取り敢えず打ち破ろうか 243 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

皇子が里の長と対面している間

俺と画伯は早々に夕飯を済ませた

 

「画伯、この日の為に

 里に滞在下さり

 ありがとうございました

 右も左も分からない俺が

 この日を迎えられたのは

 画伯のお陰だと思っています」

 

これは本当だ

暁の里には即位の儀についての

資料は残っていない

御前が受け継いだ書物の中に

それについての記録は残っていたが

蒼穹殿内での細かい作法については

『見極める者』の記憶の中にのみ

残されていた

 

「弟が出来たみたいで

 楽しかったよ」

 

彼が里に来て

一緒に生活をして気が付いた

画伯の微笑みは

心を落ち着かせてくれるんだ

 

「これからも俺の兄さんで居てよ」

 

「勿論そのつもりだよ

 見極める者ではなく

 ただの絵描きとして

 君の兄で居たいと思ってる

 全てが落ち着いたら

 サクちゃんとアトリエに遊びに来て」

 

「絶対に行く

 風見鶏の店の前で

 ぼんやり海を眺める

 日向ぼっこ同行会員になりたいから」

 

「ふふ ・・・ 君の会員番号は3だよ」

 

画伯のアトリエで

俺お絵を描いてみたいな ・・・

 

「一番は誰なの?」

 

そもそも同好会会員は何人いるんだろう?

 

「パン屋の風ちゃん

 あの店の前のベンチは

 元々彼の指定席」

 

「じゃあ画伯は2番?」

 

「翔兄は?」

 

「入ってないよ

 せっかち君は入れないんだ(笑)

 だからサクちゃんも入れない」

 

「豆屋さんとか入れるのかもね」

 

「あの人は意外と忙しいから

 会員ではないんだよ」

 

「え~ 入会条件が厳しいんだ ・・・」

 

「あはは そんな大それたものではない

 入会の条件は

 長時間あそこに座っていられる事

 それだけだよ」

 

確かに豆屋さんのイメージではないかな

何をしてるのかは分からないけど

神出鬼没で忙しそうにしてる

 

「じゃあ、俺は大丈夫だ(笑)

 風ちゃんが焼くパンの匂いを嗅ぎながら

 海を眺められたら最高だと思う」

 

「それだと彼奴は日向ぼっこできないな(笑)」

 

こうやって他愛のない話が出来るのも今日まで

画伯は明後日くらいには

本家の皆と一緒に里を離れる

 

新しい蒼穹国を担っていくのは長(帝)

里の運営は長老家(東の家)が中心に行う

 

大野本家は今まで通り

里とは一線を引き

長を支え守ることに徹する

 

「そうか ・・・

 じゃあ焼いた後で(笑) ・・・」

 

二人で顔を見合わせて

思いっきり笑った

 

「さて ・・・ そろそろ俺は

 支度に入らないといけないな 

 長はもう少しだけゆっくり休んでて」

 

もっと話していたいのだが

それも儘ならないと

苦笑いを浮かべながら立ち上がる

 

「皇子も戻られますね」

 

「長の顔を見てから

 支度に入ると言ってたよ ・・・

 長 ・・・」

 

画伯が急に真面目な顔をして

俺の目を見た

 

「何ですか?」

 

「真の長になったら ・・・ 

 近い将来、重大な先視をする

 その時は慌てないように

 俺に連絡して ・・・」

 

「重大な先視?」

 

「ああ ・・・ 

 遠い未来の先視らしい ・・・」

 

かなり難しい顔をしてるから

明るい先視ではなさそうだ

 

「画伯が先視したの?」

 

「俺にはそんな力はないよ

 ある人から聞いたんだ

 長の力が必要になると ・・・」

 

「分かった

 その時は直ぐに画伯に連絡する」

 

多分、他言無用の件

翔にも話せない

画伯も翔兄に話せない

だから俺達なんだろう

 

 

どんな事にも意味がある

俺と画伯が繋がっていることも ・・・

 

「ありがとう

 じゃあ ・・・ あとで」

画伯はそのまま部屋を出て行った

 

 

 

 

 

 

<続きます>