取り敢えず打ち破ろうか 245 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

皇子が蒼穹殿に向かうのは21時半

画伯が先導して前を歩く

予定では22時に向かうはずだったが

少し早くなった

貴方の提案で

皇子の即位の儀が終わった後

帝となった皇子の姿をお披露目する為だ

俺達にではなく

千年前の彼らにだ

 

そして、おそらくお披露目終了後

千年前の彼らは実体が無くなり

俺達の中に帰っていく

翔様もそうなると思う

 

大野本家(御前)は

貴方や皇子の装束は勿論のこと

俺と翔兄、そして翔様の装束も誂えてくれた

考えたら耀の一族の財力など

本家や暁の一族に比べたら

足元にも及ばないんじゃないかと実感した

『陽の対は暁』

と言われた意味を理解した

 

「サク、支度が出来た?」

 

興味津々の顔をした翔兄が

衝立の向こうから俺の様子を窺う

 

「出来たよ」

 

豆屋さんが持ってきた千年前の物は

全て翔様が身に着けることになった

皇子のお披露目後

早替えで俺が付けることになるらしいけど

正直、どっちでも良いかな?

そもそも翔様の物だから ・・・

 

「昔の人はこんなの着てたんだ

 歩くのも儘ならないかも ・・・」

 

「それは分かる ・・・

 俺も歩けるかな 

 でも、冬で良かったな

 夏だったらこの格好は無理だな」

 

薄っすら額に汗を浮かべた翔兄は

手で顔を扇ぎながら

渋い顔をした

 

「翔兄はカイロ貼らなかったの?」

 

蒼穹殿へ続く回廊は外にある

俺達が立ち合う場所も

屋根はあるがほぼ外となる為

俺な背中に2枚とお腹に1枚貼った

だからなのか、確かに今は暑い ・・・

 

「貼ったよ

 昨日寒かったからな

 部屋の中では暑いかも」

 

「待機場所は空調設備が有りませんから

 足の先から冷え上がってきますよ

 なので、暑いくらいが丁度いいんです」

 

着替えに立ち合ってる小瀧君が

少しだけ辛抱してくださいと

遠回しに伝えてくれる

 

「ねえ、翔様の着替えは誰が手伝ってるの?」

 

「翔様はご自分でお着替えされています

 手伝いには真翔様が」

 

そうか ・・・ 翔様にとって

こっちが日常なんだ

ぼんやり見える時も

平安の装束姿だった

 

「翔兄、真翔様と話した?」

 

「いや ・・・ 話していない

 まあ、話すこともないんだよな ・・・

 智君も智慈様と話していないと言ってたから」

 

考えたらこの二組は特殊だ

今日初めてその存在を知ったのだから

いわば初対面

話すこともないと言われれば

その通りだと思う

記憶もそこまで鮮明じゃないから

それが普通なのだろう

 

「お二方ともお着替えが終わりました

 翔様がいらっしゃる場所に

 お連れ致します」

 

小瀧君が恭しくお辞儀をして

「こちらに」と小さい声で俺達を呼んだ

 

小瀧君の傍まで歩いていくと

翔兄が鼻に手を当てて

笑いを噛み殺しているように見えた

声が漏れてるけどね

 

「何がおかしいの?」

 

「ふふ ・・・ 馬子にも衣装って言うから

 よく似合ってるぞ(笑)」

 

思わずジト目で睨みつけて

 

「翔兄も同じでしょ!

 こんな装束を着るのは

 これが最初で最後だから

 記念に写真撮らない?」

 

「撮っても良いのか?」

 

厳粛な場で写真は不謹慎かな?

二人で小瀧君の顔を見上げると

 

「待機所に入られる前ならしゃしんはOKです

 ただし、SNSにあげないでください」

 

「じゃあ、小瀧君が撮ってよ」

 

「そう言われると思って

 カメラを持ってきました」

 

ポケットの中から

使い捨てカメラを取り出した

 

「そんなの持ってるの?」

 

今は携帯で写真が撮れる時代

使い捨てカメラを使用する人は少ない

 

「最近、これで写真を撮るの

 流行ってるんですよ

 便利ですよね」

 

使い捨てカメラを手にして

知ってますよね?と

言いたげな顔をする

 

悪い!知らなかった ・・・

翔兄と顔を見合わせて

バツの悪そうな顔をした

 

「小瀧君、長と画伯の装束姿を撮ってきてくれない?」

 

儀式が終わるまで

2人とは話が出来ない

姿も遠くからしか見れない

 

「そう言われると思いました

 長たちの写真は

 綾野さんが撮ってくれます

 

里としても残しておきたいって事だ

後で写真を貰おう

 

 

俺と翔兄の一人ずつの写真と

二人並んだ写真を撮って貰った

 

 

皇子と翔様の写真は

撮っても消えてしまう可能性が高く

撮ることは出来ないらしい

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>