取り敢えず打ち破ろうか 235 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

小瀧君に案内され部屋に戻った

貴方のご両親は別の部屋に入られ

翔兄と両親と4人で話すことに

 

「二人とも驚いたでしょ?」

 

自分の前世の人たちに会うなど

想像すら出来ていなかったと思う

 

二人とも頭の中で整理をしているらしく

直ぐに言葉が出てこないようだけれど

そこまで驚いていないような気もした

 

「伯父さん、あまり驚いていないみたいだけど」

 

翔兄に聞かれ

苦笑いを浮かべながら頭を左右に振る

 

「いや、驚いているよ

 まさか自分が前世の自分と対面するとは

 今でも信じられない」

 

あの事件については

翔様の父、真翔様が書き残した日記で

当然知っていただろうけど

自分が転生した父だとは

夢にも思っていないかったようだ

 

「それは私も同じよ ・・・

 どれだけの悲しみを

 抱えていらしたのかと思うと

 今でも胸が締め付けられるから」

 

母は悲しそうに目を伏せて

自分をその身に置いているように見えた

 

確かに二人の苦悩は

翔様の比ではない

 

ある意味、翔様は世捨て人として

最愛の皇子と共に生き続けた

それは彼にとって

穏やかで満ち足りていたと思う

 

あの二人が歩いたのは茨の道

せめてもの救いは真翔様の存在

 

「歴史は勝者の言葉を伝えるのみ ・・・

 真実は時の流れの中で消えていく

 私が受け継いだ日記を世に出したとしても

 誰も信じてはくれないだろう

 だが、それが真実だったと証明された今

 私たちは胸を張れる ・・・」

 

暁の一族が新たな一歩を踏み出すように

俺達も耀から解き放たれ

新たな一歩を踏み出す

 

「そうですよ

 彼らが思い描いた未来が

 ようやく実現するんです

 ここまで分家の当主は頑張ったと思います」

 

翔兄、真翔さんになってる

でも、彼が一番望んでいたことなのだろうな

あの頃の彼らの無念を一番知ってるのも彼なのだから

 

 

「翔兄はこっちに来てから思い出したの?」

 

画伯が皇子に近しい人の転生者だと

予想は出来ていたけど

まさか、翔兄が弟だったとは思いもよらなかったし

翔兄も分かってなかった 

 

「ああ、昨日の儀式が始まった辺りから

 皇子と翔様が来ていただろ

 だからだと思う

 智と智慈様の姿が重なり ・・・

 真翔の記憶が流れ込んできた」

 

「智慈様ってどんな人だったの?」

 

凄く興味がある

 

「あまり変わらない

 そのまま転生した感じだな ・・・

 ただ、当時も今も

 俺にとっては唯一無二の存在だった」

 

それを聞いてだけで

関係性が見えてくる

ずっと真翔様を支えてくれたのだろうな

 

「この記憶も即位の儀が終わったら

 消えてしまう ・・・

 ちょっと寂しい気もする」

 

俺の中にある翔様の記憶も消えてしまう

 

「その気持ちは分からないでもないが

 前世に縛られることなく

 生きることの方が重要だよ

 私は記憶ではなく記録を受け継いだが

 それでも過去に捉われそうになった

 前世の記憶は消えるのではなく眠りにつく

 そう思えば寂しくはない」

 

「お父さんの言う通りよ

 前世の悲しみの記憶に捉われ続ければ

 誰の人生か分からなくなってしまう

 忘れてはいけないこと以外は

 記憶の海の中で眠らせてしまう

 それが最善なのよ ・・・」

 

二人の言葉がゆっくりと心に落ちて来て

翔様と過ごした日々の思い出だけは

消えないで欲しいなと思った 

 

「そう考えると ・・・

 あの二人は強いんだな ・・・」

 

翔兄がポツリと呟く

 

「あの二人の記憶は消えないと ・・・

 蒼灯さんが言ってたね ・・・」

 

「彼らは特別なんだろうな ・・・

 二人ともちゃんと支えてやりなさい」

 

父の言葉に俺も翔兄も頷いた

 

「翔、長のご両親にご挨拶がしたいんだが

 許して頂けるだろうか?」

 

「私も挨拶させて頂きたいわ」

 

あの場で俺たちの結婚は決まったのだから

挨拶は必要ではある

 

「小瀧君に聞いてもらうよ」

 

この後、両親は本家の車で

街のホテルに移動することになっている

 

耀の一族当主として招待されているので

宿泊場所も用意されている

それを断るのは難しい

(長老家が用意しているかららしい)

 

「じゃあ、俺が聞いてくるよ」

 

翔兄が立ち上がって

そのまま部屋を出て行った

 

 

 

 

 

<続きます>