バニシング 未解決事件 (2021年) ドゥニ・デルクール監督作品 | Asian Film Foundation 聖なる館で逢いましょう

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アジア映画に詳しくなかった私がアジア映画を観てます♪
ネタバレはできるだけ避けております…(ㆆᴗㆆ)*✲゚*。⋆

 

 

アンニョン(^-^)ノ

いつも、ありがとうさんです…キスマーク

 

 

 

映画ファンの皆さまの間ではカンヌ国際映画祭の話題で持ちきりでしょう。

 

私としてはまず、パク・チャヌクが『ディシジョン・トゥー・リーブ(英題) / Decision to Leave』で監督賞を、是枝監督の『ベイビー・ブローカー』が「エキュメニカル審査員賞」を受賞した嬉しいニュースもありましたし、何といってもソン・ガンホが男優賞受賞です。

 

確かにいつだって受賞しているような演技だったソン・ガンホですが、是枝監督の作品でとなると話も別ですわ。

嬉しさもひとしおってヤツですね\(^o^)/

 

ベイビー・ブローカー

映画 『ベイビー・ブローカー』 公式サイト

 

これでまた『ベイビー・ブローカー』が注目してもらえると思いますし、日本でも多くの方々に観てもらえることを願ってやみません。

 

そしてパク・チャヌク監督の最新作…こちらへの期待も高まりまくるのですね。

楽しみですよ~音譜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それもですが、この映画を観てきました…キラキラカチンコキラキラ

 

※ 公開中の映画ですNEWNEWNEWNEWNEW

 

 

 

 

 

バニシング 未解決事件

 

 

英国・グラスゴー出身の作家、ピーター・メイの「The China Thrillers」の3作目『ザ・キリング・ルーム』(2001年)を『譜めくりの女』(2006年)のドゥニ・デルクールが監督したフランスと韓国の合作作品です。


ハリウッド映画『Tsunami LA』の撮影の遅れによってカン・ドンウォンが降板した、『静かな朝』のタイトルで知られたあの作品なのですよねはてなマーク

 

ともかく…原作小説やドゥニ・デルクール監督については何も知らなかったのですが、日本で『バニシング 未解決事件』のタイトルで公開されることを知ってから、非常に気になっていた作品です。

 

それこそ『ベイビー・ブローカー』がそうなんですが、日本の映画監督の方々が韓国で映画を作る、あるいは韓国の俳優さんたちを起用して映画を作る、それがどんな映画になるのか、私は常日頃から興味の持ってるんですが、『バニシング』はフランスのドゥニ・デルクール監督 ―― そうなるとフランスの監督が韓国で映画をどう撮るか、やはりどんな映画なのか気になって仕方がなかったわけです。

 

それでなくとも、韓国・ソウルで、身元不明の遺体が発見される。遺体は指紋が失われ、全身が傷だらけの状態だった。刑事のジノは事件解決の手がかりを求めて、シンポジウムのため来韓していた国際法医学者のアリスに協力を要請 ―― って話だけで観たくなりませんか。

 

ちなみに、 ジョナサン・リーベスマン監督の2009年のサスペンス映画、『実験室KR-13』の原題が「The Killing Room」なんですけど、『バニシング』とは無関係ですね。

 

 

映画 『バニシング:未解決事件』 公式サイト

 

※ 6月になると上映が終了する劇場が多いのでご注意ください。

 

 

※ 内容に触れておりますのでご注意ください。

ストーリー
ソウルで発生したある怪死事件。身元不明の遺体は指紋が奪われ、体中傷だらけの状態で発見された。ソウル警察の刑事ジノは事件解決の手がかりを探るにあたり、シンポジウムのため来韓していた法医学者のアリスに協力を要請する。遺体の身元が容易に特定できず、臓器が違法な手術によって抜き取られていたことを知った2人は、背後に蠢く組織を追い詰めるべく捜査に挑む。しかしそこには、想像を絶する凄惨な事件の真相が隠されていた―。

