレはできるだけ避けております…(ㆆᴗㆆ)*✲゚*。⋆

 

 

 

 

 

 

アンニョン…(^-^)ノ

 

6月もありがとうございました…キスマーク

 

ホントに暑くって…皆様、どうかお大事に…晴れ

 

 

 

ところで…もっと先の公開だと私が勘違いしてて、ブロともさんが見てこられたと知り、焦ってしまったのですが(>_<)

 

こちらの映画が6月17日からすでに公開中でしたNEWNEWNEW

 

三姉妹

三姉妹 ThreeSisters 公式サイト

 

ドラマ「愛の不時着」のキム・ソニョン、「オアシス」のムン・ソリ、「ベテラン」のチャン・ユンジュが三姉妹を演じ、第42回青龍映画祭をはじめとする韓国の主要映画祭で多数の女優賞を受賞した人間ドラマ…ですよ。

 

まだこれから公開の劇場もありますので、よろしく~ビックリマーク

 

 

 

 

 

6月19日でしたが、この作品を観ました…カチンコ

 

 

 

 

 

The NET 網に囚われた男

 

 

2020年12月に亡くなったキム・ギドク監督の22作目の作品で、この次の『人間の時間』(2018年)が遺作になりました。

 

※ 『Dissolve(解散)』(2019年)という作品があるそうです。

 

『The NET』はもちろん、まずキム・ギドク監督の映画ですけど、同時に主演がリュ・スンボムさん。

 

好きなんですよ~、スンボムさん。

私生活なんかは知らないし、詳しく調べたこともないんですけど、ヨーロピアン体質なのかヨーロッパに長期滞在したり、「ボヘミアン俳優」とファンから称される雰囲気など、演技人としての表の顔とはまた違う人なんじゃないかと思います。

それはソン・ガンホもユ・ヘジンもそうですね。

 

とにかく俳優としてのスンボムさんが大好き。

出演作も初期のものからたくさん観てきましたけど、たとえ映画の完成度には疑問符が付いたとしても、どの作品もかけがえなく好きです。

 

そんなわけでキム・ギドク監督の映画の中でも『ネット』は特に観たいと考えていた作品です。

 

じゃあなんで日本で公開された時に映画館で観なかったんだと言われると困ってしまいますけど(^_^;)

2017年の1月ですか…こうして観終えた今は『ネット』…映画館で観ておきたかったですよね~汗

 

フランスで暮らすスンボムさんはスロバキア出身の女性との間に2020年6月末、お子を授かったとのことです。

 

 

大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国を分断するのは「38度線」であることはご存知でしょう。

「軍事境界線」と「38度線」は厳密には一致しないそうですし、38度線は「国境」ではないようですね。

なぜって韓国にとって北も韓国ですし(北韓)、逆に共和国にとっての韓国もそう。

島国・日本にとっては国境って線も今ひとつイメージが難しいような気がするけど、韓国映画を観ていれば、38度線の向こうは別の区切られた地であることを知ることになります。

 

有名な映画がパク・チャヌク監督の『JSA』(2000年)ですけど、あの作品もやはりあくまでも創作で、今のところ、あんなふうに南と北の軍人さんが仲良くしたりといったことはなさそうです。

でも、分断した国として南と北で交流がないわけではないようです。

 

しかし、例えば北から南へ無断で行こうとすれば、射殺されるような危険もあるだろうし、非常に緊張したボーダー・エッジが厳然と存在しているわけですね。

北から南へ脱する人たちを「脱北者」と言いますが、最近、私も

「脱北者」って言葉を気軽には使いたくない気分です。

 

難しい…ホントに難しい。

でも韓国映画について書くからには、韓国の人たち、共和国の人たちに自分を重ねないでどうするの、って話です。

それができないなら映画を観る意義が大きく欠けてしまうじゃないか、って私は思います。

それができない人の感想はつまらないものですよ。

私は映画から学び、映画で人や他国を知る。

 

こういったことを書くと、どうしても私はまだまだ中途半端に、舌足らずにしか書けないけど、映画の感想を書く中で少しずつ書いて、自分の考えを少しずつまとめて、より正しいことを書こうと努力するつもりです。

もちろん間違っていれば考えを改めます。

 

とにかく映画『ネット』については、北から南へ来るとどうなるのか、それが重要で、これまでの報道などからも現実を知っておかなければなりません。

しかし南から北へ行けばどうなるのでしょう。

私も知るべきことが多いようです。

 

 

観終えての私の感想ですけど、思っていたよりもずっと難しい映画ではないと思いました。

そのあたり「さすがはキム・ギドク」と思いました。

キム・ギドクの映画は難解だと私も思ってたけど、この映画を難解には思いませんでした。

キム・ギドクのストーリーテリングが思ってたより親切です。

 

ただ、すっごく現実的かどうかはわかりません。

もちろん、韓国の人たちと私の観方も違うでしょうし。

けど確かにこれはニュースではなく映画なんだと思います。

 

