韓国映画 うつせみ 2004年 キム・ギドク監督作品 | Asian Film Foundation 聖なる館で逢いましょう

Asian Film Foundation 聖なる館で逢いましょう

アジア映画に詳しくなかった私がアジア映画を観てます♪
ネタバレはできるだけ避けております…(ㆆᴗㆆ)*✲゚*。⋆

 

 

アンニョン・・・(^-^)ノ

いつもありがとうですキスマーク

 

昨夜、21日ですが、この作品を観ましたカチンコ

 

 

 

 

 

うつせみ

 


うつせみ
原題:빈집
英語題:3-Iron


(2004年、韓国映画、90分)


監督・脚本・編集:キム・ギドク(第11作)

PD:ソ・ヨンジュ、カン・ヨング、Michio Suzuki
撮影:チャン・ソンベク
音楽:Michael Nyman、スルヴィアン(イ・スンウ、イ・ヨンボム、キム・ウグン)
美術:キム・ヒョンジュ

出演
イ・スンヨン → ソナ
チェヒ → テソク
クォン・ヒョゴ → イ・ミンギュ ソナの夫
チュ・ジンモ → チョ刑事
チェ・ジョンホ → 看守
イ・ジュソク → 老人の息子
イ・ミスク → 老人の息子の嫁
ムン・ソンヒョク → ソンヒョク 韓式家屋の夫婦
パク・チア → チア 韓式家屋の夫婦 友情出演
チャン・ジェヨン → ヒョンス ボクサー
リ・ダヘ → チウン ボクサーの妻
キム・ハン → オフィステルの男 オク・チンゴン 写真作家 友情出演
パク・セジン → オフィステルの女
パク・トンジン → イ刑事
イ・ジョンソプ → 旅行の夫
イ・ウィス → 旅行の夫人
リュ・ジョンファ → 旅行夫婦の息子
カン・ソンフン → 事故女ミヨンのボーイフレンド (武術指導)
チョン・ソンフン → 囚人1
チャン・ジヨン → 囚人2
キム・ヒョンソン → 囚人3
チャン・フン → 睨む男
チャン・ソクピン → 鑑識班1 (ラインプロデューサー)
キム・ヒョンソク → 鑑識班2
シン・テソク → 警官1
イ・ホンソク → 警官2
イ・ビョンフン → 警官3
パク・ナンミン → 警官4

 

※ 輝国山人の韓国映画様から転載させていただいてます。

配給:ハピネット・ピクチャーズ、角川ヘラルド・ピクチャーズ

 

 

去年の12月にキム・ギドク監督が亡くなった時、非常にショックでしたが、同時に、キム・ギドク監督が告発されていた問題についても知り、私はキム・ギドク監督の映画を観たり、それについて書いたりするのが難しく感じられました。

なんだかイヤになって。

しかし、他の映画を観ている時、キム・ギドク監督についても考えていて、私は多分、直接お会いしたいとは思えないけど(亡くなっておられますが)、映画は観たいと思ったんですね。

観ないわけにはいかないと。

 

(いま、こんなふうに書き始めて、こんなふうに書くのがめんどくさいなあ~と思いました。私はこういったことを書くのが好きではないんでしょうねあせる

 

私は有名人が何かで世間から非難されていても、私自身の判断で気にしないことが多いけれど、キム・ギドク監督のことについては、どう結論したらいいのかわかりませんでした。

わかったのは自分がキム・ギドク監督の映画を観たいってことですね。

 

ご本人が死んでしまった以上、さらに糾弾するような動きは韓国でも出てこなイカもしてないけど、キム・ギドクが告発されていたことで、もしも新しい事実が証明されるようなことがあった場合は、私の気持ちもまた変わるかもしれません。

 

『うつせみ』はキム・ギドク監督の長編11作目で、つまり生涯で23作の長編映画を遺した監督の、ちょうど中間くらいの作品でしょうか。

日本のハピネット・ピクチャーズさんの出資を受けて製作されたそうで、韓日合作作品ですね。

 

『うつせみ』はこのブログで私が韓国映画について書かせてもらう中でお知り合いになれた、本当にたくさんの韓国映画を観てこられたブロともさんのお気に入りの1作で、もう何年も観たいと思っていた作品です。

 

ある時期、キム・ギドク監督の作品を作られた順に観たいと思ってそうしてたんですが、『コースト・ガード』(2002年)まで観て、次の『春夏秋冬そして春』(2003年)に行けませんでした(^_^;)

『春夏秋冬そして春』以降の作品として、『サマリア』(2004年)、『弓』(2005年)、『ブレス』(2007年)を観てます。

『ブレス』については、後回しの方が良かったかなと思います。

 

