風の丘を越えて ソピョンジェ (西便制) 1993年 | Asian Film Foundation 聖なる館で逢いましょう

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アジア映画に詳しくなかった私がアジア映画を観てます♪
ネタバレはできるだけ避けております…(ㆆᴗㆆ)*✲゚*。⋆

 
 
〝西便制(ソピョンジェ)〟の声は
人の心を刃物で削ぐように
〝恨(ハン)〟が染み込むが

お前のは美しいだけで
〝恨〟がない

人の〝恨〟とは
生涯に渡って
心にうっ積する感情のしこりだ

生きることとは〝恨〟を積むこと
〝恨〟を積むことは生きることだ

お前は肉親を失ったうえに
光まで失った

人一倍〝恨〟がうっ積しているはずだが

なぜ声に出ない?
 
 
 
 
 
アンニョン(・_・。)ノ

2月16日、この映画を観ました。

 
 
 
 
 
 

風の丘を越えて

ソピョンジェ(西便制)

 
風の丘を越えて ソピョンジェ(西便制)
 
原題:서편제
英語題:Seopyeonje
 
(1993年、韓国映画、112分)
 

監督:イム・グォンテク
脚本:キム・ミョンゴン
原作:イ・チョンジュン『南道の人』(ハヤカワ文庫刊)「ソリ(唄)の光」
音楽:キム・スチョル

 

出演:キム・ミョンゴン、オ・ジョンヘ、キム・ギュチョル、シン・セギル、アン・ビョ ンギョン、チェ・ドンジュン、チェ・ジョンウォン、カン・ソンスク、チュ・サンホ、イ・イノク、ユ・ミョンスン、キム・ギョンラン、パク・イェスク、チョ ン・ミギョン、チョ・ハクチャ、イ・ソック、ユ・ヒョングァン、キム・ギヒョン、パン・ウンミ、コ・ドンオプ、パク・キルス、ソン・ヨンホ、ソン・ヨンタ ク、クォン・ホウン、イ・ウンスク、オ・ヨンシル、ユン・ヘヨン、チョ・ヨンジェ、キム・ユギョン、キム・ソン、コ・ソンユ、キム・ジフン、ムン・ヘジ、 キム・ソヒ、アン・スクソン、ワン・ギチョル、キム・ムギュ、チョン・チャンピル ほか
 

 
【物語】


全羅南道(チョルラナムド)を
薬の仲買人として旅しながら
一人の女性を探す、ドンホとゆう男がいた。
彼は歌われなくなって久しい〝パンソリ〟を
聴かせる女性を探し当てては
その歌声に耳を傾けつつ
過去を回想する。

幼い頃、キム・ユボンとゆうパンソリの歌い手が
やって来て、寡婦だったドンホの母親と恋に落ち
母親はユボンの子を宿すが難産の末に
命を落とす。

後に残されたユボンは
以前から連れていた養女のソンファとドンホを連れ
二人にパンソリを教えながら、旅回りの日々を送る。
ソンファとドンホは実の姉弟のようだった。

ほどなくして歌に見込みがないと思えたドンホには
プク(太鼓)のコス(鼓者)となる修練を課し
ユボンはソンファにのみ、自分と同様
パンソリのソリックン(歌い手)となる夢を託す。

しかし、パンソリは新しい時代の中で取り残され
3人の暮らしは日に日に苦しくなり
またユボンの芸術への執着が理解できぬドンホは
父と言い争うことが多くなった。

ある日、とうとうドンホはユボンとの衝突の末に
出奔し、それを嘆いたソンファは歌えなくなる。
ユボンは再びソンファが歌うよう
そしてパンソリの真髄をなす〝恨(ハン)〟を

極めるよう、ある決断を下すのだった。
 
 
やっと〝恨〟を

  歌に込められたな

わしに憎しみを感じたら
その思いが
声に染み込むはずだが
お前の声には
その跡すらなかった

これからは
心のしこりとなった
〝情念(ハン)〟に埋もれずに
その〝情念〟を越える声を出してみろ

〝東便制(トピョンジェ)〟は重みがあり
唄の結びが明確だが
〝西便制(ソピョンジェ)〟は悲哀と愛憎に
満ちている

しかし〝情念〟を越えれば
〝東便制〟も〝西便制〟もなく

唄の境地があるのみだ
 






 
これは、私が観てきた韓国映画の中でも

最初に観た『神さまこんにちは』(1987年)の次に
最も古い時代の作品でしょう。
昨夜、この映画の予告編を記事にした時
ブロともさんから
「このあたりが日本の映画評論家が
韓国映画に目を向け始めた初期の頃じゃないですかね」
とコメントをいただき、つまり
そうゆう作品なのでしょう。

イム・グォンテク 監督の作品はこれまでに
『酔画仙』(2002年)、『太白山脈』(1994年)の順に
観てきて、この『風の丘を越えて』が
3作品目になりますが

私は『風の丘を越えて』に

 

最も強く心打たれたと思います。
私はイム・グォンテク監督の映画が

好きなのですね、きっと。
本来は最新の映画を好む傾向が強い私ですが
こと、イム・グォンテク監督の作品となると
話は別のようです。

これは、朝鮮の伝統的な民俗芸能
〝パンソリ〟(판소리)の映画で・・・いや、けど
私がパンソリを知ったのはこの映画を観たからで
だから、パンソリについて、あれやこれや
よそから盗んで解説したって恥ずかしいだけなので
それは控えます。