で、いつも通り、詳しく知らないので私は観たので、これから観る方々にもそうしてほしいと思いました。

 

公式サイトさんにあったストーリーはかなり後半まで書かれたものです。

ですので詳しく知りたくない方は、読まれない方がいいと思います。

 

STORY
北朝鮮の寒村で、妻子と共に貧しくも平穏な日々を送る漁師ナム・チョル。その朝も、唯一の財産である小さなモーターボートで漁に出るが、魚網がエンジンに絡まりボートが故障。チョルは意に反して、韓国側に流されてしまう。韓国の警察に拘束された彼は、身に覚えのないスパイ容疑で、執拗で残忍な尋問を受けることに。一方、チョルの監視役に就いた青年警護官オ・ジヌは、家族の元に帰りたいというチョルの切実な思いを知り、次第にその潔白を信じるようになる。そんな時、やはりスパイ容疑で捕えられた男が、チョルにソウルにいる娘への伝言を託して、自ら舌を噛み切り息絶える。やがて、チョルを泳がせようという方針から、物質文明を極め人々が自由に闊歩する、ソウルの繁華街に放置される。街を彷徨う彼は、家族を養い弟を大学に入れるために身を売る若い女性と出会い、経済的繁栄の陰に隠されたダークサイドに気付く。何とか探し出したかの男の娘に伝言を告げ、ジヌが待つ場所に戻るチョル。ところが、街中のチョルの姿を映した映像が北に流れ、南北関係の悪化を懸念した韓国当局は、チョルを北朝鮮に送還する。資本主義の誘惑を退け、晴れて祖国に帰って来たチョル。だが、彼を待ち受けていたのはいっそう苛酷な運命だった。

 

 

妻子を愛する漁師チョルが誤って南へ流されてしまい、南側へ来てしまったんですが、取り調べの中でスパイ容疑がかかり、理不尽な苦しみが彼に降りかかります。

 

 

保衛部の調査官は規則を逸脱してまでチョルを追い詰め、事実をねじ曲げてでもスパイだと断定しようとする。

 

調査官がなぜそうまで必死になるのか、その理由も明かされますけど、それでなくても、いかにも現実にいそうな人柄の人物だと私は思いました。

 

自分が望む結果を得ることだけが重要で、それがこの人にとっての正義らしいんですね。

こういった人は実際にいますし、こういった人が警察の人だったり権力を持つ立場だったりすると恐ろしいと思います。

「疑わしくなくても罰せよ」だなんてね…しかし事実をねじ曲げてでも目的に至ろうとするのなら信頼関係は築けません。

 

私は映画を観つつ腹が立ってきました。

 

 

しかし若い警護官のオ・ジヌは、チョルが調査官が決め付けるようなスパイではないと確信していきます。

むしろチョルが、妻子を愛する、ただ家族の元へ帰りたいだけの純粋で誠実な人物であると好感を抱いていく。

 

南に対して、また南へ来たことに対して恐怖を感じていたチョルも、ジヌの人柄を信頼していくことになる。

 

調査官のチョルへの対し方は、いわば排外主義のありようで、明確な根拠はないけれど境界の向こうから来た人を憎悪するものです。

これは韓国と共和国の関係だけではなく、日本でも、日本と他の国々の関係も同じですね。

他国を「明確な根拠なく頭ごなしに敵視する」ような人たちが重なります。

 

チョルとジヌの関係はもっと理想的です。

相手に対して思いやりも忘れないし、自分と同じ人間であることを前提に親しくなろうとする…。

 

私は『ネット』の前半だけで、すでにこの映画を観た意義を達成したように思いました。

 

チョルに対する調査官とジヌのコントラストがキム・ギドクのテーマの一つだったでしょう。

私はキム・ギドクの物語に共感しました。

ここまでキム・ギドクの映画でシンパシーしたのは初めてじゃないかな~。

キム・ギドクが脚本を書いた『レッド・ファミリー』(2012年)や『鰻の男』(2014年)がありましたけど、監督作では初めてのように思います。

 

『レッド・ファミリー』もそうですけど、韓国と共和国の関係…監督の母国が分断国家であることについては、『ワイルド・アニマル』(1997年)もありましたし、チャン・ドンゴンが主演した『コースト・ガード』(2002年)もそれに当てはまるでしょう。

だから韓国の映画監督なんだから当然だけど、キム・ギドクにはそのテーマがあったし、今もお元気ならまた取り組まれたでしょうね。

 

『ワイルド・アニマル』は悲劇的な結末だったけど、ラストの一瞬に私は希望を感じてます。

しかし、『ネット』はもっと辛辣で、かなり悲観的な作品に思えました。

 

※ キム・ギドクが脚本を担当したチョン・ジェホン監督の『プンサンケ 豊山犬』(2011年)ですが、私はまだ観てません。

 

 