 

原作小説は「チャイナ・スリラーズ」として中国が舞台だったようですが、中国での映画化は不可能だと判断され、韓国に舞台を移し替えた…といったことを監督が語られています。

 

確かに、『バニシング』にはいかにも韓国映画らしい側面もあるかもしれません。

 

よくわからない怪死事件って感じでもなく、事件の真相はけっこう早くから見えてきます。

犯罪の手口は、かなりゾッとさせるものですね。

実際、こういった事件もあるんでしょう。

 

映画としては、その事件に関わる人たちそれぞれの心境の変化が、私は観終えて記憶に残りました。

 

もっと深く書きますと、一般的な韓国の犯罪映画よりもサスペンス度は高くなかった印象です。

「容疑者を追う刑事が街中を全力疾走する」追撃戦のシーンはなかったですよね。

 

しかし残酷描写は結構あからさまで…被害者のご遺体をイヤな角度から長く映したりってことはありました。

そこ、きつかったですね、私も。

そういった映像に慣れてない方は気分が悪くなると思う。

それだけはこの映画に関して、要注意ですね。

 

 

ドゥニ・デルクール監督については『バニシング』を観るまでホントに何も知らなくって…まあ、パンフレットにインタビューがあるので読みましたけど…今から思うと、監督の『譜めくりの女』を観てから『バニシング』を観た方が良かったかも…。

 

 

 

 

 

 

刑事パク・ジホを演じるのはユ・ヨンソク。
ですが、主演はオルガ・キュリレンコとのダブル主演と考えていいと思いました。

どちらか1人だけが主役ではないですね。

2人が主演だと私は考えます。

 

私がヨンソクくんを意識したのは劇場で観た『尚衣院 サンイウォン』(2014年)の王の役だったと思いますけど、まだハン・ソッキュさんやコ・ス、パク・シネの方に目が行ってましたよね。

その後、『提報者 ES細胞捏造事件』(2014年)や『隠密な計画』(2014年)、『愛を歌う花』(2015年)を観ていく中で好きな俳優さんになりましたよ。

 

去年の暮れに『スティール・レイン(鋼鉄の雨2)』(2020年)と『ニューイヤー・ブルース』(2021年)を劇場で観て…2作ともユ・ヨンソクくん、良かったな~ヾ(*´∀`*)ノ

 

そういった意味でまたヨンソクくんをスクリーンで観たので『バニシング』を観に行った値打ちがありましたね。

 

そう言えば…多くは語りませんが今月は『オールド・ボーイ』(2003年)も同じ映画館さんで観たので…ヨンソクくんをスクリーンで見るのが続きましたわ~(≧∇≦)

 

ジホは刑事として優れた人物で、人柄もいいですよね。

姪に優しいし。

 

彼は手品が得意ですが、それがらみでひと場面、超・かっこいいシーンがありました。

 

ジホが韓国映画によく出てくるマヌケなダメ刑事ではないこともこの映画の特色じゃないですか。

 

 

シンポジウムのため来韓していた法医学者のアリス・ロネを演じるのはオルガ・キュリレンコ。

 

この女優さんの映画は私はあまり観てなく…パッと思いつくのは『007 慰めの報酬』(2008年)と『オブリビオン』(2013年)ですね。

 

彼女もウクライナの出身で…きっと今の戦争で、お辛いでしょうね…。

 

アリス・ロネ役はフランス人の役で、フランス語と英語でのセリフ(と、あとちょっと韓国語も…)になりますけど、語学に優れた女優さんだそうで、私にはフランス人医師にしか見えなかったんですよね。

 

アリス・ロネは過去の苦しみを忘れられない女性ですが、彼女の物語もあります。

 

アリスが通訳のイ・ミスクに韓国人の恋愛観について尋ねる場面もありますが、イケメン刑事と仕事をすることになったアリスの気持ちもあったんでしょうね。

 

