君のいない迷路 144 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

かなり早めに家を出て

待ち合わせ場所の駅のコインロッカーに

大きなスーツケースを入れた

何度も確認したから

忘れ物は無いはず

 

自分の持ち物の忘れ物であれば

向こうで買えばいいけど

君に持って行くお土産だけは

取りこぼしが有ったら大変だから

朝起きてからも見直した

 

夏季休暇の前日は

誰もが浮き足だった状態で

正直、全く仕事に身が入らない

 

昼食後からは特にで

3時を過ぎた辺りからは

何度も時計を確認してしまう

 

 

「櫻井君、サンフランシスコに行くんでしょ?」

 

隣の席の男前な先輩(女史)が

クスクス笑いながら聞いてきた

 

落ち着きがないのが伝わったんだろうな ・・・

 

「はい、今晩の便で日本を発ちます」

 

「楽しみでしょうがないって顔してる(笑)

 で、どこに泊まるの?

 ザ フェアモント?

 それともリッツカールトン?」

 

旅行会社の社員ですもの

有名はワンランク上のホテルの名前が出てきますよ

そこは驚かないけれど ・・・

最初のホテルは手が出ないでしょ

一泊16万って絶対に無理!

リッツカールトンだって無理なのに ・・・

 

「どっちも泊まったことあるんですか?」

 

そっちが知りたいよ

海外旅行なんだから

最低3泊くらいはするでしょ

(俺達は5泊だけど)

 

「どっちも泊まったことはないけど

 ホテルの中には入ったことが有るの」

 

その話聞きたいって顔をした

 

「もしかして、取材ですか?」

 

「そうそう、ワンランク上のホテル特集で

 私はサンフランシスコ担当だったの」

 

「仕事でサンフランシスコか

 なんか羨ましいな ・・・」

 

「ワンランク上じゃなくて

 最上級ランクって感じだったわね

 でも、一度は泊ってみたい(笑)」

 

「その気持ちはわかります

 まあ、社会人一年生には手も足も出ませんが

 今回はホテルではなく

 友人のアパートメントに泊ります」

 

「へ~ 友人が向こうに住んでるの」

 

「ええ、この春からサンフランシスコに赴任してて

 夏季休暇を利用して

 友人3人で会いに行くんです」

 

それを聞いた先輩

かなり羨ましかったのか

思わず小さな声で叫んでた

 

「羨ましいなぁ~

 私のも海外在住の友人が欲しい」

 

心の声が駄々洩れだ ・・・

宿泊代が無料って言うの魅力

 

「実は居るんじゃないんですか?」

 

「居るにはいるけど

 行きたい場所じゃない(笑) 

 アメリカのアパートメントは

 かなり広いからゆっくりできるわね」

 

「ええ、そのつもりです」

 

「櫻井君 色々吹き飛ばして来て

 リフレッシュして帰ってきなさい」

 

俺のごたごたを知ってるからなのか

優しい言葉がやってきた

 

「はい、ありがとうございます

 お土産買ってきますからね

 期待しててください」

 

サンフランシスコと言えば珈琲

後はチョコレートかな

でも、チョコレートは溶けるな ・・・

向こうで考えよう

 

「要らないわよ

 お土産話だけで十分よ」

 

即答された

この人良い先輩だな 

 

そうは言っても

やはりバラマキ菓子は必須

 

お世話になってる先輩には

珈琲豆が妥当だと思う

 

「先輩はどこかに行くんですか?」

 

「私は仙台の実家に帰るわよ」

 

「仙台って東北で一番涼しいって聞いたことある」

 

「そうね ・・・ 山瀬が吹けば

 涼しいを通り越して寒く感じるわよ

 最近はそうでもないみたいだけど ・・・」

 

「え~ ・・・ 行ってみたいんですよね東北」

 

「企画を立てたら

 下見に行けるわよ」

 

「それいいな ・・・

 頑張ります!」

 

「ゲンキンな奴

 さて、夕方まであと少しよ

 仕事したふりをしてなさい!」

 

そう言って可笑しそうに笑った

 

 

池田も内田も

今頃ソワソワしてるだろうな 

俺ですらソワソワワクワクしてるんだから

って ・・・ 俺が一番してるのか(笑)

 

 

その時携帯が鳴った

画面を見ると内田からのライン

 

『中々時計が進まない!』

 

『時間は等しく進んでるぞ』

池田が突込みを入れた

 

『二人とも時計と睨めっこしてるの?』

 

思わず送ると

 

『うん』(二人)

 

即答だよ(笑)

 

『俺もだけど』

 

爆笑するスタンプは二人から送られてくる

 

『退勤時間になったらダッシュする!

 池田、駅の改札前で待ってて』

 

『OK 新幹線のスーツケース置き場は

 確保してあるから

 乗ったらゆっくりできるな』

 

『品川で待ってるから』

 

『んじゃ、あと少し

 時計と睨めっこするよ』

 

『いやいや、内田君

 仕事をするふりをしなさい!』

 

先輩から言われた言葉をそのまま送った

 

『らじゃー!』

 

軽く返ってきたけど

分かってるのかな(笑)

 

 

大人の修学旅行だ

そりゃワクワクするよな

 

 

 

 

 

<続きます>