取り敢えず打ち破ろうか 251 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

皇子が蒼穹殿から出てきた瞬間

この空間は時空を超えたのだと思う

画伯は気が付いていたのかな?

 

「質問しても良い?」

 

少し緊張した面持ちの画伯な顔を見た

 

「なに?」

 

あっという間に柔らかい笑みを浮かべ

表情を変える

この人は本当に選ばれた人なんだと実感する

 

「回廊に出てからずっと

 画伯はどこに隠れてたの?」

 

上手く表現できないけれど

皇子の儀式の介添えは智慈さんだ

既に同化を済ませている二人

どうやって入れ替わったんだろう?

入れ替わってる間は意識はあるのかな?

疑問だらけなんだけど

 

「流石、君なら気が付くと思った

 この部屋を出てすぐだよ

 智慈が前に出た

 あの二人には面識はないのだが

 智慈は皇子の事はよく知ってたよ」

 

「皇子は本家には行ってないですもんね」

 

「ああ、皇子は長老が守っていたから

 本家に逃れた皇女は

 皇子の記憶があったんだ

 離れてしまった弟にそっくりだった智慈を

 それはそれは可愛がった」

 

皇女は記憶を無くし

本家の娘として生きたと聞いてたけど ・・・

 

「皇女には蒼穹国の記憶は無かったんじゃないの?」

 

「蒼穹国の記憶は消されたが

 両親と弟の記憶は消えなかった

 特に皇子の記憶だけは濃く残っていたらしい

 それで、話を聞いていたようだ

 智慈は誰にも話していないから

 本家の者も何も知らなかった」

 

その事は智慈さんだけが知ってた

つまり画伯も知っていた

 

「じゃあ、皇女の代わりに見届けたって事だね?」

 

もし蒼穹国が亡国になっていなければ

彼女もこの場に居たはず

 

智慈さんの思いも

かなり深いな ・・・

 

「そうだろうね

 まあ、智慈も見極める者だから

 自分の役目は分かっていたと思う

 だから自然にすっと前に出た

 皇子は智慈から姉の話を聞いていたよ

 それでさっきの質問の答えは

 ずっと一緒にいたよ

 そうだな ・・・ 肩の位置から

 全てを見てた

 作法は見て覚えないといけないんだ」

 

自分の方の辺りを手で触りながら

『ここからだよ』って見てた場所を教えてくれる

 

「皇女は何処に転生したんだろう ・・・」

 

出会ったとしても

気付かないだろうけど

会ってみたいと思う

 

「未来のどこかで

 道が重なったら会えるよ ・・・」

 

そう言った表情が

過去に想いを馳せてるように見えた

もしかして ・・・ 画伯は会ったことが有るのかも

 

「そうだね ・・・ 

 その日が来るのを楽しみにしてるよ

 一番質問したかったこと忘れてた」

 

「今度は何?」

 

「皇子が帝となり蒼穹殿から出て来たとき

 平安時代にタイムスリップしたよね」

 

「空気が変わってたからな

 そうだろうと思った

 この地で生きてきた一族の者たちが

 皇子を呼び寄せたんだろうな」

 

蒼穹国の民が待ち望んだ

真の帝を迎えに来たんだ ・・・

 

「やって良かった

 本当のそう思うよ」

 

「それは俺セリフ

 この儀を行うと決めた長に感謝だよ

 さて そろそろ時間なのに

 綾野君が来ないな」

 

「列席の方々の案内が

 終わっていないのかも」

 

かなりの列席者が来ると聞いた

 

「儀式が始まる時間は変えられないから

 それは関係ないな」

 

俺達の会話が聞こえていたのか

廊下から綾野君の声が聴こえた

 

「お出ましになる前に

 お二人からお祝いの言葉をお受けください」

 

2人?

画伯と二人で顔を見合わせてると

ゆっくり襖があいた

 

「失礼いたします

 即位の儀の前に

 顔を見たいと思いまして

 二人をお連れしました」

 

御前の後ろから入ってきたのは

翔と翔兄

 

翔様と同じ衣装を身に着けた翔

あの石帯が既に腰に巻かれている

翔兄も真翔様の衣装と同じ

 

「長 ・・・ 即位の儀に際して

 お祝いを申し上げます」

 

翔兄が最初に祝いの言葉を伝えてくれる

翔は戸惑ってるのか黙ったまま

でも、その方が良いかな

 

「ありがとうございます

 列席くださり

 心からお礼申し上げます」

 

「堅苦しい挨拶はそれくらいで

 長はサクちゃんと話をして

 俺は此奴と話をするから」

 

画伯が御前と翔兄を引き受けてくれた

 

「智君 ・・・ おめでとう

 胸がいっぱいで

 言葉にならなくて ・・・

 皇子の即位の儀も

 感動して泣きっぱなしだった」

 

漸く口を開いた翔

さっきの皇子を思い出したのか

見る見る瞳が潤んでくる

 

「それは俺もだよ

 そうだ ・・・ 翔様にお帰りを言った?」

 

「『ただいま』って声が聴こえて ・・・

 お帰りって言ったけど ・・・

 その後は返事がなかった ・・・」

 

「無事に翔の中に帰ったんだ

 多分、翔の肩辺りで

 俺たちの会話を聞いてるよ

 多分だけど皇子(帝)が

 俺の中に帰ってきたら

 声が聴こえると思うな」

 

「そうなの?」

 

翔の肩の辺りが

光ってるからそうだと思う

 

「翔様、笑ってた?」

 

「嬉しそうに笑って泣いてた ・・・」

 

漸く過去から解き放たれ二人

感無量だっただろうな ・・・

 

「良かった ・・・

 さて ・・・ 次は俺の番

 ちゃんと見届けて」

 

「ああ、見届ける!

 泣いてても笑わないでよ」

 

泣き虫だって知ってるから大丈夫

 

「笑わないよ

 お前が傍に居てくれるだけで

 俺は大丈夫だから」

 

そう言うと

照れくさそうに笑う

ここまで来るのに

色々あったもんな ・・・

俺も泣くかもしれない 

 

「そう言って貰えると嬉しい

 儀式の前に会えるとは思ってなかった ・・・

 御前に感謝だな ・・・

 そう言えば

 俺はもう里の一員だって言われたんだけど

 どういう意味だと思う?」

 

「誰に言われたの?」

 

「御前だけど」

 

全く思い当たらないのか

怪訝な顔で何度も首を傾げる

まあ、この状況だと思い当たらないか ・・・

 

「ああ ・・・ そう言うことか ・・・」

 

分かったけど

俺から言うのは止めて置く

 

「分かったの?」

 

「ふふ 明日になれば分かるよ」

 

「今、教えてよ ・・・」

 

ケチって顔をして

俺を睨みつけるけど

朗報は本人が最初に聞いた方が良い

 

「長 ・・・ そろそろ時間です」

 

「分かった ・・・

 じゃあ、行ってくる」

 

グッドタイミングで

綾野君が呼びに来てくれた

 

御前も翔兄も画伯と話を終え

翔の横に並び

その場に正座した

 

「画伯、よろしくお願いします」

 

綾野君が声を掛け

画伯が回廊に続く入り口に立った

 

綾野君はその場に座り

時計を確認してた

 

 

「では ・・・ どうぞ」

 

4人が一礼したまま

画伯を見送り

その数分後、俺を見送ってくれた

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>