アリスは出しゃばらない人物ですが、仕事の面でキリッとしているし、一人の女性として魅力的です。

 

 

公式サイトではイェ・ジウォンさんやチェ・ムソンさんが詳しく紹介されていますね。

 

チェ・ムソンさん…この映画の撮影の後に痩せはったようで…(;´∀`)

いや~、あの巨体だからチェ・ムソンさんって佇まいだったんですけどね~、シュッとしはって。

『悪魔を見た』(2010年)の第2殺人鬼のムードも減退…。

 

で、それ以外の助演の方々ではソン・ジルさんも刑事の役でご出演です。

 

あまり出てられないけど、後半、刑事らしくかっこいい行動も…。

 

科捜研の人の役で『ワンドゥギ』(2011年)のト・ワンドゥクのお父さん、パク・スヨンさんもご登場でした。

 

イェ・ジウォンさんは悲しかったな~(>_<)

後半、きつかったんですね。

好きな女優さんですが…。

 

イェ・ジウォンさんは実際にフランスに関心が強く、フランス語も上手いそうですね。

 

そして、子役ちゃんたちもいい演技でしたよ。

 


それから、冒頭から怪しい医師の役でイ・スンジュンさんもご出演です。

イ・スンジョンさんの演じた医師はチェ・ムソンさんの役よりも出番が多いほどでしてな…私、この医師がキライでした。

彼の動機がね…最初からお金だったんでしょうけど、深みにハマったわけでしょ。

けどな、お金には代えられないものがあるでしょう。

何をやっとるんだ、コイツむかっ

 

それで、医師に追い込みをかけてくる「怖い人」の役が、『朝鮮名探偵 鬼<トッケビ>の秘密』(2018年)に出てはったらしいキム・ウヒョンさん。

 

 

かっこいんですけど、映画の中では「怖」かったんです~汗

 

キム・ウヒョンさんはミュージカル畑の方だそうです。

 

キム・ウヒョンさんが演じた男を使う人物を演じられていたのはキム・ミョンゴンさんでした…。

 

 

パンフレットは700円(税込)です。

 

・ イントロダクション ストーリー

・ パク・ジノ: ユ・ヨンソク

・ アリス・ロネ: オルガ・キュリレンコ

・ キャスト イェ・ジウォン チェ・ムソン パク・ソイ

・ スタッフ 監督・脚本:ドゥニ・デルクール プロデューサー:ナム・ユンソク 音楽:ジェローム・ルモニエ

・ 監督 ドゥニ・デルクール インタビュー 1 2

・ プロダクション・ノート

・ 作品データ

 

チェ・ムソンさんやパク・ソイには触れてるのにイ・スンジュンさんやソン・ジルさんはスルーなパンフレットでした(^_^;)

 

あと、『バニシング』は、私にはわからないところもあり、また作品としてどう捉えるか、そのあたり専門家の批評で知りたかったのですが、そういったページはなし汗

 

ま、作品を称えるような通常仕様のパンフレットですよね。

 

そういったあたり残念でした(>_<)

 

 

韓国が舞台で、主要キャストもほぼ韓国人なんですが、私思うにやはりフランス映画の趣き、カラーな映画に感じられました。

 

普段の「韓国映画」ではないですよね。

ですので韓国映画のファンからは好まれない映画かもしれないと、観ながら思ってました。

 

絵は韓国映画なんだけど、なんか違うんやな~。

いや、でも私はそれがイヤではなかったですよね。

 

セリフや物語はそんなに特殊ではないと思うんですが、「普段観ている韓国映画でな~い」こともあって、もっと深い意味を求めてしまう自分がいました。

観終えて、もの足りなく思ったし、もっと種明かし的な何かが欲しいと思いましたね。

 