リュ・スンボムさん…素晴らしい演技でした。

北の、素朴で平凡な漁師さんにしか見えません。

チョルがソウルの町をさまよう場面、すごく好きでした。

そのあと、オ・ジヌにソウルの感想を話す場面もグッときましたね…。

 

 

オ・ジヌを演じるのはイ・ウォングンくん。

 

イ・ウォングンくんの出演した映画をこれで6本観れましたけど、一番良かったように思いました。

いい映画でいい演技をしましたね~。

 

 

調査官を演じるのはキム・ヨンミンさん…。

私的には『チャンシルさんには福が多いね』(2020年)の「レスリー・チャン」の役が好感度高しだったんですけどね~汗

『ネット』のこの役はイヤな感じでまた強烈でした(^_^;)

でも、俳優さんとしてはいろいろな役を振り切って演じるのが仕事だし、やっぱり凄いと思いましたね。

 

他には、調査官の上司にあたる人がチェ・グィファさんで、後半に登場する北の少女が「あひらめき電球」と思ったらゾンビから逃げ回ってた子役ちゃんでした(´∀`*)

 

 

ホントに先が読めなかったし、後になってもことあるごとにハッとさせられて、最終的にはガーンときて…悲しくなりました。

 

前半はともかく後半はこれこれこうと言葉にしにくいんですけど、チョルが妻とのふれあいをこれまでのようにできなくなることにキム・ギドクっぽさを感じたり…それは「決して元に戻れない地点」にチョルが到達してしまったってことかなあ。

ジヌがチョルのことを思ってやったことがチョルを危なくしたのも悲しかったなあ…。

 

日本の今回の参院選で外交・安全保障がテーマの一つなんでしょうけど、国家、国境、そして国同士の対立や、スパイ容疑などなど…この映画を観てるととにかくバカらしくって、自分が生きてる間に一度ゼロに回帰するところがホントに見たいと思ったし、人間が国とか作ってそれを守ろうとしてきたことってホントに意味があったのだろうかと、そこまで行ってしまいました。

 

キム・ギドクが言った「これまで私が作ったどんな映画より、「The NET 網に囚われた男」は、重要で意味ある映画だ。」って言葉、その通りです。

 

6月、続けて観てきた『ファイター、北からの挑戦者』(2020年)と『12番目の容疑者』(2019年)、そして『The NET 網に囚われた男』…重なるところもあり、分断国家の苦しみと喘ぎに私自身が直面し、それだけでなく自分が生きる世のある一面について考えさせれることになりました。

苦しいところもありましたが自分の人生には非常に有意義だったことに疑いはありません。

 

『The NET 網に囚われた男』 ―― 韓国映画を普段観ない方々にもオススメしたいですし、もし観るのなら是非、真剣に観ていただきたい…と思いました。

 

7月もよろしくお願い致します…キスマーク

おおきに、ありがとうさんです、アンニョン…(^.^/)))




The NET 網に囚われた男
原題:그물 (網)
英語題:The Net


2016年製作/112分/G/韓国
日本公開:2017年1月7日
配給:クレストインターナショナル

監督・脚本:キム・ギドク [第22作]

PD:キム・スンモ
助監督:キム・ジョンウ
撮影:キム・ギドク
証明:チョン・ヨンサム
編集:パク・ミンソン
音楽:パク・ヨンミン
美術:アン・ジヘ

出演
リュ・スンボム → ナム・チョル 漁師
イ・ウォングン → オ・ジヌ 警護官
キム・ヨンミン → 調査官
チェ・グィファ → イ室長
ソン・ミンソク → 保衛部 調査員
パク・チイル → 幹部 ミン(閔)部長
ファン・ゴン → 要員1
ファン・スンファン → 要員2
キム・ドンヨン → 要員3
ヤン・ヒョンミン → 北朝鮮 軍人1 警戒所
イ・ジョンミン → 北朝鮮 軍人2 警戒所
チョ・ジェリョン → 北朝鮮軍 小隊長
キム・ピョンジョ → 北朝鮮軍 狙撃手
アン・ジヘ → ミンジャ 娼婦 コレサニャン(鯨捕り)
イ・ウヌ → ナム・チョルの妻
イ・ソルグ → 脱北者 リ・ドゥチュン
チョン・ハダム → チンダルレ スンデクク店員 固定スパイ
ハン・ユジョン → ナム・チョルの娘 ソリ
キム・ジュンベ → 保衛部 幹部
ホ・スン → 保衛部 要員1
オ・リュン → 保衛部 要員2
キム・ドヨン → 北朝鮮 アナウンサー
キム・スアン → 北朝鮮 花少女
カン・ヨンジョン → ミョンドン(明洞)女性
チョン・テソン → チンピラ1
ファン・インム → チンピラ2

 

特別出演

ソン・ヒョナ → 転向チーム 担当者

 

※ 輝国山人の韓国映画様から転載させていただいてます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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