取り敢えず打ち破ろうか 230 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

どの道を選んでも先のない未来

その中で唯一の光の道を選んだ

皇子の判断と翔様の判断は

間違って居ない

俺だったら、やっぱり同じ道を選ぶ

きっと智君もそうだと思う

 

二人の転生を願い待ち続けた

智慈さんと真翔さんの思い

その思いが奇跡を起こす一端を担ったのは

間違いないと思う

 

 

「一つ心配なことがございます」

 

先ほどまで嬉しそうに笑っていた御前が

居住まいを正し神妙な顔をして

蒼灯さんの顔をじっと見つめる

 

「心配とは?」

 

「心配性の老いぼれでございますが

 確かめたいことがございます

 皇子は国をも滅ぼすほどの力をお持ちです

 そして長もそれに近い力をお持ちです

 その二人が同化することで

 計り知れない力を持った『真の長』になられるのでしょうか?」

 

御前の言葉の裏には

あの悲劇が繰り返されるのではとの心配だ

 

俺も一番それが気がかりだった

智君の力が暴走して ・・・

そんな事を考えると

怖くなってくる

 

「皇子の力は

 『千年の守護』と言う形に姿を変え

 蒼穹殿に座したままの状態だ

 そしてその力は

 この先も蒼穹国を守り続ける

 皇子はその力から解放され

 本当の意味で転生を果たすことになる

 同化することで

 現長の足りない部分を補い

 真の長 帝となる

 力については賢帝と同等だな

 決して暴走することはない」

 

暁殿に居た全員が

安堵の表情を浮かべた

多分、皆その部分だけが

気がかりだったのだと思う

 

「皇子はその身を蒼穹国の民の為に捧げ

 守り続けることで

 巨大な力から解放されたと言うことですか?」

 

「その通りだよ

 神に近い力を守る神に

 昇華したと言った方が分かりやすいな

 それには千年掛かったのだから

 皇子の力がどれほどだったか

 推して知るべし」

 

それを聞いた御前

次は皇子達の方に向き直る

 

「皇子 ・・・ 長きに渡り

 蒼穹国の民を大野本家一族を

 お守りくださり

 誠にありがとうございました

 言葉では言い尽くせない ・・・

 真の転生をされる皇子

 どうか真の長として

 新しい生を生きて頂きたいと存じます」

 

「大野本家には苦労を掛けました

 蒼穹国帝の血統をお守りくださり

 ありがとう存じます」

 

「我が娘を守り育ててくださった

 義弟には心より感謝する」

 

皇子と帝が御前に一礼して

感謝の言葉を伝えた

 

「恐悦至極でございます

 ここで現長と翔さんの

 ご両親にお願いがございます」

 

今度は後ろ向きに座り直し

智の両親と俺の両親に向かいあった

 

「明日の儀式の後

 皇子と翔様は転生を果たされます

 千年の時を経て

 漸くお互いの手の温もりを

 感じることが出来るのです

 どうか現世の二人が

 共に歩くことを認めて頂きたい」

 

御前が4人に頭を下げた

慌てて俺と翔も

御前の横に並び

同じように頭を下げることにした

 

「御前、頭をお上げください

 どの時代の親も同じでございます

 親は息子の幸せだけを願います

 本人が望む相手と添うのが一番

 それ以外は何も望みません

 一つだけ心配なのは櫻井家の方々です

 息子は一族の長として

 この地を離れることは叶いません

 共に歩くと言うことは

 大切なご子息をこの地に縛りつけることになります

 私どもと違い、一族の跡取りでもあるご子息

 それでも許して頂けるのでしょうか?」

 

「私共もお二人と同じでございます

 二人が添うことは

 翔様のご両親様の願いでもあります

 千年の時を経て大願成就するのですから

 一族がどうとか問題ではありません

 そして何より、息子の幸せは

 現長、智さんの隣にあるのですから

 心より祝福させていただきます」

 

「父さん ・・・ ありがとう」

「ありがとございます」

 

「二人ともご両親様の思いを受け取り

 末永く仲良く過ごすように

 蒼灯さん、お時間を取らせていただきました」

 

「御前が言わなければ私からお願いしていたよ

 さて、まだ話があるのだよ

 まずは翔様に」

 

蒼灯さんはにやりと笑って

翔様の前に

細長い綺麗な装飾がなされた箱を置いた

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>