それで、観終えた時に思い出したのが、ジェーン・カンピオン監督の『イン・ザ・カット』(2003年)です。

『バニシング』と『イン・ザ・カット』がすっごく重なりましたよね、私は。

 

『イン・ザ・カット』は『ピアノ・レッスン』(1993年)のジェーン・カンピオン監督の映画だから、『ピアノ』と同じ何かを期待して観てみたら、ストーリーはわかるんだけど、何だかそれ以上は理解できなくって…まあ、正直、落胆しましたよね。

 

『バニシング』については落胆はしなかったけど、いつも観る韓国映画のようにはわからなかったし、楽しめなかった。

そこがすっごく似てるように思ったんですよ。

それが私の感想ですかね…。

 

ちなみに私は10代半ばの頃くらいから、ハリウッドの娯楽映画よりもフランス映画を観て、自分の人生を反映させたいと思っていて、難解なフランス映画もよくも観てたんです。

それが苦痛では全然なかったですよね。

難しい映画を観た時、そのわからなさが好きだったし、今もわからないくらいの映画に出会うと、そのわからなさが好きです。

『バニシング』にもそれと同じ好ましさを感じました。

 

もちろん、犯罪映画としての率直な面白さもありましたよ。

実際、こういった事件もあるだろうと思わせるリアルさもあり、そこも好きでした。

題材的には韓国映画でもよく取り上げられるものです。

 

その犯罪を阻止できるのか、犯罪者を捕まえられるのか、結末も気になる作品でしたよ。

 

でも、何か、監督さんにはもうちょっと、作品の本質やらを観せてほしく思ったんですよね。

 

しかし、それも自分で考えないとダメなのかな~はてなマーク

 

と言いつつ、ラストも好きですね。

最後なんかも、ただの犯罪映画、サスペンス映画ではないと思いましたし、その感情が好きでした。

 

韓国風フランス映画なのかなあ。

 

と、書かせてもらいましたけど、どうなんでしょうはてなマーク

オススメしていいものかどうか…。

 

韓国映画のファンには向いてないような気がする。

 

でも、私は良かったんですよ。

そこはやっぱりドゥニ・デルクール監督の持ち味でしょう。

そしてヨンソクくんとオルガ・キュリレンコさん…イェ・ジウォンさん…。

 

フランス映画のごっついラブシーンはなかったですけどね。

 

そうですね、またうちのこの感想を観て興味を惹かれたら観てくださいね~ヾ(´▽`;)ゝ

 

今日もおおきに、ありがとうさんですキスマーク

アンニョン(^.^/)))




バニシング 未解決事件
原題:Vanishing
韓国語題:배니싱: 미제사건

 

2021年製作/88分/G/フランス、韓国


日本公開:2022年5月13日
配給:ファインフィルムズ

スタッフ・キャスト

監督・脚本:ドゥニ・デルクール
製作:アレクシ・ダンテク ナム・ユンソク
原作:ピーター・メイ 『キリング・ルーム』
脚本:マリオン・ドゥーソ
撮影:アクセル・コスネフロワ
編集:バランタン・フェロン
音楽:ジェローム・ルモニエ

ユ・ヨンソク パク・ジホ
オルガ・キュリレンコ アリス・ロネ
イェ・ジウォン イ・ミスク
チェ・ムソン 運び屋
パク・ソイ ユナ
イ・スンジュン ドクター・イ
ソン・ジル ジェヨン
アヌパーム・トリパーティー インドネシア人配達人
ウォン・ミウォン 運び屋の母親
パク・スヨン ドクター・オ
ソン・ジウ ジア
キム・ウヒョン 死刑執行人
キム・スハ 中国人女性
キル・ヘヨン ユナの祖母
キム・デヒョン ペク・ソンヒョン
キム・ミョンゴン 中国マフィアのボス
エルアン・カステレナック アリスの息子
グレゴリー・ガウレ ハッカー
ジャック・ジウ・ヘーゼルウッド ヘンリー
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