取り敢えず打ち破ろうか 262 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

蒼穹殿を出て回廊歩き

控えの間に戻るまでの記憶が曖昧

蒼穹殿に集まった人たちの

歓喜の眼差しと熱気に酔ったのか

まっすぐ前を見て歩くことだけを考えた

 

控えの間に翔の姿を見て

漸く我に返った

 

綾野君が冠と袍を脱がせてくれて

椅子に座らせた

 

「ありがとう」

 

 

「滅相もございません

 これは私の役目でございますから」

 

お礼は必要ないという顔をする

今日の綾野君は本気モードのお世話係だ

でも、長から帝に呼び方は変わったが

中身は変わらない

昔の様な主従関係ではないのだから

今まで通りで良いと思う

 

「朝も話したけど

 明日からはいつも通りな

 綾野君、色々段取りが有るだろ

 翔も翔兄もいてくれるから

 戻ってくれて構わない」

 

暁殿の儀を取り仕切るのは

綾野君と長老家の面々

招待客が半端ない為

猫の手も借りたいくらいなはず

 

「私の一番は帝でございます

 お気遣いは必要ございません

 ですが、信頼できるお二方が

 こちらにお見えですので

 皆様の朝食の用意をしてまいります」

 

小瀧に目配せをして

二人で部屋を出て行った

 

これも彼らの心遣いだな

 

「二人ともお疲れ様

 サクがさとち君が届けてくれた

 お祝いの花茶を淹れてくれるから

 ひと息つくと良いよ」

 

「チビちゃんが来てくれたの?」

 

画伯ちびちゃん大好きだからな 

目の輝きが違う

 

「俺たちは会ってないよ

 豆屋さんが頼まれて届けてくれたんだって」

 

「お祝いの花茶か

 ちびちゃんらしいな

 二人でお礼に行かないと」

 

「うん、そうだね」

 

画伯と翔兄はチビちゃんに会いに行くんだ

俺達も行きたいけど

暫くは無理かな ・・・

 

「長、庭の木に話しかけてみて

 多分来てくれるよ

 でも、二人で出掛けるのも

 良いんじゃない?」

 

流石に暫くは雑務に忙殺されるから

外出は無理だ

 

「暫くは里を出れないから

 木に話しかけてみる」

 

「サク、報告が有るんだろ?」

 

「うん ・・・ ちょっと待って

 花茶が入ったから

 持って行くね」

 

花茶を淹れるのに集中してたから

こっちの話は全く聴こえていなかったようだ

 

翔が花茶を淹れる図って

滅多にないことだよな

砂時計とか置いてある

 

「あはは ・・・分かった

 翔も花茶を淹れただろ?」

 

画伯が翔の様子を眺めながら

くすくすと笑った後

翔兄に確認する

 

「なんで分かるの?」

 

不思議そうな顔をする翔兄

 

「綾野君は砂時計は使わないから

 翔とサクちゃんの為に用意してくれたんだろ?」

 

「全くその通りだよ

 赤の袋の花茶は俺とサクので

 蒼い袋の花茶は帝と貴方の花茶なんだって

 だから、サクに淹れてあげ ・・・」

 

途中で口を噤んだ

 

「滅多にお茶を淹れない二人が

 淹れる花茶だからお祝いなんだな」

 

「まあ ・・・ そうだな ・・・」

 

翔兄の歯切れが悪いけど

何か別の理由があるのかな?

それよりも画伯の洞察力には感心する

 

「画伯、凄いね

 俺は何で砂時計が有るんだろうって

 それしか思わなかった」

 

「それは、長の方が疲れてるからだよ」

 

部屋中に甘い花の香りが漂い始め

研ぎ澄ましていた神経が

ゆっくり穏やかになっていくのを感じた

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>