mian (希望)37 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

騙しているみたいで心苦しいけど

それも君の為(思い出すこともないのだから)

何食わぬ顔で息を吐くように嘘をついた

君から記憶を奪った時点で

罪悪感は捨てたから

悪いとは思っていない

 

味噌汁を口にした時

瞳にきらりと光る物が見えた

味は憶えてるのかもしれないな 

見て見ぬふりをしてやり過ごし

二人で朝ご飯を食べた

あの頃の朝の風景を思い出して

私の方が涙を堪えるのに必死

(情けないな)

 

そろそろ、この森から退場願おう

 

「食べ終わったらアカデミーに戻るよ

 講義があるだろ?」

 

学長の息子がサボってはいけない

何を言われても

戻ってもらうつもりだ

(君は言わないと思うけど)

 

「ああ、講義は有る

 君はないの?」

 

帰ることに異は唱えないが

一緒に帰ろうと言う誘いだ

 

「俺は課題を提出すれば

 単位はもらえる

 制作場所は何処でも良いんだよ」

 

だから帰らなくても良い

最後の一分は言葉にはしなかったけど

多分伝わってるはず

 

その言葉を聞いた君は

ムスッとした顔をして

 

「それって狡くない?

 本来であれば

 アカデミーで作業するものだろ」

 

アカデミーの生徒である以上

君の言い分の方が筋は通っている

ここで作る物は課題ではないから

一緒に戻った方が良いだろうな

そうすれば君も納得する

 

「確かにその通りだな

 一緒に戻るよ

 それならいいだろ?」

 

「うん、それならいい」

 

さっきまでの仏頂面はどこへやらで

口角をあげてにやりと笑った

一人で帰るのは寂しいだろうし

まだ少しだけ森が怖いみたいだ

 

「今度はさ」

 

期待に満ちた眼差しを向けられて

少し身構えてしまった

何を頼まれるんだろう?

庭への行き方とか?

一人で行くのはまだ早い気もするけど

あの庭の子たちは大喜びだろうな ・・・

 

「うん」

 

「作品が出来たら招待してよ」

 

そっちか ・・・ あまり猶予がないから

出来た順に置いて回っているんだけど

見たいなら仕方ないな ・・・

この森用に一つ作るか

(蒼に気が付かれない物を作らないと)

 

「良いよ、出来たらすぐに教えるよ」

 

「森が怖い所ではないって

 分かっただけで

 来た甲斐があった」

 

嬉しそうに話をする君を見て

ホッと胸を撫で下ろした

 

「森の中は結構賑やかだろ?」

 

「そこも発見だよ

 自然の音がここまで賑やかだと

 思いもよらなかった

 朝は特にだな」

 

蒼の歌が流れてくるから

それに合わせて

この森の者たちが歌い始める

妖精はダンスまで披露する

 

「鳥の歌声に合わせて

 木々たちがハミングするからな」

 

本当は蒼の歌に合わせてだけど

そこは教えなくていいな

 

「確かにそう言われたら

 あの囀りは歌に聞こえる」

 

「綺麗な歌声だろ?」

 

目を開いて何度も頷いて

「もう一度聞きたい」と呟いた

 

「陽が昇る前に

 寮の部屋の窓際に座って

 耳を澄ませてみて

 アカデミーにいる鳥も木も

 同じように歌うはずだから」

 

「本当に?」

 

信じられないって言う顔で

何度も首を傾げた

 

人は見たい物だけを見る

知ろうとしなければ

何も分からないし聴こえない

 

この星がここまで蝕まれたのは

環境への無関心も原因の一つだ

 

「明日からやってみたら

 声が聴こえるかもしれないよ」

 

「誰の?」

 

「アルフヘイムの王の歌声が」

 

「ああ、それは聞いたことが有る

 聴こえるのかな?

 やってみるよ」

 

この国の人たちは

蒼の歌を知っている

聴いたことが有るかは別として

アルフヘイムの王の歌が

O国を守っていると言われているからだ

 

「聴こえたら良いな」

 

「ああ」

 

歌声がどんどん悲しみの色を帯びてきている

緋の眠りが近い証拠だ

 

蒼の妖精に最後の力を注ぎに行かないと ・・・

 

「さて、片付けたら

 車まで戻るよ」

 

「手伝うよ」

 

ここに来てから

一番の笑みを浮かべた君

やっぱり森は苦手なのかも(笑)

 

 

 

 

 

<続きます>