一つ言えるのは、私は基本的に
どの国のものであっても伝統芸能って文化が苦手で
自分から知ろうとか体験しようとは
あまり思わないクチです。
が、この映画を観ることで知る、体験するパンソリは
やはり例外であったと思います。
私は映画を観ている間中
パンソリに魅せられ、圧倒されていました。

その人生の哀しみ、苦しみ
そして、幸福や不幸、善悪をも超える
魂のおののき、身ぶるい、感動・・・彼岸
人の人生の本質を、根源を考えた、ではなく
感じたように思えた二時間・・・
映画から受けたインスピレーションを言葉にするなど
到底、無理な話です。

理解した、わかった、とは言いません。
ただ、ある時代の韓国の物語に
自らの芸術を娘に伝え、越えさせようとした男
父の芸術に女としての自分の人生を捧げた娘
決別した父と姉を追い求めた息子
その芸術が作る家族の深い絆に
芸術に打ち込む寂々たる姿に

吐息をつき、共鳴りし、心かきむしられたのです。
 


 
キム・ユボン(父)を演じたキム・ミョンゴンさんは

この映画の脚本も書いています。
また、1993年に韓国で公開されたこの作品は
ソウルだけで100万人の観客動員を記録した
最初の作品でもあったとのことです。

日本でも1994年の6月に公開されたそうで・・・
その時代に、こういった素晴らしい韓国映画を
劇場で観た方には、羨ましさとともに

また、尊敬の念も感じてます・・・。
 


 
問題は・・・最近、特に感じるのですが

このたぐいまれなる傑作を
せっかく私のブログを読んでくださり
知っていただいた方々誰しもが
観ることができるのかどうか、ってことですね汗

私が書く映画の感想は、私自身の記録のため
って側面が強いにせよ、自分が観た映画の感動を
他の誰かと共有したい思いも強いのですから・・・。

また、この映画のDVDを発売してくれはった
アップリンクさんには悪いけど
古い時代のDVDってこともあるのかもしれないけど
画質、音質共に思わしいものではなく
それも今となっては残念なことです。

でも、もしもお住まいの近くの
レンタルDVD屋さんの棚にこの映画のDVDを
見つけたら、迷わず、借りて、観てください。

それだけは申し上げておきますね。
 
http://photos.hancinema.net/photos/fullsizephoto459382.jpg
http://french.korea.net/upload/content/editImage/140710_korea_film_seopyonje_4.jpg
 
、ゆうか・・・実はこの作品、2016年現在
いいことか、悪いことかはともかく

YouTubeに本編が完全にアップロードされてて
「서편제 Sopyonje (1993)」で検索してもろうたら
観れます。
(しかも日本版DVDにはないシーンがある気がするビックリマーク
ただ、英語も日本語も字幕が付いていません。
韓国語のわかる人だけ・・・って感じ??

まあ、こういった映画丸ごとアップロードの件は

やってええことなんか、私もようわからへんのですが・・・あせる
 
 
 
それはともかく

私もイム・グォンテク監督の作品
もっと、観れるでしょうかね??
レンタルDVD屋さんの棚にあるのを確認している
『春香伝』(2000年)と
『下流人生 ~愛こそすべて~』(2004年)は
ひとまず、観れると思うけど・・・
他の日本でもソフトが発売された映画
『キルソドム』(1985年)
『ハラギャティ』(1989年)
『将軍の息子』3部作(1990~92年)
『祝祭』(1996年)・・・にかんしてはどうかな??
それでも、何としてでも観たいと思ってます。

けど、ネットオークションとかで高値が付いてるDVDを

買ってまでも観るのは、しんどいな~(^_^;)

http://www.coffeecoffeeandmorecoffee.com/archives/Seopyeonje%20poster.jpg
 
 
 
そして、パンソリに関する最新映画ですが
4月23日から全国順次公開ですNEW
 
http://eiga.k-img.com/images/movie/84238/poster2.jpg?1454413427
 
花、香る歌

原題:도리화가

(2015年、韓国映画、109分)

監督: イ・ジョンピル
脚本:イ・チョルオ
音楽:キム・テソン

出演: リュ・スンリョン、スジ(Miss A)、ソン・セビョク、イ・ドンフィ、キム・ナムギル ほか
 

作品解説: 〝国民の初恋〟の愛称で知られる『建築学概論』のスジ(miss A)をヒロインに迎え、伝統芸能「パンソリ」初の女流唄い手となったチン・チェソンの波乱に満ちた人生を描く実話。

 

 
http://4.bp.blogspot.com/-YqfBdzgZ3NQ/VmJFdocbHXI/AAAAAAAAN8U/fOyP_tLie0Y/s0/%25EB%258F%2584%25EB%25A6%25AC%25ED%2599%2594%25EA%25B0%2580%25ED%258F%25AD%25EB%25A7%259D.JPG
 
主演はMIss Aのペ・スジちゃん
三白眼が素敵なリュ・スンリョンさん
個性派、ソン・セビョクさん
そしてキム・ナムギルさんも出てます・・・!!


是非、観に行きましょうッ(*≧∀≦*)
それでわ~、今夜も読んでくれて、どうもですキスマーク
 
 
 
私たちはきのう

〝恨(ハン)〟を越えました
 

私の唄と弟の太鼓で
 
 
 
またです、アンニョンヒガセヨ(^.^/)))