今後はあまりこだわらずに観たい順で観ます。

 

と、私もいろいろ書いてるんですが、やっぱり大きな存在でしたよね、キム・ギドク監督・・・。

 

 

2004年、第61回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)、国際映画批評家連盟賞など4部門を受賞した作品です。
キム・ギドクの作品の中でも最も成功した作品でしょうし、評価も高く、愛着の強い人も多いとのこと。

 

実のところ、どんな変な映画なのだろうと考えてましたが、予想外に「メロドラマ」として素直に観れる作品だと私は思いました。

 

主人公たちのセリフがないんですけど、なぜか、その心中がそこはかとなく感じられる・・・。

 

 

ある青年(ジュヒ)は、家なし、職なし、大きなバイクで移動しつつ、時折、人の家にこっそり入って暮らしていた。

ドアに宅配フードのチラシを貼っておいて、それが剥がされてなければ住んでる人がお出かけ中だと判断して、手際よく鍵を開けて入ってしまう。

 

物やお金を盗むことが目的ではないし、お礼のつもりか洗濯をしたり、入った家の時計とか体重計、あるいはおもちゃの鉄砲が壊れていれば直しておいたりするので、ちょっと「善いこと」のように見えてしまったんですが、人の歯ブラシを使ったりするのがイヤなんです(^_^;)

洗濯も怖いですよね、やっぱり。

 

そんなある日、誰もいないと思って入った家には一人の女性ソナ(イ・スンヨン)がいました。

気づかずにくつろぎまくってる青年。

 

ソナの夫(クォン・ヒョゴ)は支配欲が強く高圧的で妻に暴力を振るうような男だった。

ソナの目の周りには殴られたアザがあり、夫に抗うことすらできぬ彼女は悲しそうな目で不思議な青年を見つめていた。

 

ソナは過去にヌード写真のモデルを務めたことがあったようで彼女の写真が載っている写真集が家に置いてあったんですが、それを青年が見ていて、ちょっと興奮したようだった。

その時、ソナが現れ、青年はビックリしたが、彼女が警察を呼んだり騒いだりすることはない。

 

一旦はその家を後にした青年だったが、短い時間でソナの境遇を知ったようだった。

不幸せそうな彼女の家に戻り、彼女に似合う服を選んでやるのだった。

 

そこへソナの夫が帰ってきて、またもやソナを大声で罵り、頬に平手打ちした。


 

青年はある方法でソナの夫を攻撃し、彼を動けなくした。

ソナは青年のバイクに乗り二人は走り去った。

 

Natacha Atlas - Gafsa VOSTFR [OST 빈집 Locataires ou 3-Iron]

 

 

ソナが青年と家を出るまでで20分ちょっとなんですが、そこからあと、なかなか予想できないような展開で・・・『うつせみ』ってタイトルから私が想像していた話しとはかなり違いましたね。

韓国語の原題は『空家』だそうです。

 

二人はその後、テソク ―― が、青年の名前だそうですが、劇中ではそう呼ばれることはなかったように思います ―― がしてきたように住んでいる人が出かけている家に入ってはくつろぐのだった。

 

 

セリフはゼロですし、けっこう突拍子もない場面があるんですけど、なぜか意味合いが見えそうに思えるんですね。

テソクとソナの間に愛が芽生えていくのは理解できますし、二人が幸せになってほしいとも思ってましたね。

 

それで、それまでは恵まれた人たちの家に入ってたんですけど、そこまで豊かではなさそうな人の住まいを選んで入ったところ、あることから警察沙汰になっていく。

 

そこで、おじいちゃんに寄り添ってるわんこ、泣けますわ~。

ひとつ言えば、あのわんこのその後もちょっとは描いてほしかった。

 

 

ホント、不思議な気持ちになる映画なんですけど、変なユーモアも感じるんでんすね。

 

それはキム・ギドクの映画を観る時によく感じるんですけど、変な発想のせいだと思うんですけど、私はなぜか笑ってしまいますし、好きですね、その変な感じ。

 

ま、私だけかもしれませんが、人の家に勝手に入り込んでごはんをいただいてたり、寝てたりしてて、住人が帰ってきて「こらー、何やっとんねん、あんたらビックリマークむかっむかっむかっむかっむかっ」となった時のテソクの慌て驚く顔が、「いや、ここまでやっといてこうゆう事態になることを予想してなかったんですかはてなマーク(^_^;)あせる」って感じでツボでした。

それはまあキム・ギドク監督の演出の妙でもあるわけです。

 

この映画ではゴルフが大きな要素だと思うんですけど、英語題の『3-Iron』はゴルフ用語だそうですね。

「3番アイアン」はてなマーク

 

