mian(希望)48 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

風が来客を告げた

珈琲を淹れていた豆屋が庭先に目を向ける

 

「邪魔するよ」

 

いつも通り、ふらりと現れるMaster

 

「邪魔するなら帰って貰おうかな(笑)」

 

冗談ぽく笑って呟く

 

「ふふ ・・・ その珈琲は俺の為だろ?」

 

「俺の為に淹れたの!」

 

異世界である蒼幻燈

昔のままの佇まいで

庭先では子妖が昼寝をしている

 

変わったのは子妖があまり人の世界に

行かなくなった事くらいだ

 

「で、どうだった

 先生は元気だったか?」

 

Masterが先生に会いに行ったことを

知ってるのは豆屋だけ

 

依頼主は後の賢王と呼ばれたサトシ王子

 

大ちゃんが光に溶けた後

彼からMasterと豆屋が依頼がきた

二人とも受けるかどうか悩んだが

(大ちゃんの気持ちも分かるから)

翔先生が寂しそうに

空を見上げてる姿を見た時

胸が締め付けられ

引き受けることを決めた

 

サトシ王子はその姿を何度も見て

聞いたことが有るらしい

 

『どうして空を見上げるの?』

 

『朝を連れて来てくれるんだ ・・・

 って ・・・ おとぎ話だな ・・・

 空にいる気がして』

 

『誰が?』

 

『誰だろうな ・・・』

 

そう言って、寂しそうに笑ったと ・・・

 

記憶などなくても

彼はずっと探し求めるのだろう

金色の筋を引きながら

空を掛けていくあの方を 

 

あの方の意に反するけれど

今の彼がまだあの方を

探し求めているのなら

力になろうと決めた

 

もし、彼が全てを忘れ

幸せなら手紙は渡さない

それは依頼主も同意見だった

 

前世の記憶は無くて困ることはない

有った方が何かと厄介だ

だけど ・・・ あの二人は違う ・・・

 

 

長い眠りにつき

同じタイミングで転生した

そして既に出会っている

 

 

「まだ先生じゃないな ・・・

 それに ・・・ 迷いの中にいるな」

 

「それは仕方ないだろ

 前世の記憶が全て消されたんだ

 迷いの中に居て当たり前」

 

淹れたての珈琲をカップに注ぎ

Masterの前に置いて座った

 

「大丈夫だったか?」

 

「ああ、あの方が神の庭に入ったのを見て

 会いに行ったからな ・・・

 でもハラハラしたよ」

 

「そりゃハラハラするな(笑)」

 

笑い事ではない

彼にバレたらすべてが終わる

お気の毒にって顔で珈琲を口にする

 

「なあ、本当に消えてるんだろうか?」

 

何度も首を傾げるMaster

ここまで首を傾げるって事は

違和感を感じたんだろう

 

「会ってみて、どうだったんだ?」

 

「消えてるんだよ

 欠片もない ・・・

 無いけど ・・・

 引っ掛かるんだよな ・・・」

 

お手上げって顔をして頭を左右に振った

 

「あの方に限って

 取りこぼしは無いと思うけど ・・・

 もしかしたら ・・・

 翔先生が守り切った

 何かが有るのかも ・・・」

 

そうとしか考えられない 

それが何かは分からないけど ・・・

 

「記憶ではなく愛とか?」

 

「ふふ ロマンチックだねえ」

 

Masterの口から出た言葉に

思わず突っ込みを入れた

 

「茶化すなよ!

 もしかしたら

 あの方に会う前の想いなのかもな」

 

「それは有り得るな ・・・

 その頃の想いは片想いだ」

 

二人とも片想いをしてたと言う方が正しい

 

「片想いの記憶は完全には消せなかった

 それならあり得る」

 

淹れたての珈琲を口に運び

納得した顔をするMaster

 

「1週間待って欲しいと言われた

 彼がどうするかは彼に任せるよ

 それより『RAY』はどんな感じ?」

 

「骨董屋、また老け込んだ ・・・」

 

エルフは不老長寿

老け込まない訳ではないが

かなりゆっくり外見が変わっていく

特に始まりのエルフは年を取らない

 

「今の骨董屋はチビちゃんを育てることだけを

 心の支えにしてるからな ・・・

 社長たちはそろそろ?」

 

「社長が「RAY」に入るのはもうすぐだ

 骨董屋に会うのはまだ少し先だな

 彼が「RAY」に入ったら

 画伯がうまく誘導してくれるはずだ」

 

「「RAY」はお前に任せる」

 

前世の大ちゃんが作ったプロジェクト

「RAY」の3人は計画通り動いている

O国はMasterを中心に王家と侯爵家が動いている

 

ただし今回の件は二人だけのプロジェクト

 

「何かあったら手伝うよ」

 

「ああ、その時は頼む」

 

異世界の蒼幻燈での作戦会議は続きます

唯一、大ちゃんが干渉できない場所で

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>