君のいない迷路 156 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

文化祭の記憶は抹消してたのに

車の中で謳わされるとは思いも寄らなかった

 

「智、綺麗な声だった

 それに上手だよな」

 

助手席のトニーが振り返って

満面の笑みを浮かべて褒めてくれる

 

「うん、アーテイストの道も有ったんじゃないの?」

 

ノアまで褒めるから

ちょっと照れ臭いのと

複雑な気持ちが混ざり合う

 

アメリカはショービジネスの本場

そこで暮らす二人の言葉は

かなりお世辞も入ってると思う

それについては当然だと思えるけど

2人に気を使わせたのが申し訳ない

 

 

「ないない!

 そんな上手くないし

 音楽は聴く方が好きなんだ」

 

こっちに来てからは

作業中でも洋楽を聞いてることもある

その辺りも割と自由だから ・・・

 

「よく聴いてるよな ・・・」

 

トニーが言った後

またも内田が口を挟んだ

 

「踊ったりしてるの?」

 

思いっきり肘で腰を突いてしまった

 

「いたっ!」

 

「しゃべり過ぎだって ・・・

 踊ってないし ・・・」

 

「智(さと)ってダンスもするの?」

 

ほら、彼が食いついてきた

それも青春時代の遺物だし ・・・

 

「だって ・・・ 」

 

思わず内田の口を押えた

 

「高校の頃、ちょっとだけ齧ってた

 でも、やりたいことを見つけたから

 たまに体を揺らせう程度で踊ってただけ」

 

それ以上言うなと

釘をさす意味で内田を一瞥する

 

「大野、リズム感ありそう

 今度クラブとか行く?」

 

池田君 ・・・ 悪いけれど行かない ・・・

僕のダンスはクラブ向きじゃないし

部屋で汗流しながら踊るのが好き

人に見てもらおうとは思わない

 

「行かないよ(笑)

 飲むときは静かな方が好きだから

 池田君もでしょ?」

 

「まあ、そうだけど

 アメリカなら踊れるバーも有るんじゃない?

 トニーあるよね?」

 

「そう言う所は結構あるけど

 一緒に行く?」

 

今までその誘いを断ってきた僕の苦労は ・・・

 

「池田、暴走しすぎだよ

 智(さと)が嫌がってるだろ

 それに ・・・ 俺もそう言う場所には

 興味ないな ・・・」

 

「興味ない事は無いけど

 絶対に行きたいって程でもないかな ・・・」

 

さっきのお詫びのつもりなのか

内田が彼に同調してくれた

池田君 ・・・ 頼むよ ・・・

ここは引いて欲しい ・・・

 

「あれ ・・・ 空気読んでなかった?

 大野のダンスに興味が有っただけで

 深い意味はないんだよ

 トニーそう言うことなので

 今の話は無かったことにして」

 

思いっきり空気読んでなかったよね

いつもの池田君らしくない ・・・

 

「OK 智はそう言う場所苦手だからな

 俺も無理強いするつもりは無いよ」

 

「智、実はトニーもあまり行かないの

 僕が行きたいって言ったから

 智を誘ってくれたの」

 

「ノアが行きたかったの?」

 

それは初耳 ・・・

知らない事の方が多いのかな

 

「そう、何事も経験が大事だろ

 僕たちの仕事は」

 

「うん、そうだね」

 

行かなければ描けない場所もある

写真では雰囲気は伝わってこない

つまりは取材の為だったんだ

 

トニーって肝心なことは言わない

 

「そう言う場所じゃなくて

 サンフランシスコの穴場を案内したんだけど

 一日だけ僕らに付き合ってくれる?」

 

「観光って意味?」

 

彼がノアに聞き返す

 

「そう!トニーと二人で

 穴場のお店とか 

 綺麗な場所とか案内したいって

 相談してたんだ

 智の友人は僕たちの友人だからね

 お土産嬉しかったんだ」

 

「嬉しかった ・・・

 智の友人が俺たちの為に

 お土産を選んでくれた

 それだけで胸が温かくなったんだ」

 

その話を聞きながら

二人は何かを隠してるような気がした

 

なんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>