取り敢えず打ち破ろうか 236 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

部屋に戻ると豆屋さんと画伯が

珈琲を飲んでた

暁殿で話をしてた蒼灯さんの面影はなく

いつもの豆屋さんに戻っていた

 

「豆屋さん、お疲れさまでした」

 

「お帰り、珈琲淹れるよ

 待ってて」

 

画伯が立ち上がろうとするから

軽く手で制して

 

「自分で淹れるから座ってて

 二人とも疲れたでしょ」

 

そのままキッチンで珈琲を淹れる

 

「3人との話は終わった?」

 

「ええ、3人とも前世の自分とは

 何度も会ってるから

 すんなり理解できたみたい

 蒼灯さんのお陰で3人の苦悩も薄らいだし

 未来は今日という日の続きだから

 過去の事で思い悩むことは無いと思う」

 

晴れ晴れとした顔の3人を見て

里があった頃の

仲良し3兄弟の顔を思い出した

彼奴らももう大丈夫だ

 

「この時代は大丈夫だよ

 その先がどうなるかは

 お前たちの子孫次第だけど」

 

豆屋さんの含みのある言葉

賢帝の先視で何か聞いてるのかな?

 

「もしかして先視の予言とか

 聞いてます?」

 

思わず聞いてしまった

 

「そんなものは無いよ

 彼奴が見た先視は今日という日まで

 その先は新しい帝が見るんだよ」

 

「つまり、君だな」

 

二人が同じように笑みを浮かべて

俺の顔を見た

 

この二人が揃うと

ちょっと怖いんだけど

珈琲を淹れたマグカップを手に

二人の前に座る

 

「画伯は智慈さんのこと

 何時思い出したの?

 そして何処まで憶えてるの?」

 

里に来てからも一言も話してくれなかった

聞きたいことだらけなんだけど

画伯の隣でくすくす笑いながら

茶菓子を食べ始める豆屋さん

「う~ん」と唸り声をあげながら考え込む画伯

対照的な二人 

 

「記憶がクリアになったのは

 長に出会ってからだな ・・・

 彼も絵を描くだけの人だった」

 

「そうそう、嗚呼絵(おこえ)ばかり描いてた(笑)」

 

嗚呼絵は戯画で今の漫画のような物

 

「そんな絵を描いてたの?」

 

今の絵からは想像できない ・・・

 

「唐絵もやまと絵も性に合わず

 見たものを自由に描きたかった

 馬鹿げてるとか滑稽だとか言われたが

 その絵を見て笑えたら

 それはそれで楽しいだろ」

 

「俺は智慈の描く絵は好きだったぞ

 くすっと笑える絵は和むからな」

 

修復師をしているけど

智慈という絵師は聞いたことがない

有名な戯画を描いた僧は知っているけど

 

「本家に智慈さんの絵は

 残ってるんですか?」

 

「流石に残っていないだろう ・・・

 素人の絵など残す意味もないだろうからな」

 

「ふふ ・・・ 本家にはないだろうな

 お前は隠れて絵を描いてたから

 一枚くらいなら家の蔵に残ってるかもな

 お前の絵を模写して茶碗にしたことが有る」

 

一枚どころではなく

沢山残ってるような気がする

 

「その茶碗も残ってるの?」

 

「勿論、残ってる

 絵と茶碗が見たいなら

 蒼幻燈に来てくれ

 いつでも見せてやる」

 

蒼灯さんと蒼穹の一族との繋がりは

思っていたよりも深いかもしれない

 

「持ってきてくれないの?」

 

いつも庭先からやってくるのに

 

「俺の役目も終わったからな

 暫くはここには来ない(笑)」

 

それは寂しい ・・・

思わず肩を落としてしまった ・・・

 

「長、これからは自由に外に出れる

 豆屋さんに行くのも可能なんだよ」

 

忘れてない?って顔でにやりと笑う画伯

 

そうだった

皇子と同化することで

力の制御が出来るようになり

誰彼構わず先視をすることが無くなると

 

「籠の鳥じゃなくなるんだから

 遊びに来てくれないと

 俺の淹れる珈琲と

 マスターのケーキを楽しみに

 遊びに来てくれ」

 

「絶対に行きます

 彼奴と二人で」

 

「絶対だぞ(笑)

 画伯は翔兄とな」

 

「ええ、行きますけど

 マスターは豆屋さんに住んでるの?」

 

画伯の質問に

ギョッとした顔をした後

笑いながら頭を振る

 

「住んでないよ

 ただ、月の欠片を集めた後

 必ず寄っていくんだ

 彼奴も暇だからな」

 

俺の中ではマスター(ケット)が一番の謎

あの人は普段何をしてるんだろう

多分、画伯も知らないと思う 

 

「マスターって ・・・」

 

質問しようとしたら

豆屋さんに制された

 

「その質問には答えられない

 大事な仲間ではあるけどな」

 

「はい、わかりました」

 

詮索するのはやめておく

マスターはマスターだ

 

「さて、俺は帰るとしようかな

 サクちゃんと翔兄によろしく伝えて」

 

すくっと立ち上がって

庭の方を向いた

 

「ありがとうございました」

 

「どういたしまして

 んじゃ、またな」

 

俺と画伯で庭に出て

豆屋さんが露地門を抜けるのを見送った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>