また、暴力を振るう夫をソナがビンタし返すのも、『鰐 ワニ』(1996年)に似たシーンがあったので思い出したり・・・。

 

 

私が強い印象を受けたのはテソクとソナ、二人の愛の形だったと思います。

 

テソクは、高い学歴を持ちながら社会の外で存在しないように生きる青年。

ソナは家庭内で夫から虐待され自分とゆうものが表現できない人妻。

 

この二人が出会い、お互いに作用し、愛を育んでいく。

しかし、周囲はそんな二人をほってはおかず、そうかといって理解もできない・・・。

 

キム・ギドクの作品の中でも、初長編作の『鰐 ワニ』とか、『魚と寝る女』(2000年)、『悪い男』(2001年)といった作品には愛の形が描かれてたと思いましたし、メロドラマといってもいいんじゃないですか。

『悪い男』はそうとう歪んでるように思えましたし、私は観た時に好きになれなかったので感想を書いてないんですが・・・『弓』も好きにはなれませんでしたね。

 

『うつせみ』の愛の形は素直に美しいと感じました。


 

青年テソクを演じたジェヒ・・・輝国山人さんでは「チェヒ」と表記されてましたけど「ジェヒ」の方が検索されやすいみたい。

 

ジェヒさん、まったく知らない俳優さんでしたが、ドラマを観てる方々はご存知では。

最近の映画は『New Old Story』(2018年)、『Memento Mori』(2018年)といった作品に出ておられますね。

 

『うつせみ』に出た頃はまだ23、4歳だったと思いますがスタイルもいいし、かっこよかったですよ。

 

 

ソナを演じたイ・スンヨンさんも私はやっぱり知らなかったんですね。

美しい女優さんでいい表情をされてました。

 

やっぱりドラマには出ておられて、『うつせみ』以後に出た映画作品は2015年の『Alice: Boy from Wonderland』、おそらく日本未公開ですね。

 

で、 ソナのイヤな感じの夫を演じられたクォン・ヒョゴさんも詳しく知らなくって、知らない俳優さんばかりの映画だったんだけど、テソクとソナを取り調べる刑事さんはおじさんの方のチュ・ジンモさんビックリマーク

 

出てはったんですね、チュ・ジンモさんもキム・ギドクの映画に・・・。

 

それとキム・ギドク映画の常連、パク・チアさんも出てはりましたね。

 

 

これまで私が最も好きなキム・ギドクの作品は『サマリア』だったんですが、『うつせみ』はそれに匹敵するほど良かったです。

 

勝手に人の家に出入りして痕跡も残さず去る、って行為そのものは猟奇的で変態ですが、映画を観ている間はイヤな感じがしません、どころか、なんかちょっと楽しそう(´∀`*)

 

ルールもあったりして秘密の遊びめいたところが面白かったです。

 

これまでに観てきたキム・ギドク映画同様、いろいろ不可解なところもありましたが、その不可解さが快感でした。

 

何といっても青年テソクのキャラとか人格がいいですよね・・・。

無言でも優しさが伝わって来るんですよね~。

そなも彼のお陰でいい方に変わったと思いますよ。

 

キム・ギドクの映画だから、やっぱり好き・嫌いもあるとは思うんですが、もしも私のこの拙い感想で興味を惹かれたまだ観てない方は観てみてくださいね。

 

そして、私が観れるようそっと背中を押してくださり、爽子さん、本当にありがとうございます☆⌒(*^-゜)v

 

 

日本版DVDですが、キム・ギドク監督の映画ってけっこうお手頃な廉価版DVD&ブルーレイが発売される感じですけど、『うつせみ』のDVDは現在、廃盤で品薄なようですね。

メーカーさんにはファンのためにも「デジタルリマスター版」の廉価版での再発売などご考慮いただければ幸いです音譜

 

でわ、今日も最後までおおきに、ありがとうさんですキスマーク

アンニョン(^.^/)))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ネタバレ】

 

ラストですが、映画通りに解釈すると、刑務所の中で修行(?)を積んだテソクが、完全に気配を消して人から自分を見えなくする術を体得し、ソナとその夫と、同居することになる、って結末でしょうか。

 

(最後までイヤな奴でしたが)夫が目の前にいるのに、ソナはその後ろのテソクに視線がいってるのがちょっと狂気っぽい感じあせる

でも幸せな狂気なんですよね~。

 

あと、二人の乗る体重計の針が0キロなのの意味ははてなマーク

わかりませんけど、面白いなあ。

 

ハッピーエンドはてなマークかな(≧∇≦)

いい終わり方でした~、好きです~。