取り敢えず打ち破ろうか 261 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

日の出の時間があと数分となり

さっきまでの喧騒が嘘のように

蒼穹殿の周りは静寂に包まれた

東の空はお日様を迎える支度が進み

少しずつ東雲色に染まり

瑠璃の空はゆっくりと姿を変えていく

 

お日様が姿を現す瞬間

合わせたように蒼穹殿の扉が

ゆっくりと開き始める

 

俺も翔兄も思わず息を止め

貴方が出てくる瞬間(とき)を待った

 

 

扉が開ききり

帝の衣装に身を包んだ貴方が

蒼穹殿前に姿を現した

 

その瞬間、東から陽光が貴方を照らし

その光を受けた帝冠が眩く輝きながら

黄金の光が貴方を包み込んだ

 

貴方を一目見るために集まった人たちから

溜息混じりの感嘆の声が漏れる

 

感動すると声って出ないんだと

改めて実感した

 

俺達の後ろに控えていた綾野君と小瀧君は

嬉し涙を浮かべて肩を震わせていた

 

帝となった貴方からの言葉は

即位の儀の最後の行事である

暁殿の儀で言葉を発することになっている

 

 

太陽が昇り切るまで

真っすぐに前を向いたままその場に立ち

体を包んでいた光が収まったと同時に

向きを変え

ゆっくり、そして一歩ずつかみしめながら

回廊を歩き出した

 

回廊の角を曲がった時

画伯が蒼穹殿から出て来て

ゆっくりと扉を閉めた

 

画伯の姿も惚れ惚れするほどカッコいい

翔兄の瞳に♡が浮かんでるように見えた

(冗談だけど)

瞳が潤んでるのは見て取れた

 

「この場に立ち合えたのが奇跡だと思う」

 

思わず零れた俺の言葉に

翔兄は何度も頷いて

 

「サク、嬉し涙なのは分かるけど

 彼が心配するぞ」

 

そう言って

懐からハンカチを出して貸してくれた

 

思いっきり泣いてたようだ

感激の涙なんだから

拭かなくても良い気もするが

貴方は心配するかな?

 

ハンカチで涙を抑え

回廊に続く扉の前で

二人が来るのを待った

 

「なんか緊張する」

 

手汗が半端ない

 

「俺も緊張してる」

 

翔兄も自分の掌を眺めながら

首を竦めた 

 

「綾野君 ・・・ 

 智君は27代で合ってるよね」

 

皇子は自らを26代蒼穹国帝と言ってた

だから27代で良い?

歴代長も帝になるなら ・・・

違う気もするけど 

 

「その通りです

 長は27代帝に即位されました」

 

最初の言葉は間違えないように

確認だけはしておかないと

 

「サク!」

 

翔兄が貴方が近くまで来てることを教えてくれた

 

「うん、ありがとう

 翔兄も画伯を迎える準備をして」

 

準備万端なのか親指を立てて

「任せろ!」って顔をして

視線を回廊に戻した

 

どんどんこっちに近づいてくる貴方

回廊まで飛び出して

抱きつきたいのを我慢して

その瞬間を待った

 

綾野君と小滝君は

床に正座して貴方を出迎える

 

俺と翔兄は立ったまま

(座ってたら抱き留められないから許して)

 

 

控えの間に入ってきた貴方を

思いっきり抱きしめた

 

「27代蒼穹国帝に即位されたこと

 心よりお祝い申し上げます

 智君、おめでとう!」

 

緊張の糸が切れたのか

貴方の体から力が抜けて

 

「ありがとう ・・・」

 

徹夜して戻ってきたんだから

フラフラだよね ・・・

 

「27代蒼穹国帝に即位されましたこと

 心よりお祝い申し上げます

 我らお世話係は

 この時より帝のお世話係ととして

 粉骨砕身でお仕えしてまいります」

 

綾野君が代表してお祝いの言葉を述べ

二人が深々と頭を下げた

 

「綾野君、小瀧

 ありがとう

 この日を迎えられたのは

 二人が居てくれたからだよ

 これからも頼りにしている

 よろしく頼む」

 

「有難きお言葉に感謝します」

 

「サク、花茶!」

 

翔兄に言われて思い出した

 

「綾野君、智君を椅子に座らせてあげて」

 

その衣装で床に座るのは大変だろうから

 

「帝、こちらに

 まず、帝冠をお預かりいたします」

 

ここは二人に任せて

俺は花茶の準備

 

そこに画伯が戻ってきて

翔兄に向かって

 

「翔、ただいま」

と呟いた

 

「智君、お帰りなさい

 大役ご苦労様でした」

 

安堵の表情で

翔兄に寄り掛かった

 

一番大変だったのは画伯だ

本当にお疲れさまでした

 

二人に飛び切りの花茶を淹れてあげよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>